【SQL】INSERT文の基本構文と使い方をコードと実行結果つきで解説

  • 2026.10.30
       
【SQL】INSERT文を使ってデータを追加する方法を解説

SQLのINSERT文は、データベースのテーブルに新しいデータ(行)を追加するために用いられます。追加先のテーブルと、どのカラムにどの値を入れるかを指定して使います。たとえば、会員登録で入力された情報を保存したいときや、注文が入るたびにその記録を残したいときに使います。

INSERT文とは

INSERTは英語で「挿入する」という意味です。追加する値をSQL文の中に直接書くほか、別のテーブルから取り出したデータをまとめて追加することもできます。

INSERT文は、SELECT(取得)・UPDATE(更新)・DELETE(削除)と並ぶ、テーブルの中身を操作するための基本的なSQL文の1つです。

【基本構文】

INSERT文の基本的な構文は、データを挿入するテーブルを指定し、続けて各カラム名とそれに対応するデータの値を指定します。

INSERT INTO テーブル名 (カラム1, カラム2, ...)
VALUES (値1, 値2, ...);

INSERT文で指定するのは「どのテーブルに」「どのカラムに」「どんな値を」の3つです。テーブル名のあとの括弧にカラム名をカンマで区切って並べ、VALUESのあとの括弧に、各カラムに登録する値を同じ順番で並べます。1番目のカラムには1番目の値、2番目のカラムには2番目の値が入るため、カラムと値は数・順番・型をそろえる必要があります。

【例】

INSERT INTO test (id,name,gender,point)
VALUES (1005,'鈴木','女',60);

テスト(test)テーブルのid・name・gender・pointの4つのカラムに、「1005」「鈴木」「女」「60」を入れる例です。実行すると、鈴木さんのデータが1行追加されます。文字列の値は「’鈴木’」のようにシングルクォート(’)で囲み、数値はそのまま書きます。

この基本の書き方は、MySQL・PostgreSQL・SQL Server・Oracle Databaseなど主要なデータベースで共通です。構文の詳細は各公式リファレンス(MySQL/SQL Server/PostgreSQL)で確認できます。データベースごとに異なる書き方は、「データベースごとの書き方の違い」にまとめています。

INSERT文の基本的な使い方

INSERT文の具体的な使い方を解説していくにあたって、サンプルとして「テスト(test)」テーブルを用意しました。

「テスト(test)」テーブル

ID(id)氏名(name)性別(gender)点数(point)
1001秋山男80
1002久保田女100
1003佐々木女65
1004佐藤男75

手元のMySQLで試す場合は、次のクエリでテーブルを作成し、最初の4件を登録してください(INSERT文の書き方は、このあと順番に解説します)。

【テーブル作成用クエリ】

CREATE TABLE test(
 id INT AUTO_INCREMENT PRIMARY KEY,
 name VARCHAR(50) NOT NULL,
 gender VARCHAR(10) DEFAULT '-',
 point INT NOT NULL
);

INSERT INTO test (id,name,gender,point)
VALUES (1001,'秋山','男',80),(1002,'久保田','女',100),
       (1003,'佐々木','女',65),(1004,'佐藤','男',75);

ID(id)は主キー(PRIMARY KEY)で、氏名(name)と点数(point)には必ず値が必要なNOT NULLを指定しています。性別(gender)のDEFAULTと、ID(id)のAUTO_INCREMENTは、この章の後半で解説します。

1件のデータを追加する

冒頭の例と同じく、テスト(test)テーブルに鈴木さんのレコードを追加します。

【実行クエリ】

INSERT INTO test (id,name,gender,point)
VALUES (1005,'鈴木','女',60);

mysqlコマンドラインツールで実行した場合は、画面に「Query OK, 1 row affected」のように、INSERT文で追加された行数が表示されます。思ったとおりの件数が追加されたかを確認する目安になります。

追加したデータそのものを見たいときは、SELECT文でテーブルの中身を表示します。

【確認用クエリ】

SELECT * FROM test;

【実行結果】

ID(id)氏名(name)性別(gender)点数(point)
1001秋山男80
1002久保田女100
1003佐々木女65
1004佐藤男75
1005鈴木女60

鈴木さんのレコードが追加されました。以降の【実行結果】も、このようにSELECT文でテーブルの中身を表示した結果です。SELECT文の使い方は、以下の記事で解説しています。

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複数のデータを一度に追加する

一つのSQL文で、複数のレコードをテーブルに追加することもできます。

【実行クエリ】

INSERT INTO test (id,name,gender,point)
VALUES (1006,'田中','男',90),(1007,'土屋','女',55);

【実行結果】

ID(id)氏名(name)性別(gender)点数(point)
1001秋山男80
1002久保田女100
1003佐々木女65
1004佐藤男75
1005鈴木女60
1006田中男90
1007土屋女55

田中さんと土屋さんのレコードが追加されました。

VALUESのあとに「(値1, 値2, …)」の組をカンマで区切って並べると、1組が1レコードになります。mysqlコマンドラインツールでは、次のように追加された件数が表示されます。

Query OK, 2 rows affected
Records: 2  Duplicates: 0  Warnings: 0

「Records」は処理されたレコードの数、「Warnings」は警告の数です。

カラム名を省略して追加する

カラム名は省略することもできます。先ほどの鈴木さんを追加するINSERT文を、カラム名を省略して書くと次のようになります。

【実行クエリ】

INSERT INTO test
VALUES (1005,'鈴木','女',60);

この場合、値を記述する順序がテーブルのカラムと一致している必要があります。また、テーブルのすべてのカラムの値を書かなければならず、一部のカラムだけを指定することはできません。

ただし、テーブルの構造が変わった場合やカラムの順序を間違えた場合はデータを正しく挿入できないケースがあります。そのため、INSERTを行う場合はカラム名を明示することが推奨されています。

なお、このクエリは「1件のデータを追加する」と同じデータを、書き方を変えて示したものです。鈴木さんを追加したあとに続けて実行すると、ID(1005)が重複してエラーになります(「主キーの値が重複している」で解説します)。

一部のカラムだけ指定して追加する

カラム名を書く方法なら、一部のカラムだけを指定して追加できます。指定しなかったカラムには、テーブルを作るときに決めておいた初期値(DEFAULT値)が入ります。

テスト(test)テーブルでは、テーブル作成用クエリの「gender VARCHAR(10) DEFAULT ‘-‘」の部分で、性別(gender)のDEFAULT値を「-」にしています。性別を指定せずに、野村さんを追加してみましょう。

【実行クエリ】

INSERT INTO test (id,name,point)
VALUES (1008,'野村',70);

【実行結果】

ID(id)氏名(name)性別(gender)点数(point)
1001秋山男80
1002久保田女100
1003佐々木女65
1004佐藤男75
1005鈴木女60
1006田中男90
1007土屋女55
1008野村–70

性別を指定していないため、DEFAULT値の「-」が自動で入りました。

INSERT文で省略したカラムに入る値は、カラムの定義によって次のように変わります(詳しくはMySQL公式リファレンスのデータ型デフォルト値のページを参照)。

カラムの定義省略したときに入る値
DEFAULT値を設定している設定したデフォルト値
DEFAULT値がなく、NULLを許可しているNULL
DEFAULT値がなく、NOT NULLを指定している省略できない(エラー)

今回のテーブルでは、氏名(name)と点数(point)にNOT NULLを指定しているため、この2つは省略できません(エラーの例は「NOT NULLのカラムに値を入れていない」で紹介します)。反対に、NULLを許可しているカラムであれば値を省略しておき、あとからUPDATE文で値を入れることもできます。UPDATE文の使い方は、以下の記事で解説しています。

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IDを自動で連番にして追加する

テスト(test)テーブルでは、ID(id)カラムに「AUTO_INCREMENT」を指定しています。AUTO_INCREMENTを指定したカラムは、INSERT文で値を省略すると、MySQLが自動で連番を振ってくれます。

【実行クエリ】

INSERT INTO test (name,gender,point)
VALUES ('森','男',85);

【実行結果】

ID(id)氏名(name)性別(gender)点数(point)
1007土屋女55
1008野村–70
1009森男85

※1006以前のレコードは省略しています。

IDを指定していませんが、それまでの最大値(1008)の次の値である1009が自動で入りました。AUTO_INCREMENTを設定したテーブルが空の状態から使い始めた場合は、1から順番に番号が振られます。また、「VALUES (NULL,’森’,’男’,85)」のようにIDにNULLを指定した場合も、同じように自動で番号が振られます。採番のルールはMySQL公式リファレンスのAUTO_INCREMENTの使用のページで確認できます。

新しいIDを「SELECT MAX(id) + 1」のように、今ある最大値に1を足して決める方法もありますが、おすすめできません。複数の人やプログラムが同時にデータを追加すると、同じIDを使おうとしてしまうおそれがあるためです。IDの採番はAUTO_INCREMENTに任せるのが基本です。

なお、直前のINSERT文で自動採番された値は「SELECT LAST_INSERT_ID();」で確認できます(今回は1009が返ります)。追加したレコードのIDを、続けて別のテーブルに登録したいときなどに使います。

INSERT文でよくあるエラーと対処法

INSERT文を書き始めたばかりのころによく出るエラーと、その直し方を紹介します。エラーメッセージはMySQLのもので、エラー番号ごとの意味はMySQL公式のサーバーエラーメッセージリファレンス(英語)で調べられます。

カラムと値の数が合っていない

INSERT INTOで指定したカラムの数と、VALUESに書いた値の数がずれているとエラーになります。次の例では、カラムを4つ指定しているのに値を3つしか書いていません。

【間違った例】

INSERT INTO test (id,name,gender,point)
VALUES (1010,'山口','女');
-- ERROR 1136 (21S01): Column count doesn't match value count at row 1

「カラムの数と値の数が一致しない」という意味のエラーです。このエラーが出たら、カラム名と値を1つずつ見比べて、抜けている値や余分な値がないかを確認しましょう。カラム名を省略した場合は、テーブルのカラム数と値の数を比べます。

文字列を引用符で囲んでいない

文字列の値をシングルクォートで囲み忘れると、MySQLはその文字をカラム名として読み取ろうとするため、エラーになります。

【間違った例】

INSERT INTO test (id,name,gender,point)
VALUES (1010,山口,'女',60);
-- ERROR 1054 (42S22): Unknown column '山口' in 'field list'

「山口というカラムが見つからない」という意味のエラーです。「’山口’」のようにシングルクォートで囲めば解決します。

日付も「’2026-10-01’」のようにシングルクォートで囲み、数値は「60」のようにそのまま書きます。文字列の中にシングルクォートを含めたい場合は、「’I”m’」のように2つ続けて書きます。詳しいルールはMySQL公式リファレンスの文字列リテラルのページにまとめられています。

NOT NULLのカラムに値を入れていない

NOT NULLを指定していて、デフォルト値もないカラムは、INSERT文で省略できません。テスト(test)テーブルでは氏名(name)と点数(point)が該当します。点数を省略すると、MySQLの初期設定(strictモードが有効な状態)では次のようにエラーになります。

【間違った例】

INSERT INTO test (id,name)
VALUES (1010,'山口');
-- ERROR 1364 (HY000): Field 'point' doesn't have a default value

「pointカラムにはデフォルト値がない」という意味のエラーです。NOT NULLのカラムには、INSERT文で必ず値を指定しましょう。NULLの意味や扱い方については、以下の記事で解説しています。

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主キーの値が重複している

主キー(PRIMARY KEY)やUNIQUEを指定したカラムには、同じ値を2回入れられません。すでに秋山さんが使っているID(1001)で別の生徒を追加しようとすると、次のエラーになります。

【間違った例】

INSERT INTO test (id,name,gender,point)
VALUES (1001,'山本','男',70);
-- ERROR 1062 (23000): Duplicate entry '1001' for key 'test.PRIMARY'

「1001という値がすでに主キーに存在する」という意味のエラーです(MySQL 8.0.19より前のバージョンでは「for key ‘PRIMARY’」と表示されます)。新しいレコードを追加したいなら、使われていないIDを指定するか、「IDを自動で連番にして追加する」で紹介したように、IDの採番をAUTO_INCREMENTに任せましょう。主キーについては、以下の記事で詳しく解説しています。

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重複したときに更新・無視したい場合

「同じIDがなければ追加し、あれば上書きしたい」という場合は、MySQLでは「ON DUPLICATE KEY UPDATE」を使います。このように追加と更新をまとめて行う処理は、UPSERT(アップサート)とも呼ばれます。

【実行クエリ】

INSERT INTO test (id,name,gender,point)
VALUES (1001,'秋山','男',85) AS new
ON DUPLICATE KEY UPDATE point = new.point;

【実行結果】

ID(id)氏名(name)性別(gender)点数(point)
1001秋山男85

※ID 1001の行のみ表示しています。

ID 1001はすでにあるため新しい行は追加されず、秋山さんの点数が80点から85点に更新されました。「AS new」は追加しようとした行に付けた名前で、「new.point」はその行の点数(85)を指します。IDが存在しなかった場合は、通常のINSERTと同じように新しい行が追加されます。この書き方はMySQL 8.0.19以降で使えます(MySQL公式リファレンスのON DUPLICATE KEY UPDATEのページ)。古い記事でよく見る「point = VALUES(point)」という書き方は、MySQL 8.0.20以降は非推奨です。

重複した行を更新せずに無視したいだけなら「INSERT IGNORE INTO ~」と書きますが、重複以外のエラーも警告として扱われて見落としやすくなるため、使う場面は限定しましょう。他のデータベースでの書き方は「データベースごとの書き方の違い」で紹介します。

※以降の章では、秋山さんの点数を元の80点のまま説明します。

別のテーブルのデータをまとめて追加する

INSERT文では、VALUESで値を直接書く代わりにSELECT文の検索結果を追加することもできます。別のテーブルから条件に合うデータだけをコピーしたり、値を加工してから追加したりできるので、データの移行や集計結果の保存によく使われます。

検索結果をそのまま追加する

例として、テスト(test)テーブルから、点数(point)が60点未満の生徒のレコードを新しいテーブル「再テスト(retest)」テーブルに追加します。ここまでの操作で、テスト(test)テーブルは次の9件になっています。

「テスト(test)」テーブル

ID(id)氏名(name)性別(gender)点数(point)
1001秋山男80
1002久保田女100
1003佐々木女65
1004佐藤男75
1005鈴木女60
1006田中男90
1007土屋女55
1008野村–70
1009森男85

INSERT文はデータを追加するだけで、テーブルそのものは作りません。そのため、追加先の再テスト(retest)テーブルはあらかじめ作成しておきます。

【テーブル作成用クエリ】

CREATE TABLE retest(
 id INT PRIMARY KEY,
 name VARCHAR(50) NOT NULL,
 gender VARCHAR(10),
 point INT NOT NULL
);

【実行クエリ】

INSERT INTO retest (id,name,gender,point)
SELECT id,name,gender,point
FROM test
WHERE point < 60;

WHERE句の「point < 60」という条件で、testテーブルから60点未満のレコードだけを取り出して追加しています。WHERE句の基本は、以下の記事で解説しています。

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【実行結果】

ID(id)氏名(name)性別(gender)点数(point)
1007土屋女55

60点未満の生徒のデータだけが抽出され、新しいテーブルに登録されました。

この書き方ではVALUESは使わず、INSERT INTOのあとにそのままSELECT文を続けます。INSERT INTOで指定したカラムには、SELECTで取得したカラムが左から順番に入るため、ここでもカラムの数と順番を合わせておきましょう。この書き方はMySQL公式リファレンスのINSERT … SELECTのページでも解説されています。

SELECT文の条件しだいで追加される件数が変わるため、INSERTを実行する前にSELECTの部分だけを実行して、追加される行を確かめておくと安心です。実行後は、mysqlコマンドラインツールに「Records: 1 Duplicates: 0 Warnings: 0」のように追加された件数が表示されます。

条件によって値を変えて追加する

SELECT文の中でCASE式を使うと、条件に応じて値を変えてから追加できます。CASE式は、データごとに条件にあてはまるかを判定し、判定結果に応じて異なる値を返す書き方です。ここでは、テスト(test)テーブルの点数をもとに成績を付けて、「成績(grades)」テーブルに追加します。

【テーブル作成用クエリ】

CREATE TABLE grades(
 id INT AUTO_INCREMENT PRIMARY KEY,
 name VARCHAR(50) NOT NULL,
 point INT NOT NULL,
 grade VARCHAR(10)
);

【実行クエリ】

INSERT INTO grades (id,name,point,grade)
SELECT id,name,point,
CASE
 WHEN point >= 90 THEN '秀'
 WHEN point >= 80 THEN '優'
 WHEN point >= 70 THEN '良'
 WHEN point >= 60 THEN '可'
 ELSE '不可'
END AS grade
FROM test;

【実行結果】

ID(id)氏名(name)点数(point)成績(grade)
1001秋山80優
1002久保田100秀
1003佐々木65可
1004佐藤75良
1005鈴木60可
1006田中90秀
1007土屋55不可
1008野村70良
1009森85優

SELECT文で取得した「id」「name」「point」と、CASE式で判定した成績の4つが、INSERT INTOで指定した4つのカラムに順番どおりに入っています。

CASE式のWHENは上から順番に判定され、最初に条件を満たしたWHENの値が使われます。そのため、100点の久保田さんは「point >= 80」の条件も満たしていますが、先に判定される「point >= 90」に当てはまった時点で「秀」に決まります。どの条件にも当てはまらない場合は、ELSEの「不可」が入ります。

なお、「〇点以上」のような範囲の条件は、上のように「CASE」の直後には何も書かず、WHENのあとに条件を書きます。「CASE point WHEN …」の形(単純CASE式)は値が等しいかどうかしか比べられないため、範囲の判定には使えません。

また、SELECT文で取得した複数のレコードをまとめてINSERTするときは、「VALUES( SELECT … )」のようにVALUESの中にSELECT文を入れるのではなく、INSERT INTOのあとにSELECT文を直接続けます。

CASE式の詳しい使い方は、以下の記事で解説しています。

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SQL|CASE式で条件分岐を処理する【SELECT句からUPDATE句まで詳しく解説】 SQL|CASE式で条件分岐を処理する【SELECT句からUPDATE句まで詳しく解説】 ▶

複数のテーブルを結合した結果を追加する

INSERT INTOに続けるSELECT文にはJOIN句も書けるため、複数のテーブルを結合した結果をまとめて追加できます。ここでは、次の2つのテーブルを使います。

「生徒(student)」テーブル

学籍番号(number)氏名(name)部活ID(club_id)
1菊池1
2鈴木3
3田中4
4山田1

「運動部(sport_club)」テーブル

ID(id)競技(sport)
1野球
2サッカー
3バスケットボール

「生徒」テーブルの部活ID(club_id)と「運動部」テーブルのID(id)を結合し、運動部に所属する生徒の氏名と競技を、新しい「運動部所属者(sport_student)」テーブルに追加します。先に、追加先のテーブルを作成しておきます。

【テーブル作成用クエリ】

CREATE TABLE sport_student(
 name VARCHAR(50) NOT NULL,
 sport VARCHAR(50) NOT NULL
);

【実行クエリ】

INSERT INTO sport_student (name,sport)
SELECT student.name,sport_club.sport
FROM student
JOIN sport_club ON student.club_id = sport_club.id;

【実行結果】

氏名(name)競技(sport)
菊池野球
鈴木バスケットボール
山田野球

JOIN(内部結合)では、結合条件に一致しない行は結果に含まれません。そのため、部活IDが「運動部」テーブルにない田中さんのレコードは追加されていません。INSERTの前にSELECTの部分だけを実行しておけば、こうした抜けにも事前に気づけます。結合相手がない生徒も含めてすべて追加したい場合は、LEFT JOIN(外部結合)を使います。結合の種類については、以下の記事で詳しく解説しています。

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なお、別のテーブルから値を1つだけ取ってきたい場合は、VALUESの中にSELECT文(サブクエリ)を書く方法もあります。たとえば、新しい生徒を「生徒」テーブルに追加するときに、部活IDを番号ではなく競技名から調べて登録できます。

【実行クエリ】

INSERT INTO student (number,name,club_id)
VALUES (5,'高橋',(SELECT id FROM sport_club WHERE sport = 'サッカー'));

カッコ内のSELECT文で「サッカー」のIDである2が取得され、高橋さんのclub_idに2が入ります。このようにVALUESの中で使うSELECT文は、1行1列(値1つ)を返すように書く必要があります。条件に当てはまる行が2行以上あると「ERROR 1242 (21000): Subquery returns more than 1 row」というエラーになり、1行も当てはまらない場合はサブクエリの結果がNULLになります。

生徒テーブルの部活IDのように、別のテーブルのIDを参照するカラムと外部キーの関係は、以下の記事で解説しています。

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大量のデータを追加するときのポイント

追加するレコードが数件なら、1件ずつINSERT文を書いても問題ありません。しかし、数千件・数万件といった大量のデータを1件ずつINSERTすると、実行に時間がかかり、データベースにも負荷がかかります。

そこで使うのが、少ない回数のINSERT文で大量のレコードをまとめて追加する「バルクインサート」(Bulk Insert)です。MySQLで最も基本的なバルクインサートは、「複数のデータを一度に追加する」で紹介した、VALUESのあとに複数の組を並べる書き方です。MySQL公式ドキュメントのINSERTステートメントの最適化のページでも、1行ずつINSERT文を実行するよりかなり速くなる方法として紹介されています。

【1行ずつ追加する場合】

INSERT INTO test (id,name,gender,point) VALUES (1006,'田中','男',90);
INSERT INTO test (id,name,gender,point) VALUES (1007,'土屋','女',55);
INSERT INTO test (id,name,gender,point) VALUES (1008,'野村','-',70);

【バルクインサートで追加する場合】

INSERT INTO test (id,name,gender,point)
VALUES (1006,'田中','男',90),
       (1007,'土屋','女',55),
       (1008,'野村','-',70);

さらに件数が多く、INSERT文を何回かに分けて実行する場合は、自動コミット(1文ごとに変更を確定する機能)をオフにして、最後のCOMMITでまとめて確定する方法もあります(MySQL公式ドキュメントのInnoDBテーブルの一括データロードのページで紹介されている方法です)。途中で間違いに気づいたら、COMMITの代わりにROLLBACKを実行すれば追加をまとめて取り消せます。

SET autocommit=0;
INSERT INTO test (id,name,gender,point) VALUES (...),(...),(...);
INSERT INTO test (id,name,gender,point) VALUES (...),(...),(...);
COMMIT;
SET autocommit=1;

CSVファイルなどから大量のデータを取り込む場合は、MySQLの「LOAD DATA」文のような専用の方法を使うと、通常のINSERT文よりさらに速く取り込めます(公式ドキュメントでは、20倍ほど速いことが多いと説明されています)。

データベースごとの書き方の違い

「INSERT INTO テーブル名 (カラム) VALUES (値)」という基本の書き方は、MySQL・PostgreSQL・SQL Server・Oracle Databaseのどれでも同じです。一方で、複数行の追加や自動採番、重複時の更新などは、データベースによって書き方が異なります。

やりたいことMySQLPostgreSQLSQL ServerOracle Database
複数行をまとめて追加VALUESに複数の組を並べるVALUESに複数の組を並べるVALUESに複数の組を並べる(1回1,000行まで)23ai以降はVALUESに複数の組を並べられる。それ以前はINSERT ALLなどを使う
IDの自動採番AUTO_INCREMENTIDENTITY列(GENERATED … AS IDENTITY)、SERIALIDENTITYIDENTITY列、シーケンス
重複したら更新(UPSERT)ON DUPLICATE KEY UPDATEON CONFLICT … DO UPDATEMERGEMERGE
追加したIDを取得LAST_INSERT_ID()RETURNINGOUTPUTRETURNING … INTO
自動採番のカラムに値を直接入れるそのまま値を指定できるSERIAL・BY DEFAULTならそのまま指定できる(ALWAYSはOVERRIDING SYSTEM VALUEが必要)SET IDENTITY_INSERT テーブル名 ON が必要BY DEFAULTならそのまま指定できる(ALWAYSは指定できない)

SQL Serverでは、追加した行の値をOUTPUT句で受け取れます。次の例は、idをIDENTITY(自動採番)にしたテスト(test)テーブルに1件追加し、採番されたidを表示します。

【SQL Serverの例:追加したIDを取得する】

INSERT INTO test (name,gender,point)
OUTPUT INSERTED.id
VALUES (N'山口',N'女',60);

OUTPUT句は、カラム名の指定とVALUESのあいだに書きます。また、SQL ServerでNVARCHAR型のカラムに日本語を入れるときは、「N’山口’」のように文字列の前にNを付けます。付けないと、データベースの照合順序によっては文字が「?」に置き換わることがあります。

IDENTITYのカラムに自分で決めた値を入れたい場合は、一時的にIDENTITY_INSERTをONにします。このとき、INSERT文ではカラム名の指定が必須です。

【SQL Serverの例:IDENTITYのカラムに値を指定する】

SET IDENTITY_INSERT test ON;
INSERT INTO test (id,name,gender,point)
VALUES (2001,N'森田',N'男',70);
SET IDENTITY_INSERT test OFF;

各データベースの詳しい書き方は、公式ドキュメント(PostgreSQLのINSERT、SQL ServerのINSERT、Oracle DatabaseのINSERT)で確認できます。

INSERT文に関するよくある質問

Q. INSERTしたデータを取り消すには?

A. MySQLは初期設定では、INSERT文を実行した時点で変更が確定します(自動コミット)。確定したデータを消すには、DELETE文で削除します。あとから取り消す可能性がある場合は、「START TRANSACTION;」を実行してからINSERTすると、「ROLLBACK;」で追加前の状態に戻せます(問題なければ「COMMIT;」で確定します)。

START TRANSACTION;
INSERT INTO test (id,name,gender,point) VALUES (1010,'山口','女',60);
ROLLBACK;  -- 山口さんの追加が取り消される

DELETE文の使い方は、【SQL】データ削除「DELETE文」の使い方で解説しています。

Q. INSERTとUPDATEの違いは?

A. INSERTは新しい行を追加するとき、UPDATEはすでにある行の値を書き換えるときに使います。たとえば、秋山さんの点数を変えたいときにINSERTを使うと、主キーの重複エラーになるか、別の行として追加されてしまいます。既存のデータを変えるときはUPDATE文を使いましょう(「重複したときに更新・無視したい場合」で紹介したON DUPLICATE KEY UPDATEは、この2つを組み合わせた書き方です)。

Q. INSERT INTOの「INTO」は省略できる?

A. MySQLとSQL Serverでは「INSERT test (…) VALUES (…)」のように省略できますが、PostgreSQLでは省略できません。データベースを問わず動くように、INTOは省略せずに書くのがおすすめです。

Q. 一度に何件まで追加できる?

A. MySQLでは、VALUESに並べる行数そのものに上限はありませんが、1つのSQL文の大きさが設定値(max_allowed_packet、MySQL 8.0以降の初期値は64MB)を超えるとエラーになります。SQL Serverでは、VALUESに並べられるのは1回あたり1,000行までです。大量のデータを追加する場合は、「大量のデータを追加するときのポイント」のように、数百〜数千行ずつ分けて実行しましょう。

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まとめ

私たちが日々行うデータの操作の中でも、INSERT文はよく使われるSQL文の1つです。本記事のポイントは次のとおりです。

  • INSERT文は「INSERT INTO テーブル名 (カラム) VALUES (値)」の形で書き、カラムと値の数・順番・型をそろえる
  • 文字列や日付はシングルクォートで囲む
  • VALUESのあとに複数の組を並べると、一度に複数のレコードを追加できる
  • 値を省略したカラムには、デフォルト値・NULL・自動採番の値が入る(NOT NULLのカラムは省略できない)
  • 主キーが重複するとエラーになる。上書きしたい場合はON DUPLICATE KEY UPDATEを使う
  • INSERT INTOのあとにSELECT文を続けると、別のテーブルのデータや、CASE式・JOINの結果をまとめて追加できる
  • 複数行の追加や自動採番、重複時の更新は、データベースによって書き方が異なる

本記事で紹介した知識を活用して、日々のデータベース作業を効率良く進めていきましょう。

以下では、SQLに関するさまざまな記事を取り上げています。SQLに関する疑問や興味がある方は、ぜひ併せて参考にしてみてください。

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