SQL Serverについて、基礎知識から、ほかのRDBMSとの違い・特徴などを中心に解説します。また、インストール方法や構築方法、データベースの作成方法なども紹介するので、今後のSQL Server利用の参考にしてください。
SQL Serverとは?
SQL Serverとは、Microsoft社が提供するRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)です。同社製品との相性が良く、主にWindowsのシステムで用いられます。正式名称は「Microsoft SQL Server」で、「MS SQL」と呼ばれることもあります。有償の製品ですが、無償で利用できるエディションも用意されています。
SQL Serverのシェア
SQL ServerはDBMSのなかでも世界的に人気が高く、日本国内でも多くのユーザに支持されています。
DB-ENGINESが検索エンジンで検索された数や求人の多さなどの多角的な観点で算出した、DBMSの世界トレンドによると、SQL ServerはOracle DatabaseやMySQLに次ぐ第3位となっています。
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SQL Serverが支持される理由は?
チュートリアル(解説書)が充実していることや初心者が使いやすいよう設定されていることから、ほかのDBMSと比べて直感的な操作ができるのが大きな特徴となっています。
また、WindowsOSや同社の開発言語と相性がいいことが大きな支持を得る理由でしょう。
WindowsOSとの相性がよく、マウスで作業ができるなど、操作性が高いのでWindows Serverを使ってサーバを構築する場合などで利用されることが多いです。
SQLとは?
SQLとは、RDBを操作するデータベース言語の一つです。データベース言語とはデータベースへのデータの格納やデータの検索・書き換え・削除といった、データベースを操作するための言語のことです。SQLは国際標準化されており、データベース言語で最も普及しているデータベース言語です。そのため、SQLを習得すれば利用するデータベースが変わってもほとんど同じように操作できます。
SQLは、データベースを定義・操作・制御する際に使い分ける必要があり、用途別に3つに分類できます。
● データ定義言語(Data Definition Language)
● データ操作言語(Data Manipulation Language)
● データ制御言語(Data Control Language)
データベースとは?
データベースとは、「データが格納された箱(データの集まり)」のようなもので、データを管理しやすいよう、整理されています。データはExcelやCSVデータのように行と列で構成された表で整理(構造化)されているため、検索や集計、分析・解析がしやすくなっています。目的に応じて階層型とネットワーク型、リレーショナル型(RDB)の3種類のデータベースがありますが、データベースといえば基本的にはRDB型のデータベースを指すのが一般的です。
RDB(リレーショナル型データベース)とは?
行と列で構成された表形式のデータベースです。データ同士は複数の表との関係(リレーション)によって関連付けます。表形式で管理するので複雑なデータを扱いやすいという強みがありますが、その反面、膨大なデ―タを扱う場合に複雑化しやすいという点で注意が必要です。
RDBMSとは?
データベースを管理するシステムが「DBMS(=DataBase Management System)」であり、RDBMSは、RDBを管理するシステムです。SQLでDBMSに命令を出し、データベースの操作を行います。
DBMSを利用することで主導では管理が難しかったデータの管理がしやすくなり、膨大なデータ量になっても活用しやすくなります。
データベースを扱う場合は、基本的にDBMSを利用するので、一般的にデータベースというとDBMSを指すことも多いです。
RDBMSには企業が提供する商用のものと、有志の開発者コミュニティで自由に開発・改変され、無償で利用できるオープンソースのものがあります。
商用のRDBMSの代表例
・Oracle Database
・MySQL(有償版)
・Microsoft SQL Server
オープンソースのRDBMSの代表例
・MySQL(無償版)
・Postgre SQL
・SQLite
SQL ServerとほかのRDBMSとの違い
以下の表はSQL Serverと主要な商用データベースを比較した結果を表にしたものです。
SQL Server | Oracle Database | MySQL | |
規模 | 中規模〜大規模 | 大規模 | 小規模~大規模 |
コスト | 比較的高価 | 高価 | 比較的安価 |
対応OS | Windows Linux | Windows Linux AIX Solaris HP-UX | Windows macOS Linux Free BSD |
特徴 | Windowsシステムとの相性がいい | 商用データベースとしてサポートが充実 | オープンソースの無償版もある |
Oracle DatabaseやMySQLと比較した上記の表からもSQL Serverの一番の強みは、Windows製品との相性がいいことです。また、商用利用においても規模感とコストパフォーマンスのバランスが良いといいえます。
SQL Serverの最新バージョン
2024年1月時点でのSQL Serverの最新のバージョンは2022年11月にリリースされた「SQL Server 2022」です。従来よりもAzureとの連携を強化したほか、セキュリティや可用性、パフォーマンスも向上させ、運用データベース・分析・データガバナンスをシームレスに統合するプラットフォームになっています。
SQL Server 2022の4つのエディション
SQL Server 2022の4つのエディションとその特徴について紹介します。
また、Azure Arcに対応するSQL Server環境で、ハイブリッド機能を従量課金制で利用できるサービスも始まりました。使った分だけを支払うので、使い方によってはコスト削減につながります。
Enterprise
Enterpriseは、SQL Serverにおける最上位エディションです。有償である分、すべての機能が利用でき、CPUの利用数も制限なく使用可能です。高可用性と高パフォーマンスが特徴で、大企業が扱う大規模システム向きのエディションです。
Standard
Standardは、SQL Serverにおける標準的なエディションです。有償ですが、Enterpriseよりは安価です。OSがサポートする最大容量まで、メモリを搭載できます。中規模から大規模システム向きのエディションで、企業の部門単位や小規模開発に用いられることが多いです。
Developer
Developerは、無償で利用できる、アプリケーションテストやデータベース学習向けのエディションです。Enterpriseと同じくSQL Serverのすべての機能が使えますが、使用用途はあくまで開発やテストに限定されており、実稼働には利用できません。
Express
ExpressはWebアプリケーションやモバイルアプリケーション開発を想定した小規模システム向けのエディションです。誰でも無料で利用できますが、データサイズは最大10GBまで、CPUは1個まで、メモリも1GBまでなど、機能やリソースに制限が多いです。
SQL Serverの特徴
WindowsOSで動作できる
WindowsOSでの動作環境が良いというのがSQL Serverの一番の強みだといえます。WindowsOSやC#などの同社の開発言語と相性がよく、Microsoft.NETで構築したアプリケーションのデータベースなどに利用されることも多いです。
直感的にデータベースを操作できる
通常、データベースの操作はコマンドを入力して行う「CLI(CUI)」ですが、SQL Serverの場合は、「SSMS(SQL Server Management Studio)」を使うことで視覚的に操作できる「GUI(Graphical User Interface)」を利用でき、データベースの操作に慣れていない人でも直感的にデータベースを操作できます。SSMSとは、SQL Serverとデータベースを管理する、SQL Serverの統合管理ツールです。SSMSではデータベースの設計やクエリ投入が実行できます。
安全性が高い
SQL Serverは、バックアップや復元・復旧の機能を備えているため、データの破損に強いです。外部のユーザにデータを操作されるといったことがないよう設計されており、セキュリティ面でも信頼を置かれています。
SQLを拡張したTransact-SQLを利用できる
SQL Serverでは、独自拡張の「Transact-SQL(T-SQL)」が利用できます。T-SQLはSQL Server用にMicrosoft社が独自で開発したデータベース言語で、制御フローやローカル変数などの使用が追加されています。
クセが強く、習得は簡単ではありませんが、プログラミング言語のように変数や条件分岐、繰り返しなどの制御構造や、日付の計算や型変換なども行えるなど、できることが増え、より高度なデータベース操作を行えます。
システム規模に合わせてエディションを選べる
SQL Serverには、先ほど紹介したように、豊富なエディションが用意されており、システム規模や用途に合わせて選択できます。また、Microsoft社はクラウドサービス「Azure」の提供を行っていますが、そのAzure上で利用できるSQL Serverも提供しています。
SQL Serverを利用する際の注意点
T-SQLの習得に時間がかかる
先述したように、SQL Serverは、Transact-SQLの利用でより高度なデータベース操作ができますが、そのTransact-SQLの習得には少々時間がかかることは念頭に置いておきましょう。
アップデートへの対応
ほかのDBMSでも同様ですが、数年ごとにバージョンがアップデートされるので、そのたびに対応していく必要があります。
SQL Serverのバージョンを確認しよう
2024年1月時点でのSQL Serverの最新のバージョンは2022年11月にリリースされた「SQL Server 2022」です。また、それ以前のリリース履歴を見ると、2012、2014、2016、2017、2019年となっており、およそ1~2年の周期でバージョンアップされていることが分かります。SQL Serverはバージョンの後方互換性が保たれており、アップデートに合わせて移行することが想定されますが、バージョンによっては利用できるエディションが変わる可能性があることを念頭に置いておきましょう。
SQL Serverのインストール方法
インストール方法は各エディションで異なる
SQL Serverのインストール方法は、どのエディションを選択するかによってことなります。無料で使えるDeveloperやExpressであれば公式サイトからダウンロードできます。有償版のEnterpriseやStandardの場合はライセンス契約に従ってインストールを行います。
SQL serverのインストール
上記サイトでダウンロードが完了したら、exeファイル実行します。ウィザードが表示され、「基本(B)」「カスタム(C)」「メディアのダウンロード(D)」からインストールの種類を選択します。基本的には「基本(B)」で問題ありません。「基本(B)」を選択すると必要なインストールが完了します。EnterpriseやStandardではライセンス契約に従い、問題なければ「承認」をクリックしましょう。
SQL Server Management Studio (SSMS) のインストール
SQL serverを利用する場合はSSMS(SQL Server Management Studio)も併せてインストールしましょう。
SQL serverのインストール方法と同様に、上記サイトでダウンロードが完了したら、exeファイル実行します。
ウィザードが表示され、インストール場所をデフォルトまたは指定し、「インストール」をクリックすればインストールが始まります。
SQL Serverの基本的な使い方
ここからは、SQLServerの構築方法や接続方法、ログイン方法、データベースの作成方法について解説します。
SQLServerの構築方法・接続方法
SQL ServerとSSMSのインストール後、スタートメニューからSSMSを起動します。サーバへの接続画面が表示されるのでサーバ名を指定し、接続ボタンをクリックすると、SSMSの画面が表示されます。
ログイン方法・データベースの作成方法
データベースの作成には、SSMSを利用します。
SSMS画面の左メニューにある「オブジェクトエクスプローラー」の「データベース」を右クリックし、「新しいデータベース」を選択するとデータベースの追加画面が表示されます。
「データベース名」や用途に合わせたデータベースの設定を行い、OKボタンをクリックすればデータベースが追加されます。
また、「オブジェクト エクスプローラー」の「新しいクエリ」をクリックし、クエリウィンドウにCREATE DATABASE文を入力してデータベースを作成することもできます。
テーブル作成
作成したデータベースの下位階層にあるテーブルを右クリックし、「テーブル」を選択するとテーブルの作成画面が表示されます。「テーブル名」や用途に合わせたテーブルの設定を行い、OKボタンをクリックすればテーブルが追加されます。
また、こちらもクエリウィンドウでCREATE TABLE文を入力して作成することも可能です。
SQLの実行
作成したテーブルを選択しSSMS画面上部にある「新しいクエリー」をクリックするとSQL文の入力画面が表示されます。入力後に実行ボタンをクリックするとSQLが実行されます。
SQL Serverを活用しよう!
SQL Serverは、Microsoft社が提供するRDBMSです。直感的に操作できることやWindowsシステムとの相性がいいことで世界的に人気があります。SQL Serverを活用して、効率的なデータ管理や効果的なデータ分析を行いましょう。Expressエディションは無料で利用できるのでぜひ一度触ってみましょう!
SQLの勉強方法は?
書籍やインターネットで学習する方法があります。昨今では、YouTubeなどの動画サイトやエンジニアのコミュニティサイトなども充実していて多くの情報が手に入ります。
そして、より効率的に知識・スキルを習得するには、知識をつけながら実際に手を動かしてみるなど、インプットとアウトプットを繰り返していくことが重要です。特に独学の場合は、有識者に質問ができたりフィードバックをもらえるような環境があると、理解度が深まるでしょう。
ただ、SQLに限らず、ITスキルを身につける際、どうしても課題にぶつかってしまうことはありますよね。特に独学だと、わからない部分をプロに質問できる機会を確保しにくく、モチベーションが続きにくいという側面があります。独学でモチベーションを維持する自信がない人にはプログラミングスクールという手もあります。費用は掛かりますが、その分スキルを身につけやすいです。しっかりと知識・スキルを習得して実践に活かしたいという人はプログラミングスクールがおすすめです。
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Author:鷺坂りな @TechMania編集部 投稿一覧
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