Dify(ディフィ)とは、生成AIを活用したチャットボットや文章生成ツールなどのAIアプリを、基本的な機能であればノーコードで作成・公開できるプラットフォームです。
複数のAIモデルやナレッジベース、ワークフローを組み合わせ、企業や個人でもブラウザ上から開発を始められます。
通常、AIアプリの開発には、プログラミング言語に加えてAPIやデータベースの知識が必要です。
Difyでは必要な機能があらかじめ統合されており、画面操作を中心に設定を進められます。
この記事では、Difyの特徴、ChatGPT・n8nとの違い、料金、作成方法まで解説します。
Difyとは
DifyはLangGeniusが開発するAIアプリ開発プラットフォームで、名称は「Do It For You」に由来します。
Dify自体が生成AIモデルなのではなく、OpenAIやAnthropic、GoogleなどのLLMを接続し、プロンプトやナレッジベース、ワークフローを組み合わせてアプリとして運用するための基盤です。
チャットボット程度であればコードを書かずに進められますが、高度なAPI連携やカスタマイズには、一定のプログラミング知識が必要になる場合があります。
Difyでできること
Difyでは、次のようなAIアプリを作成できます。
- チャットボット:質問への回答やFAQ対応(例:就業規則を参照する社内FAQボット)。
- 文章生成アプリ:入力情報をもとに文章を作成(例:商品情報から説明文を作成するアプリ)。
- 要約・分析ツール:文書の要約・分類・分析(例:議事録を指定形式で要約するアプリ)。
- ワークフロー:複数の処理をノードでつなげ自動化(例:問い合わせを分類してSlackへ通知)。
- AIエージェント:外部ツールやAPIを使い自律的に処理(例:Web検索で最新情報を取得して回答)。
- ナレッジ検索システム:社内文書を参照して回答(例:社内マニュアルを検索して回答するボット)。
ワークフローは、以下のようにノードと呼ばれるブロックをつなげ、コードを書かずに処理順を組み立てられる機能です。
Difyのワークフローでは、ユーザー入力・LLM・出力などのノードを接続し、処理の順番を視覚的に設計できます。下の例では、入力された文章をGPT-5で処理し、その結果を出力する流れを構築しています。

Difyの主な特徴
Difyには、次のような特徴があります。
- 複数のLLMを切り替えられる:OpenAI、Anthropic、Googleなど複数の提供元から選べます。
- RAGとナレッジベースを標準搭載:登録文書から関連情報を検索し、LLMに渡して回答を生成できます。
- プラグインで外部ツールと連携できる:モデルプロバイダーも含めDify Marketplaceから追加できます。外部ツールを共通の方法で接続するMCPサーバー連携にも対応しています。
- ワークフローを視覚的に構築できる:ノードをつなげる操作で自動化フローを作れます。
- テンプレートを利用できる:用途別テンプレートを雛形にできます。
- オープンソースとして公開されている:GitHubでソースコードが公開されており、無料で試したりカスタマイズしたりできます。
- クラウド版とセルフホスト版を選べる:環境構築不要のクラウド版と、自社サーバーに構築するセルフホスト版を選択できます。
- 複数の方法で公開できる:Webページ、API、チャット埋め込みなど複数の形式で公開できます。
Difyではクラウド上のAIモデルだけでなく、Ollamaプラグインなどを通じてローカルLLMを接続することもできます。
ローカルLLMの仕組みや導入方法を知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
DifyとChatGPT・n8n・GPTs・LangChainを比較
DifyとChatGPTの違い
ChatGPTは、対話や文章作成、情報整理をすぐ利用できるサービスです。
一方のDifyは、LLMを組み込んだ独自のAIアプリや業務フローを設計・公開するプラットフォームで、目的が異なります。
| 比較項目 | ChatGPT | Dify |
|---|---|---|
| 主な目的 | 対話・文章作成・情報整理をすぐ使う | LLMを組み込んだ独自アプリの設計・公開 |
| 利用方法 | チャット画面で利用 | 管理画面でアプリを作成し、Web・APIなどで公開 |
| AIモデルの選択 | 主にOpenAIのGPTシリーズ | OpenAI、Anthropic、Googleなど複数を切替可能 |
| 独自データの利用 | ファイル添付やカスタムGPTsで対応 | ナレッジベースでRAGを標準利用 |
| ワークフロー設計 | 単体の会話が中心 | ノードを組み合わせGUIで構築 |
| アプリの公開方法 | GPTsとして共有、またはAPI経由で組み込み | Webアプリ・API・チャット埋め込みなど |
| 向いている利用者 | すぐに対話や文章作成を使いたい人 | 独自のAIアプリや業務フローを作りたい人 |
ChatGPTにもGPTsやAPI連携機能はありますが、Difyは複数のLLMやワークフロー、ナレッジベースを組み合わせて設計できる点が特徴です。
すぐ使いたいならChatGPT、独自アプリを構築したいならDifyが向いています。
Difyとn8nの違い
近年は、ワークフロー自動化ツールのn8nと比較されることも増えています。
どちらもノーコードで構築できますが、得意分野が異なります。
| 比較項目 | Dify | n8n |
|---|---|---|
| 主な目的 | LLMを中心としたAIアプリ作成 | SaaSやDBをつなぐ業務自動化 |
| 利用方法 | プロンプトやノードでAIアプリを作成 | 数百種類のノードで自動化フローを作成 |
| AIモデルの選択 | 複数のLLMプロバイダーを切替可能 | AI関連ノードを組み込んで利用 |
| 独自データの利用 | ナレッジベースでRAGを標準利用 | 外部DB・API経由の連携が中心 |
| ワークフロー設計 | LLM・AIエージェント中心のノード構成 | メール・Slack・DBなど外部連携中心 |
| アプリの公開方法 | Webアプリ・API・チャット埋め込み | Webhookや外部サービスへの自動連携 |
| 向いている利用者 | AIチャットボットを作りたい人 | 複数サービスをまたぐ業務を自動化したい人 |
社内向けAIチャットボットならDify、Slack通知やDB更新など業務全体の自動化ならn8nが向いています。
n8nからDifyのAPIを呼び出すなど組み合わせて使うこともできます。
DifyとGPTsの違い
GPTsは、ChatGPT上で指示や知識を設定して独自のGPTを作る機能です。
Difyは、複数のLLMや外部サービスを組み合わせたアプリを、ChatGPTの外で作成・公開できる点が異なります。
DifyとLangChainの違い
LangChainは、コードを使ってLLMアプリを開発するフレームワークです。
一方のDifyは、GUIを中心にAIアプリを構築できる点が異なります。
高度な独自実装を重視する場合はLangChain、画面操作を中心に開発を進めたい場合はDifyが候補になります。
Difyを利用するメリットと注意点
Difyを利用するメリット
主なメリットは次のとおりです。
- プログラミング初心者でも、GUI操作でプロトタイプを作成しやすい
- 複数のAIモデルやテンプレートを比較しながら、低コストで試せる
- クラウド版なら環境構築なしですぐ使い始められる
Difyを利用する際の注意点
一方、次の点に注意が必要です。
- 複雑なワークフローや高度なAPI連携には技術知識が必要な場合がある
- 利用するLLMによっては、Dify利用料金とは別にAPI料金が発生する
- AIの回答は必ずしも正しいとは限らず、重要な用途では確認が必要
- クラウド版とセルフホスト版はデータ管理の責任範囲が異なり、セルフホスト版でも接続先LLMへデータが送信される場合があるため、データポリシーやAPIキー管理を事前に確認する
- セルフホスト版は、サーバーの構築・更新・保守を自分で行う
- 商用利用は、利用形態によって追加のライセンス条件がある
Difyが向いている人
次のような方に向いています。
- ノーコードを中心にAIアプリを試作したい人
- 社内文書を参照するチャットボットを作りたい人
- 複数のLLMを比較したい人
- AIを組み込んだ業務フローを設計したい人
- 作成したAIアプリをURLやAPIで共有したい人
一方、独自UIを細かく制御したい場合や、サーバー保守の体制がない場合、単純にAIと会話できればよい場合は、ChatGPTやLangChainなども候補になります。
Difyの活用事例
Difyは、部門ごとの業務に合わせたAIアプリとして活用されています。
| 部門 | 作成するアプリの例 | 効率化できる業務 |
|---|---|---|
| 人事 | 就業規則FAQボット | 社内問い合わせ対応 |
| 営業 | 提案書の骨子作成アプリ | 提案準備 |
| カスタマーサポート | 製品FAQチャットボット | 問い合わせ対応 |
| マーケティング | アンケート回答分析ツール | 顧客ニーズの整理 |
| 管理部門 | 会議資料の要約アプリ | 規程・資料の確認 |
社内マニュアルなどを読み込ませたFAQボットは、必要な情報をすぐ検索でき、問い合わせ対応の負担軽減につながります。
Difyの料金
Difyには、クラウド版とセルフホスト版の2つの利用方法があります。
クラウド版はSandbox・Professional・Teamの3プランと、要問い合わせのEnterpriseプランがあります(2026年8月時点)。
| 項目 | Sandbox | Professional | Team |
|---|---|---|---|
| 料金 | 無料 | 年払いで$590 | 年払いで$1,590 |
| 対象ユーザー | コア機能を試したい個人 | 本番アプリを作る個人・小規模チーム | コラボレーションが必要な中規模チーム |
| アプリ数 | 5個 | 50個 | 200個 |
| チームメンバー数 | 1名 | 3名 | 50名 |
| ナレッジ容量 | 50MB | 5GB | 20GB |
| メッセージクレジット | 200 | 5,000/月 | 10,000/月 |
| 主な特徴 | 標準処理 | 優先処理、20,000トリガー/月 | 最優先処理、無制限トリガー |
詳細はDify公式料金ページで確認できます。
セルフホスト版には、公開コア機能を利用できるCommunity版と、SSOや監査ログなどの拡張機能・公式サポートが付くEnterprise版があります。
| 項目 | Community | Enterprise |
|---|---|---|
| 料金 | 無料 | 要問い合わせ(商用ライセンス) |
| 対象ユーザー | 個人開発者・自社利用の小規模導入 | 大規模組織、外部提供が必要な企業 |
| 主な特徴 | 公開コア機能をDockerで構築 | SSO・監査ログ・公式サポート |
- 料金や上限は変更される可能性があります。
- 最新情報は公式料金ページでご確認ください。
- Difyの利用料金とは別に、OpenAIやAnthropicなど利用するLLMのAPI料金が発生する場合があります。
Difyは、Apache License 2.0に追加条件を加えたライセンスで公開されています。社内利用は可能ですが、マルチテナント環境として外部提供する場合は商用ライセンスが必要で、ロゴ・著作権表示の無断削除・変更もできません。
Difyの始め方
Difyをブラウザで使用する
もっとも手軽なのは、クラウド版を利用する方法です。Dify公式サイトからサインイン画面へアクセスし、GitHubやGoogleのアカウント、またはメールアドレスでアカウントを作成します。

ログインすると、以下のようなホーム画面が開かれます。

開発の際は、事前にモデルプロバイダーを1つ以上設定しておく必要があります。
「連携」→「モデルプロバイダー」で、AIモデルのインストールやシステムモデルの設定が行えます。

モデルの利用は、プランのクレジットを消費するか、各提供元のAPIキーを登録するかの2通りです。
APIキーは、モデルをインストールした後「APIキーを追加」から登録できます。

Difyをセルフホスト版で使用する
自社の管理方針に合わせて環境を構築したい場合は、Difyのセルフホスト版を利用できます。
ローカル環境や自社サーバーに構築できる一方で、サーバーの更新、アクセス制御、障害対応などは利用者側で管理する必要があります。
Difyでは、Dockerを利用した構築方法が推奨されています。
事前にGit、Docker・Docker Composeの実行環境を用意してください。
詳しい手順はDify公式ドキュメントで確認できます。
まずは、Dify公式GitHubリポジトリのソースコードをローカル環境にクローンします。
git clone https://github.com/langgenius/dify.git取得が完了したら、ソースコード内のdockerディレクトリに移動します。
cd dify/docker必須の環境設定ファイルを、以下のコマンドでコピーします(Windows PowerShellではCopy-Item .env.example .env)。
cp .env.example .envコピーが完了したら、以下のコマンドでコンテナを起動します。
docker compose up -d起動後はhttp://localhost/installで初期設定を行い、http://localhostからログインします。
ホーム画面が表示されれば構築完了です。
DifyでAIアプリを作ってみる
Difyでチャットボットアプリを作成する
それでは、実際にDifyでシンプルなチャットボットを作成してみましょう。
まずはDifyを開き、「スタジオ」に移動します。アプリの新規作成や管理はこのページで行います。

「+作成」ボタンを押すと、アプリを新規作成できます。
一から作成する方法のほか、テンプレートやDSLファイルのインポートで始める方法もあります。

この記事では、一から作成する方法で進めます。
「最初から作成」を選択すると、以下の画面が開かれます。

作成時のアプリタイプは、以下の5つから選択できます。
- ワークフロー … 業務フローの自動化
- チャットフロー … 複雑な会話処理
- チャットボット … チャットボットアプリの作成
- エージェント … AIエージェントの作成
- テキストジェネレーター … テキスト生成アプリの作成
ワークフローとチャットフローはノードを組み合わせる開発タイプで、複雑な処理にも対応できます。
チャットボット・エージェント・テキストジェネレーターはプロンプト中心で、幅は限られますがより簡単に開発できます。
今回はチャットボットを選択します。
アプリ名や説明を入力し、「作成する」ボタンを押して開発を始めます。

開発は主にプロンプトの枠へ指示を入力する形で行い、変数の設定やコンテキストの追加なども行えます。

変数は「短文」「段落」「選択式」などの入力タイプを指定できます。
作成した変数は、プロンプト欄で「/」を入力して候補から選択すると、変数タグとして挿入できます。
プロンプトの作り方に迷う場合は、要件を入力するとAIが自動生成してくれる機能もあります。

「適用」ボタンを押すと、生成されたプロンプトに合わせて変数なども自動で設定されます。
Difyで作成したアプリをテストして公開する
入力が完了したら、画面右側の「デバッグとプレビュー」で動作テストができます。
結果を確認し、必要があればプロンプトを修正しましょう。

調整が完了したら、「公開する」→「更新を公開」で作成内容を保存できます。

作成したアプリは、専用URLでWebアプリとして実行する方法、既存サイトへ埋め込む方法、Dify APIで外部システムから呼び出す方法などで利用できます。
公開後は、管理画面で入力・出力・処理時間・トークン使用量などの実行履歴を確認でき(項目はプランにより異なります)、結果を見ながら改善していけます。
Difyにナレッジを読み込ませて業務を効率化する
ナレッジベースを作成する
社内マニュアルなど非公開の情報をAIの回答に反映させたい場合は、ナレッジベースを作成します。
アップロードした文書は、質問に応じて関連箇所が検索され、LLMに渡されて回答が生成されます(RAGと呼ばれる仕組みです)。
AIが学習して覚えるのではなく、回答のたびに検索・参照される点がポイントです。
まずは、ホームメニューから「ナレッジ」の項目に移りましょう。

細かいカスタマイズが不要な場合は、「+作成」→「すぐに使えるナレッジベースを作成」で作成できます。
まずは、読み込ませたいデータをアップロードします。

アップロード後は、チャンク設定・インデックス方法・検索設定の3項目を設定し、「保存して処理」を押します。

処理が終わると、ナレッジベースの作成は完了です。

チャットボットにナレッジを組み込む
作成したナレッジベースは、コンテキストとしてアプリに追加できます。
開発画面の「コンテキスト」欄の「+追加」ボタンを押すと、作成済みのナレッジベースが一覧で表示されます。

独自データを参照した回答も実現できます。
Difyに関するよくある質問
Difyは無料で使えますか?
クラウド版Sandbox、セルフホスト版Communityは無料で利用できます。
ただしLLMによっては別途API料金が発生します。
Difyはプログラミング未経験でも使えますか?
チャットボット作成など基本操作はノーコードで行えます。
ただし高度なAPI連携やセルフホスト版の運用には技術知識が必要な場合があります。
Difyは日本語に対応していますか?
管理画面は日本語表示に対応し、プロンプトも日本語で入力できます。
日本語ドキュメントもありますが、一部は自動翻訳のため英語版の確認が必要な場合があります。
Difyは商用利用できますか?
社内利用や自社サービスへの組み込みなど、一般的な商用利用は可能です。
ただし利用形態によりライセンス条件が異なるため、Difyの公式ライセンスを確認してください。
DifyにアップロードしたデータはAIの学習に使われますか?
ナレッジベースへの登録は、通常はLLM自体を再学習する仕組みではなく、質問に応じて情報を検索し回答時に参照する仕組みです。
ただし、クラウド環境やLLMプロバイダーによってデータの扱いは異なるため、各サービスの規約を確認しましょう。
まとめ
この記事では、Difyの仕組みから、他ツールとの違い、料金、AIアプリの作成方法、ナレッジベースの活用方法までを解説しました。
Difyの魅力は、基本的なAIアプリであれば、専門的なコーディングを抑えながら試作しやすいことです。
チャットボットだけでなく、ワークフローの自動化やAIエージェント、ナレッジベースの活用にも対応しています。
ワークフローを使った開発は、初めて触れる方には分かりにくく感じる場合もあります。
まずはテンプレートやプロンプト中心の開発タイプで、シンプルなアプリケーションを作りながら慣れていくといいでしょう。