プロジェクトマネージャ試験(PM)とは?難易度や合格率、メリットを解説

  • 2023.10.18
       
プロジェクトマネージャ試験(PM)とは?難易度や合格率、メリットを解説

そもそも「プロジェクトマネージャ」とは?

プロジェクトマネージャとは、責任者としてプロジェクト全体を管理し、プロジェクトの成果を最適化・最大化させることで、プロジェクトを成功に導く、言わば「ITプロジェクトの成功請負人」です。

高度IT人材としての広く深い知識やテクニカルスキルだけでなく、責任者としてのマネジメント能力が求められ、その采配でプロジェクト成功の可否を決まるほどの重要なポジションです。

業務と役割

  • 計画の策定
  • プロジェクトの予算と要員の確保
  • プロジェクトチームの編成・環境づくり
  • 進行管理
  • リスク管理
  • 問題解決
  • ステークホルダーとの折衝
  • 部下への指導・動機付け
  • 分析・評価

求められるスキル

制約のある中でプロジェクト成功の責任を負い、すべての工程を主導するプロジェクトマネージャには、それだけ知識や能力も広く深い大きくなります。

・計画段階で適切な手段を選ぶために必要な「組織・システム開発に関する知識・スキル」

・プロジェクト全体の方針を決める「意思決定スキル」

・コスト、納期、品質、リスク、チームに対する「管理スキル」

・クライアントの意向の変化や問題発生時に早急に対処する「柔軟な対応力」

・適切な判断を行うための「分析・評価スキル」

そんな、さまざまな業務・役割を担い、多くのスキルを必要とするプロジェクトマネージャにとって、「プロジェクトマネージャ試験」は最適です。詳しく説明していきます。

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プロジェクトマネージャ試験とは?

プロジェクトマネージャ試験は、IPAの実施する国家資格「情報処理技術者試験」の一つで、プロジェクトマネージャとして業務を遂行するのに必要となる知識への理解を深めることを目的として、年一回秋期(10月)に実施されています。

プロジェクトマネージャに関する資格試験では、ほかにPMP試験が有名ですが、受験するには、10万円以上する公式研修を35時間以上受講しなくてはならず、資格の維持にも3年ごとの研修や学習が必要なため、情報処理技術者試験に比べて敷居が高いです。その点、プロジェクトマネージャ試験は難易度の高いですが、受験前提や資格更新が必要ないため、コストパフォーマンスが高い資格になっています。

プロジェクトマネージャ試験の難易度は?

プロジェクトマネージャ試験は情報処理技術者試験のなかでも最高難易度を誇り、レベル区分でも最上位であるレベル4に分類されます。このように難易度が高い理由としては、4つの試験があり、出題範囲が広いことや午後Ⅰ試験が記述式、午後Ⅱ試験が論述式であることなどが挙げられます。

受験資格
プロジェクトマネージャ試験では特に受験資格は設けておらず、誰でも受けられますが、IPAでは、以下のような人物を対象としています。

「高度IT人材として確立した専門分野をもち、組織の戦略の実現に寄与することを目的とするシステム開発プロジェクトにおいて、プロジェクトの目的の実現に向けて責任をもってプロジェクトマネジメント業務を単独で又はチームの一員として担う者」

上記からも、試験の難易度の高さがうかがえますね。
では、実際にIPAで設定されている難易度を見てみましょう。

各レベルの定義

参照:「試験要綱

冒頭でもお伝えしたとおり、プロジェクトマネージャ試験は、情報処理技術者試験制度のなかでも最高位であるレベル4に位置付けられています。
ちなみに、後ほど詳しく説明しますが、プロジェクトマネジメント以外の分野は応用情報技術者試験と同じ、レベル3の問題が出題されます。

各レベルの定義

では、次に、合格率・合格者平均年齢について見ていきましょう。

合格率・合格者平均年齢

以下の表は、直近5回分の受験者数・合格者数・合格率・合格者平均年齢を表した表です。

 受験者数合格者数合格率(%)
平成30年度春期11,3381,49613.2
平成31年度春期10,9091,54114.1
令和2年度10月6,27694815.1
令和3年度秋期6,68095914.4
令和4年度秋期7,3821,04214.1

[統計資料]

そして、こちらは受験者・合格者平均年齢を表した表です。

 平成30年度春期平成31年度春期令和2年度10月令和3年度秋期令和4年度秋期
受験者平均年齢39.940.140.640.540.7
合格者平均年齢38.038.138.737.838.0

[平均年齢]

合格率は14~15%で推移しており、合格者平均年齢が30代後半であることからも、ある程度エンジニアとしての経験を積んだうえで、十分な勉強時間を確保することが望ましいでしょう。

プロジェクトマネージャ試験の概要

試験時間・出題形式・出題数・解答数

午前Ⅰ午前Ⅱ午後Ⅰ午後Ⅱ
試験時間9:30~10:20
(50分)
10:50~11:30
(40分)
12:30~14:00
(90分)
14:30~16:30
(120分)
出題形式多肢選択式
(四肢択一)
多肢選択式
(四肢択一)
記述式論述式
出題数30問25問3問2問
解答数30問25問2問1問

午前I、午前Ⅱ試験は全問回答、午後Ⅰ、午後Ⅱ試験に関しては設問を選択して解答します。

採点方式・配点・合格基準

プロジェクトマネージャ試験は素点方式で採点され、午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱの各試験の得点がすべて基準点以上の場合に合格となります。

試験区分ごとの配点は、午前Ⅰが30問であるため、1問あたり3.4点、午前Ⅱは25点なので1問あたり4点、午後Ⅰ試験は1問で100点、午後Ⅱ試験はA~Dの評価ランクによるものとなるため、配点割合はありません。

なお、午後Ⅱ(論述式)試験の評価方法については、以下のように定められています。

「設問で要求した項目の充足度,論述の具体性,内容の妥当性,論理の一貫性,見識に基づく主張,洞察力・行動力,独創性・先見性,表現力・文章作成能力などを評価の視点として,論述の内容を評価する。また,問題冊子で示す “解答に当たっての指示”に従わない場合は,論述の内容にかかわらず,その程度によって評価を下げることがある。」

参照:「試験要綱

合格基準としては、午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ試験が100点満点中60点以上、午後Ⅱ(論述式)試験では配点割合はなく、評価ランクがA~Dのうち、ランクAのみが合格となります。

各試験の得点が基準点に達しない場合は、その後に行われた試験の採点はされずに不合格となります。

出題範囲

午前の試験では知識、午後の試験では技能が問われます。各試験について詳しく見ていきましょう。

午前Ⅰ試験
午前I試験は、応用情報技術者試験と同じ、レベル3のIT技術全般の基本知識が求められます。
テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系と広範囲な内容が出題され、テクノロジ系では特にセキュリティ分野に重点が置かれています。
出題範囲としては、基礎理論、アルゴリズム、コンピュータシステム、システム構成要素、ソフトウェア、データベース、ネットワーク、セキュリティ、開発技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム戦略、経営戦略、法務などです。

午前Ⅱ試験
午前I試験は、プロジェクトマネジメントに関する基本知識を中心に問われます。
午前Ⅰ試験と同様に、プロジェクトマネジメントに関してはレベル4、それ以外の分野はレベル3となっています。
出題範囲としては、セキュリティ、システム開発技術、ソフトウェア開発管理技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム企画、法務です。

午後Ⅰ試験
午後Ⅰ、午後Ⅱ試験は、どちらも以下の範囲から出題されます。
・プロジェクトの立ち上げ・計画
・プロジェクトの実行・管理
・プロジェクトの終結

午後Ⅰ試験は、記述式であり、長文問題で記述が必要になるため、文章や図表の読解力、短く的確にまとめる文章力が必要になります。

午後Ⅱ試験
午後Ⅱ試験も以下の範囲から出題されます。
・プロジェクトの立ち上げ・計画
・プロジェクトの実行・管理
・プロジェクトの終結

ただ、長文を読み解いて短く的確にまとめる午後Ⅰ試験とは異なり、午後Ⅱ試験では、設問に対して自分の考えを論述形式で解答していきます。
設問で要求した内容について、見識に基づいて述べられているか、内容は妥当か、論理には一貫性があるか、といった視点で採点されるため、プロジェクトマネジメントの進め方に対する見識や自身の考え方をわかりやすく伝える文章作成能力が求められます。

試験範囲の詳細については以下をご覧ください。
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_13download/youkou_ver5_1_henkou.pdf
レベル4プロジェクトマネジメントに関する知識・技能の細目シラバス
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_13download/syllabus_pm_ver7_0.pdf

2022年5月、試験の大幅な改訂が行われた――その背景には何が
DX化が進むなかで、システム開発に関してもウォーターフォール型の開発手法からアジャイル型に移行する企業も増えています。
それに伴い、プロジェクトマネジメントに携わる者にもプロジェクトを取り巻く環境変化に柔軟かつ迅速に対応することが求められており、人材像(対象者像、業務と役割、期待する技術水準)や出題範囲、シラバス(試験における知識・技能の細目)が改訂されました。

受験料金

受験手数料は7,500円です。

得点分布・評価ランク分布

参照:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_07toukei/seiseki_bunpu/pm04a_bunpu.pdf

上の図は最新の試験の得点分布・評価ランク分布を表しています。
午前Ⅰ試験よりも午前Ⅱ試験からの試験者数が多い理由については後ほど説明します。

プロジェクトマネージャ試験を取得するメリットは?

スキルを証明できる
プロジェクトマネジメント関連のスキルは定量的にアピールしづらいですが、プロジェクトマネージャ試験のような難関資格を取得することで、高度なスキルを客観的に示せるため、プロジェクトマネージャに任命されたり、好条件での転職が叶ったりと、キャリアアップにも役立つでしょう。

資格手当や報奨金がもらえる
プロジェクトマネージャ試験を取得すると、企業によっては、資格手当や報奨金が付与される場合があります。相場としては資格手当が10,000円〜20,000円/月、報奨金はおよそ120,000円ということです。

試験の一部免除が受けられる
ほかの資格試験で一部免除制度が受けられます。具体的には以下のようなものがあります。

  • 中小企業診断士試験
    第1次試験科目の一部免除
  • 弁理士試験
    論文式筆記試験選択科目(理工Ⅴ(情報))の免除
  • 技術士試験
    第一次試験の専門科目(情報工学部門)の免除
  • ITコーディネータ(ITC)試験
    ITコーディネータ試験の一部が免除される専門スキル特別認定試験の受験が可能

プロジェクトマネージャ試験の対策方法は?

午前の試験は試験時間が短く出題数が多いため素早く解答を選択する必要があり、午後の試験は試験時間自体は長いですが、記述式・論述式であるため、文章の読解能力や文章作成能力が必要になります。それぞれの試験の対策方法について説明します。

午前Ⅰ試験
午前Ⅰ試験の問題は、ほとんど同時期に行われる応用情報技術者試験の午前試験から選定されます。出題数の多いテクノロジ系がカギとなり、過去問をひたすら解き、間違えた箇所を復習して覚えなおすという学習方法がおすすめです。
過去問は公式ページに掲載されています。
過去問:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/_index_mondai.html

ちなみに、プロジェクトマネージャ試験受験者の半数以上が、午前Ⅰ試験を免除しています。
以下に該当する人であれば、この免除制度が2 年間有効です。

(1)応用情報技術者試験に合格する。
(2)いずれかの高度試験又は支援士試験に合格する。
(3)いずれかの高度試験又は支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績を得る。

プロジェクトマネージャ試験は4つの試験があり、長丁場になるため、少しでも負担を軽減するよう上記免除制度の該当者には積極的な利用をおすすめします。

午前Ⅱ試験
午前Ⅱ試験はプロジェクトマネジメントに関する設問が25問中15問を占めるため、この分野を制するかがポイントになります。こちらも過去問からの出題が多いため、過去問演習、特に、経験の少ない分野を重点的に行いましょう。

午後Ⅰ試験
午後Ⅰ試験は、長文や図表を読み解き、設問に対して30文字程度の記述が必要になるため、文章や図表の読解力、短く的確にまとめる文章力が必要になります。
まずは、文章や図表を短時間で正しく読解する練習を行い、そして短い文字数で簡潔に解答する練習、それから演習量をこなして解答スピードを上げていくというのがおすすめです。

午後Ⅱ試験
午後Ⅱ試験の設問はだいたい以下のようになっています。

設問設問内容文字数
設問 ア状況などの概要を述べる800字以内
設問 イ対応などを具体的に示す800~1600字
設問 ウ評価や今後の課題を述べる600~1200字

午後Ⅱでは、試験時間の2時間でおよそ3000文字を書き、その上で、自分の考えや経験などを他者にわかりやすく伝える必要があります。
まずは、文章を書く構成力を身につけることです。それぞれの設問に対する内容を箇条書きで書き出し、そこから肉付けしていくのがコツです。
また、論述ネタをいくつか持っておくのも一つの手です。

プロジェクトマネージャ試験を受験すべき人は?

プロジェクトマネジメントを体系的に学べて、実際の仕事の流れが見通せるようになるため、プロジェクトマネージャを目指す人にとってもおすすめの資格です。

・PMPの受験資格を満たさない人
・プロジェクトマネージャを志す人
・ほかの高度試験を受験予定の人
・受験費用を抑えたい人

ITスキルを習得するには?

書籍やインターネットで学習する方法があります。昨今では、YouTubeなどの動画サイトやエンジニアのコミュニティサイトなども充実していて多くの情報が手に入ります。
そして、より効率的に知識・スキルを習得するには、知識をつけながら実際に手を動かしてみるなど、インプットとアウトプットを繰り返していくことが重要です。特に独学の場合は、有識者に質問ができたりフィードバックをもらえるような環境があると、理解度が深まるでしょう。

ただ、ITスキルを身につける際、どうしても課題にぶつかってしまうことはありますよね。特に独学だと、わからない部分をプロに質問できる機会を確保しにくく、モチベーションが続きにくいという側面があります。独学でモチベーションを維持する自信がない人にはプログラミングスクールという手もあります。費用は掛かりますが、その分スキルを身につけやすいです。しっかりと知識・スキルを習得して実践に活かしたいという人はプログラミングスクールがおすすめです。

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