【Linux資格】LPICとはどんな資格?難易度・LinuCとの違い

  • 2023.08.16
       
【Linux資格】LPICとはどんな資格?難易度・LinuCとの違い

Linuxの技術者認定資格のなかでも世界規模で認知度が高いものといえばやはり「LPIC」でしょう。

本記事では、受験を考えている人に向けてLPICとはどんな資格なのか、LinuCとの違いや、試験の難易度、合格点などを中心に解説します。また、試験を突破する勉強法や試験の予約方法なども紹介するので今後の参考にしてください。

LPIC(エルピック)とは?

世界共通のLinux技術者認定資格

LPIC(Linux Professional Institute Certification)とはLinux技術者を認定するインフラエンジニア向けのベンダー資格です。カナダに本部を置くNPO法人「LPI」が2001年から実施されている資格で、日本国内ではLPI-Japanが試験を実施していましたが、LinuCの開始とともにLPIとLPI-Japanの関係が解消され、現在はLPI日本支部が国内のLPIC運営を担当しています。世界180ヶ国、7言語で展開されるグローバルな資格で、Linuxの認定資格としては世界最大規模です。認知度もそれだけ高いため、この資格を取得していればLinuxを扱う企業で就活・転職時のアピールにもなります。特にインフラエンジニアを目指す人はぜひ取得すべき資格といえます。 

2018年6月末の時点で国内のLPICの受験者数は累計20万人以上に及び、世界でみると約3割が日本となっており、国内人気も高いことが分かります。

LPICとLinuCの違い

LPICとは別に「LinuC(リナック)」という資格があります。こちらもLinuxに関するスキルを証明する資格ですが、両者の運営団体が異なります。LPICは開始当初はLPI-Japanが運営し、2018年以降はLPICの運営をやめて、日本国内向けの認定資格としてLinuCに移行しました。現在のLPICの運営団体はLPI日本支部となってます。難易度も同じ程度です。LPICは世界市場向けの資格でLinuCは日本市場向けの資格と考えて問題ありません。

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LPICの3つのグレード

LPICレベル1

実務で必要になるLinuxの基本操作やシステム管理が行えることを証明する資格です。難易度はそこまで高くなく、Linux入門者向けの内容となっており、実務経験のない学生や新卒の人でも合格している人が多くいます。

問題は101と102に分かれていて試験時間は各90分間です。60問の多肢選択問題と穴埋め問題になっています。受験費用はそれぞれ16,500円(税込)です。2科目で合わせて33,000円かかるので注意しましょう。

レベル1、2の認定を受けるには2科目合格する必要がありますが、同日で受験する必要はなく一方に合格してから5年以内にもう一方も合格すれば大丈夫です。2つ目の合格日が認定日となり、そこから5年間が有効となります。

求められるレベル実務に必要となるLinuxの基本操作やシステム管理ができる
試験時間各90分
問題数各60問
認定条件101試験・102試験に合格すること
前提条件なし
有効期間再受験または上位レベルを合格しない限り5年
費用33,000円(16,500円×2科目)

LPICレベル2

Linuxのシステムデザインや、サーバなどのネットワーク構築における企画・導入・維持・トラブルシューティング・キャパシティプランニングが行えることを証明できる資格です。レベル1よりも出題内容も広範囲かつ高度になるため、難易度は上がります。ある程度実務経験がある人向けの資格といえます。

こちらもレベル1と同様に2試験に分かれていて試験時間は各90分間で、60問の多肢選択問題と穴埋め問題になっています。受験費用はそれぞれ16,500円(税込)です。2科目で合わせて33,000円かかるので注意が必要です。有効期限もレベル1と同様です。

求められるレベルサーバ構築ができる
試験時間各90分
問題数各60問
認定条件201試験・202試験に合格すること
前提条件レベル1に合格していること※順不同
有効期間再受験または上位レベルを合格しない限り5年
費用33,000円(16,500円×2科目)

LPICレベル3

レベル3からは「混在環境」「セキュリティ」「仮想化とコンテナ化」「高可用性システムとストレージ」という4つの専門分野に分かれ、4つの試験は独立していてどれか一つでも合格すれば認定を受けられます。Linuxに関する専門的かつ高度な知識に加えてWindowsOSや仮想OSなどの技術知識も必要になり、Linux以外の勉強も必要です。実務経験のある高度なLinux技術者でも簡単に合格することは難しいでしょう。4つの中から実務に必要な専門分野の試験を受けましょう。試験時間は90分間で出題数は60問です。受験料は16,500円(税込)です。

求められるレベルサーバ連携の設計・構築ができる
試験時間各90分
問題数各60問
認定条件4つのうちいずれかの試験に合格すること
前提条件レベル2に合格していること※順不同
有効期間5年
費用各16,500円

LPICの出題範囲

LPICは難易度の異なるレベル1からレベル3までに分かれています。

LPICレベル1

101試験

  • システムアーキテクチャー
  • Linuxのインストールとパッケージ管理
  • GNUとLinuxコマンド
  • デバイス、Linuxファイルシステム、ファイルシステム階層標準

102試験

  • シェルとシェルスクリプト
  • インターフェイスとデスクトップ
  • 管理業務
  • 基幹システムサービス
  • ネットワークの基礎
  • セキュリティ

LPICレベル2

201試験

  • 容量計画
  • Linuxカーネル
  • システムスタートアップ
  • ファイルシステムとデバイス
  • ストレージデバイスのアドミニストレーション
  • ネットワーク構成
  • システムメンテナンス

202試験

  • ドメインネームサーバー
  • ウェブサービス
  • ファイル共有
  • ネットワーククライアント管理
  • 電子メールサービス
  • システムセキュリティ

LPICレベル3

300試験(混在環境)

Linux、Windows、Unixが混在するシステムの設計・構築・運用・保守を行えることを証明する資格です。

  • Sambaの基本
  • SambaとActive Directoryのドメイン
  • Samba共有の設定
  • Sambaクライアントの設定
  • LinuxのID管理とファイル共有

303試験(セキュリティ)

セキュリティレベルの高いコンピュータシステムの設計・構築・運用・保守を行えることを証明する資格です。

  • 暗号技術
  • アクセス制御
  • アプリケーションセキュリティ
  • オペレーションセキュリティ
  • ネットワークセキュリティ
  • 脅威と脆弱性の評価

305試験(仮想化とコンテナ化)

仮想化およびコンテナ化に重点を置いたシステムの設計・構築・運用・保守を行えることを証明する資格です。

  • 完全仮想化
  • コンテナ仮想化
  • VMのデプロイメントとプロビジョニング

306試験(仮想化とコンテナ化)

高可用性システムとストレージに重点を置いたシステムの設計・構築・運用・保守を行えることを証明する資格です。

  • 高可用性クラスタ管理
  • 高可用性クラスタストレージ
  • 高可用性分散ストレージ
  • シングルノードハイアベイラビリティ

LPICを取得するメリット

スキルアップ

業務でLinuxを使っている人でも、毎日決まった業務をこなしている場合、どうしても知識やスキルに偏りが出てしまいます。LPICに合格するためには、Linuxのコマンドや、サーバーの仕組みについて網羅的に学習する必要があります。学習の過程で、知識が足りない分野を知り、勉強することでスキルアップにつながります。

実務で活かせる

サーバなどのネットワーク機器やAndroid、IoT機器など、Linuxを使うケースが非常に多いため、技術者として能力を活かす機会が多くあり、実務に活かしやすいです。

キャリアアップにつなげやすい

エンジニアあらゆるキャリア職種でLinuxの知識が必要になります。高度かつ専門的な知識を持っている証明になるため、キャリアアップとしても有効です。

LPICを取得するデメリット

資格に有効期限がある

資格は認定日から5年間が有効となっており、一度取得したらいいというわけではありません。本資格を所有し続けるには再受験を重ねる必要があります。受験料も安くないうえに、継続的な学習が必要になります。

LPICの難易度は?

レベル1は実務で必要になるLinuxの基本操作やシステム管理が行えることを証明する資格です。難易度はそこまで高くなく、実務経験がない人でも勉強すれば合格できる内容になっています。経済産業省の定める「ITスキル標準(ITSS)」では、レベル1に指定されており、同じレベルだと、LinuC-1やITパスポート試験などがあります。

レベル2では、サーバ全般の問題が出題され、高度な内容が増えるため、難易度も高くなります。
ITスキル標準(ITSS)では、レベル2となっており、同じレベルだと、LinuC-2やCCNAなどがあります。

レベル3になると専門分野ごとにSamba(Linux上でWindowsネットワーク機能を提供するソフトウェア)や暗号化などのセキュリティ技術、仮想化技術といった専門的かつ高度な内容が問われるので豊富な実務経験で得た知識・スキルがないと合格は難しいでしょう。
ITスキル標準(ITSS)では、レベル3)となっており、同じレベルだと、Linuc-3やCCNPなどがあります。

勉強時間の目安

勉強時間については個人差があるため、目安でしかないですが、合格体験記を見るとレベル1の合格者は1科目に2週間~1ヶ月かけていることがわかりました。2科目合格する必要があるのでレベル1の合格には100時間程度かかる計算になります。

上位の資格になるとそれ以上に時間がかかると考えられるのでレベル2は300時間程度、レベル3に関しては1科目ですが、専門性や難易度が上がる事を考慮すると600時間程度になると考えられます。ただ、合格にはLinuxやその関連に関するスキルが必要になるため未経験者であればより多くの勉強時間を確保する必要があります。

LPICの申込方法

申し込みには「LPI ID」が必要になります。そのため、まずLPIのHPでアカウントを作成して「LPI ID」を取得しましょう。

登録ページ

受験の申し込みは「ピアソンVue」で行います。

「登録・試験の予約」のプルダウン>受験者ホーム>試験プログラムの検索>試験プログラム検索(A-Z)の「L」>LPI | Linux Professional Institute認定試験>試験を予約する

ここでLPI IDが必要になります。

※ピアソンVueアカウントの作成後、1営業日以内に登録時のメールアドレスに確認メールが届きますがタイミングによってはそれ以上かかる場合もあります。

ピアソンVueのアカウントとLPI IDを発行したアカウントは別であるため、ログイン情報はそれぞれ厳重に保管しましょう。

LPICの受験料・支払い方法

受験料はレベル1から3まですべて同じで、1科目16,500円(税込)です。

受験料の支払方法には以下の4つがあります。

  • クレジットカード払い
  • バウチャーの購入
  • 銀行振込
  • 現金払い

バウチャーとは有効期限のある受験チケットのことで購入後の限られた期間内で受験する必要があります。

受験方式

試験は、全国のテストセンターでCBT方式(コンピュータに表示された試験問題をマウスやキーボードを使って解答する方式)で実施されます。

LPICの試験日・会場

試験は通年実施されており好きなタイミングで受けられます。基本的には祝日を除く月~土曜日となっていますがテストセンターによって休日や実施時間帯が異なるため、予約時に各テストセンターの実施日程を確認しておく必要があります。

LPICはオンライン受験できる?

2020年からは自宅でのオンライン受験も可能になりました。ただし、事前に受験スペースの写真のアップロードで承認を得る必要があったり、試験中に第三者が入室してはいけないといったいくつかの条件があるため、こちらも事前に確認する必要があります。

LPICの合格点

LPICの合格ラインは65%〜75%程度と言われています。試験の得点は200点から800点満点となっており、200点ははじめから付与されています。問題の配点などは公開されていませんが、合格体験記では500点の後半から合格者が出ているようなので、600点を越えれば合格が固いでしょう。

試験はCBT方式のため、結果はテスト終了後のPC画面に表示されます。合格の場合、証書がLPIアカウントに登録してある住所宛てに郵送されます。

LPICの合格率

LPICの合格率は非公開ですが2018年までLPICを運営していたLPI-Japanの発表によれば2016年時点での日本国内における累計受験者数は27万4000人で認定者は合計9万7千人程度とされています。

認定者の内訳はレベル1が6万5,000人、Level-2が2万人、Level-3が約1万1,000人ということです。

推測するに、全体の合格率は30%程度、レベル1の合格率は50%程度といった感じです。

LPICの有効期限

レベル1の認定を受けるには101と102の2科目両方に合格する必要があります。また、レベル2の認定を受けるには下位のレベル1の認定を受ける必要があり、201と202の2科目に合格する必要があります。ただし、試験はどのレベルからの試験でも受験できます。レベル3に関しては専門分野に分かれ、試験もそれぞれ独立しているためLevel-2の認定を受け、4分野のうち、いずれかの試験に合格する事で認定されます。

(再受験またはより上位の資格を取得しない限りLPICの有効期限は5年間です。5年以内に同じレベルまたは上位レベルの試験に合格することで更新できます。

再受験ポリシー

1回目の受験で不合格になった場合、同じ科目の再受験ができるのは7日後(翌週の同曜日)からとなります。2回目の受験で不合格の場合、3回目の受験は30日以上経過している必要があります。

LPICはどんな人におすすめ?

・インフラエンジニア
・LinuCとLPICのどちらを受験するか迷っている人

・就職・転職でのアピールポイントが欲しい人
・海外や外資系企業を視野に入れている人

インフラエンジニアとは?仕事内容や必要なスキルを解説

LPICの勉強方法

書籍やインターネットで学習する方法があります。昨今では、YouTubeなどの動画サイトやエンジニアのコミュニティサイトなども充実していて多くの情報が手に入ります。
そして、より効率的に知識・スキルを習得するには、知識をつけながら実際に手を動かしてみるなど、インプットとアウトプットを繰り返していくことが重要です。特に独学の場合は、有識者に質問ができたりフィードバックをもらえるような環境があると、理解度が深まるでしょう。

ただ、LPICに限らず、ITスキルを身につける際、どうしても課題にぶつかってしまうことはありますよね。特に独学だと、わからない部分をプロに質問できる機会を確保しにくく、モチベーションが続きにくいという側面があります。独学でモチベーションを維持する自信がない人にはプログラミングスクールという手もあります。費用は掛かりますが、その分スキルを身につけやすいです。しっかりと知識・スキルを習得して実践に活かしたいという人はプログラミングスクールがおすすめです。

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まとめ

Linuxの基礎から専門分野まで段階的に学習できるLPICは未経験からインフラエンジニアを目指す人には最適な資格といえます。

また、実務経験者にとっても、普段の業務では知識やスキルが偏ってしまいがちですが、広範囲で新しい技術を知ることもでき、スキルアップにつながります。

Linuxを日常的に利用する人や今後の利用を考えている人であればぜひ取っておきたい資格です。

     

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