CCNAとは
CCNA とは、世界最大のコンピュータネットワーク機器メーカーであるシスコシステムズ社が実施するシスコ認定資格の一つで、ネットワークエンジニアの入門資格といった存在です。
CCNA の正式名称は「Cisco Certified Network Associate」で、その名のとおり、CCNA は、ネットワークに関する幅広い知識が求められます。
シスコシステムズ社は、主にルータやハブなどのネットワーク機器を製造・販売しており、そのシェアは世界でも群を抜いています。日本でもそのシェアは高く、同社の製品は多くの現場で使われています。
CCNA は民間資格ですが、このようにネットワーク業界では知名度が非常に高い企業が全世界で実施しているということもあり、取得することで同社製品の操作だけでなく、ネットワークに関する基礎的な知識や技術を身につけていると国際的基準で証明できるということになります。
日々進化する IT 技術に合わせて必要とされる知識が増え CCNA も高難度化していますが、さらに、2020年に行われた出題範囲の大幅な改定により、従来よりも試験の難易度が高まったため、資格取得に向けてしっかりと勉強する必要があります。次項で詳しく説明します。
CCNAの難易度
CCNA の難易度としては、エンジニア資格のなかでは、それほど高くないとされています。シスコ技術者認定資格には習得難易度別に 6 段階の認定レベルが用意されています。
簡単な方から「エントリー」「アソシエイト」「スペシャリスト」「プロフェッショナル」「エキスパート」「アーキテクト」の順です。CCNA は、そのうち下から 2 番目の難易度で、最もポピュラーな認定資格となっています。
しかし、ネットワークに関して専門的な知識が問われるため、決して容易に取得できる資格というわけではありません。
また、ネットワーク技術の発展に伴い、CCNA は 2020 年 2 月の改定が行われ、出題範囲が広がったことで難易度が上がりました。
それまでは以下に示すいくつかの専門分野に関する試験がそれぞれ行われ、CCNA は各分野の資格の総称という扱いでしたが、この改定により、各試験が一つに集約され、「200-301 CCNA」試験一つに集約されたのです。
- CCNA Routing & Switching
- CCNA Cloud
- CCNA Collaboration
- CCNA Data Center
- CCDA
- CCNA Industrial
- CCNA Security
- CCNA Service Provider
- CCNA Wireless
このように、細分化されていた試験が一つに集約されたことで出題範囲が広がり、CCNA 資格の難易度の上昇につながっているのです。
資格取得の難易度は上がりましたが、それによって、資格自体の価値も高まったともいえます。
CCNA受験について
受験にあたっての前提条件
CCNA 試験において正式な前提条件はありませんが、シスコソリューションの導入・管理の経験が 1 年以上あることが推奨されています。
出題内容
CCNA の取得には、「200-301 CCNA 」試験に合格する必要があります。120 分間の試験で、次の知識をテストします。
ネットワークの基礎 | 20 % |
ネットワークアクセス | 20 % |
IP接続 | 25 % |
IPサービス | 10 % |
セキュリティの基礎 | 15 % |
自動化とプログラマビリティ | 10 % |
出題形式
CCNA はコンピュータに入力していく CBT 方式を採用しています。試験時間 120 分で問題が出題数も 100 問前後と多く、さらに筆記問題も出題されるため、一つの問いに時間を使いすぎずに、最後まで解ききるのがおすすめです。
一問解いたら「次へ」というボタンを押し、一問ずつ進めていくので、一度「次へ」を押したら前には戻れない仕組みになっており、見直しができないという点で注意が必要です。
有効期間
すべてのシスコ技術者認定資格の有効期限は 3 年間です。
資格を保有し続けるには、3 年以内に同レベル、または上位のレベルの試験に合格する、または生涯学習クレジットを 30 ポイント取得して再認定を受ける必要があります。
厳しいようですが、この制度によって常に知識やスキルをアップデートし続ける必要が出てくるため、資格自体の価値も高く保たれています。
試験日・試験会場
CCNA 受験は、試験日や試験会場の指定はなく、自分の都合のつくタイミングや会場に空きさえあればいつでも受験可能で受験申し込みも随時受け付けています。
◆試験日
基本的には、祝日を除く月~土曜日で受験可能です。
※テストセンターによって休館日が異なる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
◆試験会場
全国100か所以上にあるテストセンター(全国のピアソンVUE公認試験会場)から、希望の会場を選択可能です。
【試験会場(テストセンター)一覧】
受験料
33,600円(税抜)
申し込みの流れ
① ピアソンVUE社のページにてアカウントを登録する
https://www.pearsonvue.co.jp/Clients/Cisco.aspx
② 受験日時・場所を指定し、受験予約を行
予約方法には以下の方法があります
a. 受験申し込みページ
b. コールセンター(0120-355-583 または 0120-355-173)
※フリーダイヤルが利用できない場合の電話番号:03-6743-6643
c. テストセンターに直接出向く
受験当日の流れ
試験開始時刻の 15 分前までに到着しておく必要があります。
※試験時間に 15 分以上遅れると受験資格が失効になります
身分証明書 2 種類(そのうち1つは免許証やパスポート、マイナンバーカードといった公的機関の発行する顔写真入りの証明書であること)を忘れずに持参しましょう。
新しい取り組み
2020 年 12 月から自宅でのオンライン受験も選択できるようになりました。自宅の場合、カメラで手元と画面が映っているのが条件となります。テストセンターか自宅か、自分に合った方法を選びましょう。
CCNAの合格点と合格率
試験問題はランダムに出題されるため、同会場で同時刻に受験している場合でも、人によって出題内容が異なります。そのため、合格点も同様に、受けた人によって変わってきます。
合格ラインは公式では非公開になっていますが、1000 点満点中 800~900 点といわれており、825 点以上を取れれば、合格率が高いようです。
CCNA 勉強サイト、「Ping-t」の合格体験記コーナーでは、合格者が「何点で合格したか」「何回目で何時間勉強して合格した」といった内容が多く投稿されています。
勉強内容と勉強時間の目安
CCNA 試験の学習時間の目安としては、およそ 200 時間といわれています。従来の試験では 160 時間前後と言われていたため、難しくなっているのが分かりますね。ただ、これは、学習者の知識やスキルによっても異なります。
初心者の場合
CCNA 資格取得はネットワークの勉強を始めたいと考えている初心者にも有効です。ネットワーク分野は幅が広すぎて勉強を始めようにも、どこから着手すべきかわからないという事態に陥ってしまいがちです。そのような場合に、CCNA 資格の勉強をすることで効率よくネットワークの基礎を身につけることができます。
ネットワークに関する知識を持たない初心者の場合は、ネットワークの仕組みといった基礎の部分から学習をはじめる必要があります。また、実機に触れたことがないと、どうしても仕組みなどがイメージしづらく、スキルを身につけるのに時間がかかります。そのような背景もあり、ネットワークを基礎から身につけるのに 300 時間ほどは確保しましょう。
エンジニアとしての経験がある場合
エンジニアとしての経験があり、ネットワークに関して一定の知識がある場合の学習時間の目安はおよそ 200 時間ほどでしょう。ただ、ネットワークの仕組みを理解していない場合は、同じく基礎から学習を始めましょう。
ネットワークエンジニアとしての経験がある場合
ネットワーク の基礎を網羅している CCNA 資格を勉強することで自分自身のスキルチェックにもなります。固定の業務だけでは、どうしても知識に偏りが出てしまう場合があります。資格の勉強を進める過程で、自分の得意な分野や疎い分野を客観的にチェックすることができます。
ネットワークエンジニア経験がある場合は、試験対策を中心的に行うことになります。また、実務経験があっても、経験がない分野がある場合はその分野の試験対策を集中的に行いましょう。問題なければ 100 時間前後の学習で習得できるでしょう。
学習方法
CCNA 試験への対策として書籍やオンラインサービスも多く存在しているため、これらを活用するのがおすすめです。
書籍で学ぶ
CCNA 関連の書籍は多く出版されています。また、シスコシステムズ社から出版されている公式の書籍もあるため参考になるでしょう。
注意点としては、改定前の 2020 年 2 月以前の書籍を購入しないことです。
CCNA の試験内容は定期的にバージョンアップされるため最新のバージョンが最適だといえます。
オンラインサービスで学ぶ
参考書や問題集と併せてオンラインサービスを活用することで、より効率的に学習を進められるでしょう。隙間時間にスマホで勉強できたり、サービスによっては質問できるものもあったりするので、モチベーショの維持にも有効です。
CCNA では、シミュレーション問題といって、実機の設定をシミュレートする記述式の問題が出題されます。実機を操作したことのない人にとっては難所となります。自身で実機を用意するのは困難であるため Webページ上で作動するシミュレーターなどをして学習を進めましょう。
公式チュートリアルで学ぶ
公式サイトに用意されているチュートリアルや練習問題も活用できます。CCNA の特殊な試験形式に慣れるためにも、試験前に一度は参照しておきましょう。
チュートリアルでは、受験の様子を動画で確認でき、練習問題では、問題数は限られますがカテゴリ別の練習問題が用意されています。これらを活用して実際の試験のイメージを掴みましょう。
対応可能な職種
- エントリーレベルのネットワークエンジニア
- ヘルプデスク技術者
- ネットワーク管理者
- ネットワークサポート技術者
終わりに
CCNA 資格を取得することでシスコ製品だけでなく、ネットワークに関するスキルや知識を持つことの証明になり、ネットワーク機器全般を扱えるようになります。とくに、ネットワークエンジニアを目指す方にとってはシスコ技術者認定のなかでもメジャーで初心者向けの資格である CCNA を取得して損はないでしょう。