現在、スマホゲームからVRゲームに至るまで、多種多様なゲームが登場し、市場も拡大しています。そんなゲームを自身で作ってみたいと思う人もいるのではないでしょうか。
そこで、本記事ではゲーム開発を考える人に向けておすすめのプログラミング言語やゲームエンジンについて紹介します。プログラミング学習の進め方も併せて解説するので今後のゲーム開発の参考にしてください。
ゲームプログラマーはどんな仕事?
ゲームプログラマーとは、ゲーム開発でキャラクターの動きなどをプログラミングで表現する職種です。
用意されたシナリオやイラストなどの素材を使い、プログラムを組み、企画書に沿って動きを再現します。また、それに加えてユーザにストレスを感じさせないよう操作性も追求する必要があります。プロデューサーやゲームディレクター、デザイナーが意図したものを再現できるかはゲームプログラマーの腕にかかっているともいわれ、ゲーム制作の中核を担う仕事です。
ゲームプログラマーはプログラミングスキルに加えてゲームが実現可能かを検討したり人を惹きつけるゲームにするためのアイデア力・発想力も必要になります。
ゲームプログラマーになるには?必要なスキル・役立つ資格
ゲーム業界の動向
昨今のゲーム業界は、スマートフォンやタブレットの普及により、サイトへのアクセスやアプリのインストールで気軽に楽しめるスマホゲームやブラウザゲーム市場が急成長を遂げ、多くの企業でも力を注いでいます。また、VR技術もゲーム業界を盛り上げています。
ゲームのジャンル
ブラウザゲーム
インターネットを介してブラウザ上で展開するゲームです。反応速度を求められるのアクションや派手な演出は苦手ですがインストール方が不要なため、ユーザは手軽に楽しめます。
スマホゲーム
スマホでアプリをインストールして遊ぶゲームのこてで、市場が急拡大しています。両OSに対応させる必要があり、オンライン接続を前提とするアプリが多いです。
コンシューマーゲーム
PlayStationやSwitchなどの家庭用ゲーム機専用のゲームです。クオリティの高いゲームを制作でき、昨今ではオンラインで遊べるものも増えています。ただ、販売にはライセンス契約が必要で小規模で開発されることは稀です。
PCゲーム
PCにアプリをインストールして遊ぶゲームです。ユーザは手軽に本格的なゲームを楽しめます。ライセンス契約が必要ないので、個人制作の「同人ゲーム」なども多いです。ユーザ規模の背景から、Windows向けのものが多いです。
VRゲーム
ゴーグルを装着したプレイヤーの視界に3Dを投影するゲームです。ほかのゲームにない臨場感・没入感を味わえます。
ゲーム開発における言語選びのポイント
言語によって特性があり、得意分野・不得意分野、適応しやすいプラットフォームがあります。そのため、作りたいゲームのジャンルやプラットフォームによって言語を選ぶ必要があるのです。
たとえば、スマホゲームを作りたいと思ってもAndroid向けにするかiOS(iPhone・iPad)向けにするかでも前者ならKotlinやJava、後者であればSwiftやObjective-Cなどと使う言語もまったく異なるのです。
そして、そのなかでも考慮すべき項目としては次のようなものがあります。
習得難易度
初心者はPHPやRuby、Kotlin、Swiftなど、なるべく習得しやすい言語を選ぶと挫折しにくいでしょう。徐々にC言語系やJavaなどの難易度の高いものにチャレンジしていきましょう。また、参考文献の多さも習得のしやすさに大きくかかわってきます。C++やJavaなどのユーザ数の多いものはネット上で情報を入手しやすいですが、Go言語などはまだ日本人エンジニアも少なく、日本語情報が少ないという現状があります。
用意すべき環境
開発するには、言語が身についていればいいというわけではなく、開発環境も整える必要があります。そして、言語によってコンパイラ、デバッガ、エディタなどの構築環境や動作環境との相性の良しあしがあります。たとえば、JavaでAndroid向けのアプリを開発するなら開発環境はAndroid Stadioが適していますが、それ以外の場合はEclipseが適しています。適した環境で開発することは大事で、作業効率やプログラムの質にも大きく関係してきます。
既存システムの有無
既存のものがある場合は、そのシステムに採用されている言語を継続するのが工数もかけずに済みます。ただ、機能追加や改修を重ねるゲームの場合、性能や規模、保守性といった面で問題が出てくる可能性があります。その場合は違う言語に置き換えるのがいいでしょう。たとえば、はじめはフレームワークが充実しているPHPを使っていたとしても、規模が大きくなるにつれて処理速度が遅くなるため、処理速度の速いJavaに切り替えるといったかんじです。このように、既存のシステムがある場合はそれにかかる影響と今後の展開を考慮する必要があります。
将来性
また、ゲームプログラマーとしてプログラミングを職にする場合、どの言語を選ぶかでその後の活躍の場や年収も変わってくるので、こういったエンジニアとしての将来を考えている人にはそのような観点でも考慮するのがいいでしょう。
ゲーム開発におすすめのプログラミング言語
C++
C++は、C言語を機能拡張した言語です。ゲームで使われるプログラミング言語のなかでも最もポピュラーで、基本的な部分の構築に向いています。低水準言語といって、プログラミング言語のなかでもコンピュータにとって理解しやすい言語になっているため、処理が早く、なめらかな表現ができます。XboxやDirectXなどの家庭用ゲーム機向けのコンシューマーゲーム開発でもC++が用いられることが多いです。また、UnrealEngineやCocos2d-xなどのゲームエンジンの開発言語です。コードの文法が難しいことやエラーを見つけにくいことから習得難易度は高めです。
【特徴】
- 汎用性が高い
- 処理速度が速い
- なめらかな表現が可能
- C言語を基盤としており、C言語と互換性がある
- プログラム実行に関するものをすべて用意する必要がある
- コードの文法が難しいことやエラーを見つけにくいことから難易度は高め
C#
C#は主要ゲームエンジンであるUnityの開発言語であるため、昨今のゲームプログラミングでよく使われています。C#はC++の後継言語であり、文法はベースであるJavaに似ています。実行速度は、CやC++より劣りますが、簡潔なコードが書けます。機能性も高く、開発をスムーズに進められます。C#の「#」は、同言語が「C++++言語」であるという意味も込められているようです。Unityを採用する企業も多いため、ゲームプログラマーを目指す人には必修のプログラミング言語といえます。家庭用ゲーム機やコンシューマーゲーム(家庭用ゲーム機でのプレイを前提として作られたゲーム)、アプリゲーム、PCゲームなど幅広いゲームの開発に使用されています。
【特徴】
- 汎用性が高い
- 実行速度が速い
- Windowsと相性が良い
- Unityと組み合わせて使われることが多い
- Visual Studioで使いやすい
- ライブラリが豊富
JavaScript
JavaScriptは動的なWebページには必要不可欠で、ゲームに限らず、さまざまな場面で用いられています。ブラウザと相性が良く、ブラウザゲームなどで使用されることが多いです。ブラウザによって動さも変わるため、ブラウザごとに動作テストをする必要があります。フレームワークやライブラリが豊富にあり、enchant.jsやCreateJS、Kiwi.jsなどを使ってさまざまなゲームを作れます。HTML/CSSとの関連性が強いので、併せて学ぶのがおすすめです。
【特徴】
- 環境構築が不要
- OSに依存しない
- フレームワーク・ライブラリが豊富
- バックエンド開発にも対応(Node.js使用)
- 習得難易度が低い
Swift
SwiftはObjective-Cの後継としてApple製品向けのアプリ制作に使用するプログラミング言語です。iOSアプリに限ってはObjective-Cに代わってSwiftを使うケースが増えてきました。作業環境はmacのみであるため注意が必要です。
【特徴】
- 実行速度が速い
- iOS/macOS用のアプリ開発向き
- Objective-Cと互換性がある
- リアルタイムで動作確認できる
- コードが簡潔に記述できる
- Objective-Cに比べて不具合が起きにくい
- Objective-Cに比べてメンテナンスしやすい
Objective-C
Objective-CはApple製品向けのアプリ制作に使用するプログラミング言語で、現在Appleストアにあるアプリのほとんどに使われています。Objective-Cでゲーム開発を行う場合は、Appleの統合開発環境である「Xcode」を使うのでそちらの使い方も習得する必要があります。
【特徴】
- オブジェクト指向型言語
- C言語ベース
- iOS向けのアプリ開発に必須
Kotlin
KotlinはJavaよりも簡潔・安全に利用できるよう改良されたプログラミング言語です。Androidの開発言語としてGoogle社から公式認定されています。学習難易度が低く初心者向きです。
【特徴】
- 汎用性が高い
- コードが簡潔に記述できる
- Javaと互換性がある
- Androidの公式開発言語
Java
JavaはAndroid向けのアプリで使われることの多いプログラミング言語です。Androidでは、ゲームエンジンなどを使って開発した場合も、最終的にはJavaの「APK」ファイル形式で出力します。JavaはすべてのOSへのサポートが行われているため、Androidアプリ開発だけではなく、アプリケーションサーバとして活用されることもあります。
【特徴】
- 実行速度が速い
- セキュリティ性が高い
- ライブラリやAPIが豊富
- プラットフォームを問わない
- 日本語情報が豊富
Ruby
昨今はオンライン接続を前提とするゲームが増えていますが、その場合はサーバサイド開発も必要になります。Rubyは、ブラウザゲームやスマホアプリのサーバーサイドで使われることが多いプログラミング言語です。基本的には内部の処理がメインで簡易的なツールとしてやExcelデータをCSV形式にコンバートするバッチファイルとして使われることもあります。DXRubyやGosuなど、ゲーム開発向けのライブラリが充実しています。
【特徴】
- 汎用性が高い
- コードが簡潔に記述できる
- 日本語情報が豊富
- ライブラリが豊富
PHP
PHPはブラウザゲームやスマホアプリのサーバーサイドで使われることが多いプログラミング言語です。近年のサーバ開発環境は「LAMP(Linux/Apache/MySQL/PHP)」が主流になっており、インターネット上に多くの情報が載っています。 フレームワークが豊富である点からも初心者向きの言語といえます。
【特徴】
- コードが簡潔に記述できる
- フレームワークが豊富
- 日本語情報が豊富
Python
Pythonもブラウザゲームやスマホアプリのサーバーサイドで使われることが多いプログラミング言語です。また、Rubyと同様にバッチファイルとして使われることもあります。Pythonの大きな特徴として「コーディングの規約が厳密に決められている」という点が挙げられます。これによって、プログラマー個人の癖が出にくいコードになり、結果的に可読性が高くなります。フレームワークやライブラリが豊富で汎用性も高いため多くのエンジニアに支持されています。
【特徴】
- 汎用性が高い
- コードが簡潔に記述できる
- 動作確認が簡単
- フレームワーク・ライブラリが豊富
言語 | プラットフォーム | 特徴 | 習得難易度 |
C++ | スマホアプリ PCアプリ コンシューマーゲーム VR | 汎用性が高い 処理速度が速い なめらかな表現が可能 C言語と互換性がある | 高め |
C# | ブラウザゲーム スマホアプリ PCアプリ コンシューマーゲーム VR | 汎用性が高い 実行速度が速い Windowsと相性が良い Unityと組み合わせて使われることが多い ライブラリが豊富 | やや高め |
JavaScript | ブラウザゲーム スマホアプリ | 環境構築が不要 OSに依存しない フレームワーク・ライブラリが豊富 バックエンド開発にも対応(Node.js使用) 習得難易度が低い | 低め |
Swift | ブラウザゲーム スマホアプリ PCアプリ | 実行速度が速い iOS/macOS用のアプリ開発向き Objective-Cと互換性がある リアルタイムで動作確認できる コードがシンプル | やや低め |
Objective-C | スマホアプリ(iOS) | オブジェクト指向型言語 C言語ベース iOS向けのアプリ開発に必須 | やや高め |
Kotlin | ブラウザゲーム スマホアプリ(Android) PCアプリ | 汎用性が高い コードが簡潔に記述できる Javaと互換性がある Androidの公式開発言語 | 低め |
Java | ブラウザゲーム スマホアプリ PCアプリ | 実行速度が速い セキュリティ性が高い ライブラリやAPIが豊富 プラットフォームを問わない 日本語情報が豊富 | 高め |
Ruby | ブラウザゲーム スマホアプリ | 汎用性が高い コードが簡潔に記述できる 日本語情報が豊富 ライブラリが豊富 | 低め |
PHP | ブラウザゲーム | コードが簡潔に記述できる フレームワークが豊富 日本語情報が豊富 | 低め |
Python | PCアプリ | 汎用性が高い コードが簡潔に記述できる 動作確認が簡単 フレームワーク・ライブラリが豊富 | 高め |
ゲーム開発におすすめのゲームエンジン
ゲームエンジンとは、ゲーム開発に必要な要素(開発コンソールやライブラリ、素材、機能など)をまとめた開発環境のことです。ゲームエンジンはゲームに必要なグラフィックやサウンド、コントローラーからの入力など、さまざまな機能を簡単に使えるように設定されているので、これを使うことでゲーム開発を効率良く進められます。また、プログラミング言語の知識が十分でなくても、簡単なゲームであれば開発できます。
ゲーム開発において「ゲームエンジン時代」とも謳われるほど、ゲームエンジンを活用して効率よくゲーム開発を行うのが主流になっています。ゲーム開発でよく使われる主流ゲームエンジン3つを紹介します。
Unity
Unityは最もメジャーなゲームエンジンの1つで、その操作の簡単さから個人でもよく利用されます。利用言語はC#です。複雑な処理はUnityが行ってくれるため、コーディングに集中できます。
【特徴】
2D・3Dのゲームを作れる
2Dと3Dどちらのゲームも制作可能ですが、特に3Dに適しています。
マルチプラットフォーム対応
Windows、macOS、LinuxやiOS/Androidに加えて、Nintendo Switch、PS4などの家庭用ゲーム機やOculus Rift、GearVR、Microsoft HoloLensなどのVR機など、多くのプラットフォームに対応しています。
開発言語はC#
Unityではノーコードでも利用できますが、高度な開発やカスタマイズにはC#を使って開発を行います。
【作れるゲームジャンル】
ブラウザゲーム、スマホアプリ、PCアプリ、コンシューマーゲーム、VR
【代表ゲーム】
Pokemon GO、スーパーマリオラン
Unreal Engine
Unreal Engineは描画の美しさが魅力で、グラフィックにこだわったゲームを開発したい人におすすめのゲームエンジンです。3Dゲーム開発用のゲームエンジンで利用する言語はC++です。
【特徴】
高いグラフィック性能
リアルで美しい3D動画を構築できる機能が備わっています。
マルチプラットフォーム対応
Windows、macOS、Linux、SteamOやiOS/Androidに加えて、Xbox One、PS4などの家庭用ゲーム機やVR機など、多くのプラットフォームに対応しています。
開発言語はC++
ブループリント機能が備わってい売るためノーコードでも利用できますが、高度な開発やカスタマイズにはC++を使って開発を行います。
ブループリント機能
マウス操作で作業ができるブループリント機能により、ノーコードでゲーム開発をすることも可能です。
【作れるゲームジャンル】
ブラウザゲーム、スマホアプリ、PCアプリ、コンシューマーゲーム、VR
【代表ゲーム】
キングダムハーツⅢ、フォートナイト
Cocos2d-x
Cocos2d-xは2Dゲーム開発に特化したゲームエンジンです。クロスプラットフォームに対応しており、ため、多くの企業やクリエイターから支持を得ています。
【特徴】
2Dゲームに強い
Cocos2d-xはPythonの2DゲームエンジンをC++に移植したもので、2Dのゲーム開発に特化しています。動作が軽く、開発環境を構築しやすいため、オンラインゲームやアプリ開発において人気があります。
クロスプラットフォーム対応
単一のソースコードでWindows、LinuxやiOS/Androidなど、複数のOSに向けたアプリを開発できます。
開発言語は3つ
開発言語としては、C++、Java Script、LUA言語の3つに対応しています。
【作れるゲームジャンル】
ブラウザゲーム、スマホアプリ、PCアプリ、コンシューマーゲーム、VR
【代表ゲーム】
モンスターストライク、ディズニーツムツム
まとめ
ゲーム開発は作りたいゲームに適したプログラミングとゲームエンジンを選んで効率よく進めていきましょう。
そのためにはまず自身のプログラミング言語の知識をつけてスキルを磨く必要があります。
プログラミングスキルの習得するには?
ゲーム開発に必要なプログラミング学習をするには次のような方法があります。
書籍・学習サイト
書籍や学習サイトで学習する方法があります。特に昨今では、YouTubeなどの動画サイトやエンジニアのコミュニティサイトなども充実していて多くの情報が手に入ります。
そして、より効率的に知識・スキルを習得するには、知識をつけながら実際に手を動かしてみるなど、インプットとアウトプットを繰り返していくことが重要です。特に独学の場合は、有識者に質問ができたりフィードバックをもらえるような環境があると、理解度が深まるでしょう。
プログラミングスクール
プログラミング言語に限らず、ITスキルを身につける際、どうしても課題にぶつかってしまうことはありますよね。特に独学だと、わからない部分をプロに質問できる機会を確保しにくく、モチベーションが続きにくいという側面があります。独学でモチベーションを維持する自信がない人にはプログラミングスクールという手もあります。費用は掛かりますが、その分スキルを身につけやすいです。しっかりと知識・スキルを習得して実践に活かしたいという人はプログラミングスクールがおすすめです。
プログラミングスクールならテックマニアがおすすめ!
ITスキル需要の高まりとともにプログラミングスクールも増えました。しかし、どのスクールに通うべきか迷ってしまう人もいるでしょう。そんな方にはテックマニアをおすすめします!これまで多くのITエンジニアを育成・輩出してきたテックマニアでもプログラミングスクールを開講しています。
<テックマニアの特徴>
・たしかな育成実績と親身な教育 ~セカンドキャリアを全力支援~
・講師が現役エンジニア ~“本当”の開発ノウハウを直に学べる~
・専属講師が学習を徹底サポート ~「わからない」を徹底解決~
・実務ベースでスキルを習得 ~実践的な凝縮カリキュラム~
このような特徴を持つテックマニアはITエンジニアのスタートラインとして最適です。
話を聞きたい・詳しく知りたいという方はこちらからお気軽にお問い合わせください。
ゲーム開発【入門】必要スキル・手順・おすすめツールを解説