機械学習や深層学習(ディープラーニング)といった技術を用いた製品が増え、ビジネスでの活用も模索されるなど、AIが以前よりも身近な存在になってきました。業務効率や生産性の向上を目的として、AIシステムを導入する企業も増加傾向にあります。本記事では、そんなAIシステムの開発について解説します。
人工知能・機械学習、深層学習の違いは?
人工知能(AI)は共通の定義があるわけではありませんが、一般的に人間の知能を模したコンピュータシステム、技術のことを指します。
機械学習はAIの機能の一つで、反復的に学習することで膨大なデータからパターン(特徴)を見つける技術です。人が特徴量を定義する必要があります。
深層学習(ディープラーニング)は機械学習の手法の一つですが、情報処理を多層化することで、特徴量をコンピュータが自動的に行います。
AI開発の手順・流れは?
構想(コンセプト)
まず、AI開発の目的を明確にし、どのようなAIを開発するか検討します。
開発予定のAIで本当に課題解決につながるか、AIでどの程度まで課題解決させるのか、AIの導入でどれほどのメリットがあるか、そもそも実現可能かといった、ビジネス面と技術面、両方の観点で検討します。
PoC(Proof of Concept)
具体的な開発内容が決まり次第、PoCに移ります。PoCとは「Proof of Concept(構想の証明)」の略で、全段階で想定したAIが技術的に実現できるか実際に運用して検証します。AIの仮モデルを作成し、機械学習や深層学習に必要となるデータの量と質が確保されているか、期待される精度は出せるか、費用対効果はどうか、トラブル時の可用性といった要素を検証していきます。
実装
AIの実現性が確認できたら、次はそれをベースにシステムの実装を行います。システムが完成したら実際に業務を行う環境でも適切に稼働するかテストを行い、支障なく動作するかといった検証や実務オペレーションをします。
運用
テストで問題がなければ現場での導入を行い、運用を開始します。システムが安定して稼働するよう保守し、加えて当初に設定した目標を達成できているかを都度確認し、PDCAサイクルを回します。
AI開発を成功させるためのポイントは?
- AIの利用目的の明確化
- 後々の改良を見込んで更新しやすいアルゴリズムを設計する
- トラブル対応しやすいプログラムを設計する
AI開発に必要なものは?
プログラミングスキル
プログラミングスキルはAI開発にも欠かせません。
AI開発によく用いられるのがPythonとSQLです。
Pythonは機械学習や深層学習で、大量のデータをAIに学習させる際、データ処理計算や統計処理を行うのに用いられます。ほかの言語と比べてもライブラリが豊富なため、あらゆる数値モデルに対応することもあってAI開発でよく利用されています。少ないコード量でプログラムが組めて、コードもシンプルで可読性が高いなどの特長を持つPythonはほかの言語と比べても習得しやすい言語です。
SQLはAIに学習させるのに必要なデータベースの構築や処理に用いられるプログラミング言語で、データベースの定義や操作ができます。AIにデータを与えるためには、前処理とも呼ばれるデータの構造化を行い、抽出・加工する必要がります。この作業はAI開発の大部分を占めるといわれる重要な工程です。SQLは、同じ構文で操作できるので、どのプログラミング言語とも組み合わせて利用できます。
ただ、昨今、より簡単にAIを構築できるツールの普及が進み、コードを書かずともマウスで操作するようなGUIツールも増えています。
数学に関する知識
開発時にトラブルが発生した場合の原因特定や導き出された結果が適切か判断する際に一定以上の数学に関する知識が必要になります。
開発環境
現在、AI技術の開発が盛んに行われていますが、多くの場合はその目的に合わせてシステムを導入する必要があります。
AI開発では膨大なデータを取り扱うため、ビッグデータのストレージや機械学習や深層学習ができるだけの処理能力をもつコンピュータなど、システムを安定稼働させるだけの開発環境の整備も必要となります。
ただ、AI開発は開発環境の環境構築や実装、データ収集、学習など、非常に手間やコストがかかります。
これらの一部は、クラウドサービスで補うことも可能で、最近では、AWS、Azure、GCPといったクラウドサービスの利用が拡大し、AI開発も手軽かつ効率的にできるようになりました。
あらかじめ環境が整っていて、運用などに関するノウハウもある場合はオンプレミス型の方が自由度が高いなど、多くのメリットがありますが、新たに開発環境を導入するという場合はクラウドの方が手軽に導入でき、実際、利用も増加傾向にあります。
フレームワークやライブラリの活用
Pythonの知識やプログラミングスキルがあれば、一からAIモデルを設計・開発できますが、フレームワークやライブラリを活用したAI開発が主流です。フレームワークやライブラリは基本的な機能がひとまとめにパッケージ化されたもので、これらを使えば手軽に本格的なAI開発ができます。AI開発の急速な発展は、機械学習やディープラーニングに有効なフレームワークやライブラリが数多く登場したことも起因しています。
「PyTorch」や「TensorFlow」が有名です。
AIモデルの精度を左右するパラメーター調整
精度の高いAIモデルを作成するには、入力するデータの質と量の確保が重要です。間違いや曖昧さがなるべく少ないデータを集めましょう。AI開発の成功はAIモデルの精度がカギになってきます。データの入力だけでは求める答えが得られない場合もあります。これを調整するのが、重み係数といわれる「パラメーター」です。バイアスをかけて調整します適切なAIモデルを設計するには数学的な知識や統計学、データ分析スキルも必要になってきます。
(分野別)AIの導入事例
医療分野
医療分野では、診断の支援を行うAIが注目されています。従来は、各種検査結果や諸症状をもとに医師が診断を行っていましたが、専門外の分野であったり、症例が少ない病気であったりすると医師でも判断が難しいケースがあります。診療支援AIは、過去の症例など、膨大なデータを蓄積し、高い精度で特定できるため医師でも見落としてしまいがちな病気の診断を支援します。
不動産業界
マンションや一軒家などの不動産の価格査定にもAIが導入されています。
不動産の価格査定には物件の条件から価格を算出する「机上査定」と実際にその土地に足を運んで査定する「訪問査定」の2つがあり、両方の工程を踏んで査定を行います。ここでAIの導入をすることで膨大な物件データや取引データを基に自動で「机上査定」を行えます。人件費や査定費用を削減でき、査定の信頼度の向上にも期待できます。
AI開発の学習方法は?
AI開発を学びたい場合は、独学やスクールの活用などがあります。AI開発が盛んになっている現在では、AI関連の書物も多いため、独学でも可能でしょう。また、インターネット上にも多くの情報が載っています。独学では心配という人にはスクールをおすすめします。テックマニアではAI開発に最もよく利用されるプログラミング言語「Python」も学ぶことができます。AI開発を視野に入れてPythonを学びたいという人はぜひテックマニアへ!
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