PHPとは
PHP とは、Webアプリケーションを開発するためのプラットフォームであり、最も多く使用されているオープンソース・ソフトウエアの1つです。
正式名称は「Hypertext Preprocessor」であり、C言語で書かれたオープンソースのスクリプト言語です。
HTMLと組み合わせることで、ブログの新着記事の表示や問い合わせフォームの設置など、HTMLだけでは不可能な動的なコンテンツを作成できます。
Perlや Java言語などと比べて、習得しやすさや柔軟性に優れ、短期間で開発できるという特徴があります。
PHPの特徴
HTMLソースコードの生成
HTML の中に PHP 専用のタグを埋め込むとそのままプログラムを記述できます。
すべてをPHPで記述する必要はなく、HTML の一部分だけ PHP で記述できます。
データベースとの連携
データベースとの相性が良くデータベース管理システムである MySQL(マイエスキューエル)や PostgreSQL(ポストグレスキューエル)を利用するための関数がひと通り標準搭載されており、すぐにデータベースと連携させることができます。
クライアントからの情報を PHP で受け取れる
クライアントが HTMLフォームに入力した情報を HTMLソースに表示させることやデータベースに保存することができます。
PHPで開発されたサービス
・WordPress
WordPressで作ったWebサイトやブログをPHPでカスタマイズできます。
・Yahoo!
サーバー構成やアプリケーションレイアウト、セキュリティなどのさまざまな分野でPHPが使用されています。
PHPを使ってみよう
環境構築
ここからは、PHPを実行するための環境を作っていきます。
1.1 XAMPPのダウンロード
XAMPP のダウンロードページでお使いの OS に合わせたアプリケーションをダウンロードします。
「XAMPP」とは
PHPはブラウザからアクセスして実行するため、Webサーバーが必要です。
通常は Apache と PHP のインストールと Webシステムではデータベースも必須であるため MySQL やその互換データベースである MariaDB などのデータベースサーバのインストールが必要です。
このうち、「Apache+MariaDB+PHP」がまとまったアプリケーションが「XAMPP」です。XAMPPはWindows、Mac、Linuxの各OSに対応しています。
1.2 OS へのインストール
ダウンロードしたファイルからインストーラーを起動します。
XAMPP Control Panelでは、ApacheやMariaDBなどのサーバーソフトウェアの起動や終了、設定などの管理を行えます。
「Select Components」で「PHP」にチェックが入っていることを確認しましょう。
1.3 Apacheの起動
動作確認をします。
Windowsでは、XAMPP Control PanelからApache欄の[Start]ボタンをクリックしたときApacheの背景色が緑色に変わっていれば、起動は成功しています。
Mac環境では、[Manage Servers]から[Apache Web Server]を選択した状態で、[Start]ボタンをクリックしたときApache左横のアイコンの文字が緑色に代わっていれば、起動は成功しています。
基本的な記述ルール
ここからはPHPの基本的な書き方のルールを紹介します。
2.1 拡張子
拡張子とはそのファイルがどのような種類なのかを表すためものでWebサイトの画面を作るのに必要なHTMLのファイルは「xxx.html」、JavaScriptのファイルは「xxx.js」というようにファイル名につける拡張子は決まっています。
PHPのファイルの場合は「xxx.php」という名付ける必要があります。
パソコンやサーバーなどのコンピュータは、拡張子から判断し、それぞれのファイルに適切な処理をします。
2.2 コードを書く箇所
PHPは「<?php」で始まり「?>」で終わる形式で書きます。
例としてWebサイトで「Hello World!」と表示させるファイルを作成します。
HTMLの内部に以下のように記載します。
<html>
<head>
<title>Hello World!t</title>
</head>
<body>
<?php
echo '<h1>Hello World!</h1>'
// 結果 Hello World!
;?>
</body>
</html>
Webブラウザ上に「Hello World!」と表示されれば成功です。
2.3 文の末尾に「; (セミコロン)」
PHPでは1つ1つの命令コードの末尾にセミコロン(;)をつけます。
2.4 シングルクォーテーションとダブルクォーテーション
文字列を扱うときはシングルクォーテーションまたはダブルクォーテーションでくくります。
シングルクォーテーションは挟まれたものをプログラムではなく文字列だと認識させるマークです。
ダブルクォーテーションも同様の動作を行いますが、変数は展開されて表示されるという違いがあります。
<?php
$e = '12345';
echo "{$e}67890";
// 結果1234567890
echo '{$e}67890';
// 結果 {$e}67890
?>
2.5 コメントの挿入
コメントは、ソースコードの目的や説明を記述するメモのようなものです。
後から見直す時や第三者でもソースコードの内容を理解し易くなります。
また、デバッグなどで普段は実行させたくないコードを無効化するときにも使用します。
コメントのつけ方としては2パターンあり、1行でコメントする場合は、行頭に「//」または「♯」をつけ、複数行でコメントする場合は、コメント範囲を「/* */」で囲みます。
<?php
// 1行のみコメントアウトができる
# 1行のみコメントアウトができる
/*
複数行まとめて
コメントアウトができる
*/
?>
2.6 文字列の結合
文字列を結合したい場合は「.」をつけます。
「.」をつければ変数も結合できます。
基礎構文
次に基礎的な文法について紹介します。
文法はプログラミングを理解するのに重要ですので、理解を深めましょう。
文法を学ぶ重要性
プログラミング言語にも、英語のように「文法」と「語彙」があります。
この両方習得して初めて自在に読み書きできるようになります。
語彙については、検索エンジンで調べることが簡単にできるのでうろ覚えでも何とかなります。
しかし文法は、身についていないと書くことも読むこともままなりません。
他のプログラミング言語を知っていれば類推できますが、そうでなければ難しいでしょう。
習得するまで少し退屈かもしれませんが、文法を学ぶことは重要なことなのです。
3.1 変数
プログラムを記述する際、同じ情報を何度も使い回すことがありますが、このときに使えるのが変数です。
変数とは任意の文字列や数字を入れておく箱と考えてください。
この箱の中に任意のデータを入れておき、そこに適宜値を当てはめることでいつでも同じ箱の中身が使えます。
まず変数と宣言し、宣言した変数に対して値の代入を行います。
変数を指定するときは、ドル記号($)のあとに変数名を記述し、=(イコール)をはさんで値を代入します。
<?php
$count = 1;
echo $count;
// 結果 1
$name = “Yamada”;
echo $name;
// 結果 Yamada
?>
PHPの変数には、4つのルールがあります。
・ドル記号($)から始める
・数字は先頭に使えない
・変数で使えるのは半角英数字、「_」(アンダースコア)
・大文字と小文字は区別される
変数を使うときには、上記の4つのルールを意識して、コードを記述しましょう。
ちなみに、日本語は変数名として推奨されていません。
3.2 if構文
プログラミングの定番である「もし~ならば…する」という条件分岐で使うif構文は、PHPでもよく使います。
書き方は、以下のようになります。
<?php
$a = 6;
$b = 5;
if ($a > $b)
echo "aはbより大きい";
// 結果 aはbより大きい
?>
3.3 関数
同じ処理を繰り返し使う場合、その処理を何度も呼び出せるように関数としてまとめます。
書き方は、以下のようになります。
<?php
// 商品の価格と数量を計算し、出力する関数
function calc($price, $count) {
$sum = $price*$count;
echo $sum;
}
// 関数を呼び出す
calc(2000, 2);
// 結果 4000
?>
以上が、最低限覚えておきたい基礎構文です。
このほかにもよく使う処理を下記の記事で紹介しています。
最後に
PHPはCMS、ECサイト、SNSなど様々な場面で広く利用されているため、習得すればエンジニアとしてのキャリアの幅を広げられます。
初心者にも理解しやすい言語であり、学習環境も充実しているのでそれらを活用して習得しましょう。
今回紹介した内容を1つずつ実行し、身につけていきましょう。