カスタマーサクセスとは?基礎知識や事例、カスタマーサポートとの違いについて徹底解説

  • 2024.02.01
       
カスタマーサクセスとは?基礎知識や事例、カスタマーサポートとの違いについて徹底解説

カスタマーサクセスとは顧客が求めているものは何か、分析を行うことで、顧客の成功体験づくりをするという概念です。
サブスクリプション型のビジネスが普及した昨今では、企業に必要な機能として「カスタマーサクセス」に注目が集まっています。
本記事では、カスタマーサクセスの基本知識や仕事内容、導入事例を紹介します。

カスタマーサクセスとは?

カスタマーサクセスはそのまま日本語にすると「顧客の成功」となります。顧客の成功体験づくりを支援をするという概念です。
昨今、商品やサービスの選択肢が増え、顧客が流動的になったことで、顧客に自社の製品やサービスを継続的に利用してもらうという課題が生じました。
そしてその課題の解決に欠かせないのが、顧客の本質的なニーズを分析し、そのニーズを満たす「カスタマーサクセス」という概念なのです。
カスタマーサクセスがきちんと機能している企業は、事業が安定し、収益の増加も見込めます。

カスタマーサポートとの違い

カスタマーサクセスは、たびたびカスタマーサポートと混同されることがあります。カスタマーサポートは顧客からの問い合わせやクレームが発生した場合の対応をしており、顧客に対して能動的にアプローチすることはほぼありません。
それに対し、カスタマーサクセスは、顧客が商品やサービスを通じて、目的を達成できるよう導くことを目的としています。顧客の潜在的なニーズを先回りして顧客のためになる提案をします。

カスタマーサクセスが注目される背景

カスタマーサクセスはなぜ注目をあびるようになったのでしょうか。ここでは、その背景を解説します。

SaaSの普及

SaaSはSoftware as a Serviceの略で、オンライン上で提供されるサービスを指します。
従来は顧客がパッケージを購入し、パソコンやサーバなどの端末にインストールすることでサービスの利用を開始できるようになっていました。しかし、SaaSの登場によって、アプリケーションを購入することなく、利用料さえ払えばいつでもオンライン上で利用開始できるようになったのです。

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サブスクリプション型ビジネスモデルの台頭

SaaSなどの誕生をきっかけにサブスクリプション型ビジネスモデルが普及しました。これも、カスタマーサクセスが注目をあびるようになった一因と言われています。
従来は商品やサービスを購入し、所有する売り切り型が主流でした。一方で、サブスクリプション型の商品やサービスを契約した場合、定期的に利用料が発生しますが、顧客は利用料を支払い続ける限りサービスを利用することができるのです。
サブスクリプション型の商品やサービスは、安定した収益を得られるというメリットがあります。このような背景から、どのような価値を提供すれば顧客に継続して利用してもらえるか分析し、提案する立場である、カスタマーサクセスの存在が重視されるようになったのです。

他社サービスとの差別化

社会には製品やサービスがあふれ、市場は競争が激化しています。その競争に勝ち抜くには、他社サービスとの差別化が必要不可欠です。
そのために、顧客情報から潜在的なニーズを分析し、一人ひとりに適したアドバイスや情報を提供することでより良いCX(Customer Experience/顧客体験)が提供できれば、顧客が継続的に利用してくれる可能性も高まります。

カスタマーサクセスが企業にもたらす効果

カスタマーサクセスは積極的に顧客と関わりを持つことで、顧客にもさまざまなメリットを与えられます。
もし、顧客の認識に、間違いがあった場合、カスタマーサクセスが親身に対応することによって軌道修正できます。このように、カスタマーサクセスがしっかり機能していれば、自社と顧客の双方に価値を生むことができます。

カスタマーサクセスを成功させるには

カスタマーサクセスを成功に導くにはどのような取り組みが必要なのでしょうか。
ここからは、顧客が目的を達成できるようにカスタマーサクセスが取り組むべきことについて説明します。

顧客を分析し、ニーズを把握する

カスタマーサクセスを成功に導くには顧客の状況分析と潜在的なニーズの把握が重要です。顧客がサービスの利用を通して目的を達成できているのか正確に捉える必要があります。

営業や開発など他部門との連携をとる

UIのデザインや使い方への要望など、カスタマーサクセス部門のみで対処できないものは、他の部門との連携が重要です。
また、迅速に顧客のニーズを満たすには、サービスの根幹を請け負っている開発部門の方針や方向性を理解しておく必要があります。このように、カスタマーサクセスの成功には、全社をあげて顧客満足度を向上させようという意識を持つことが大事です。

サービスの解約率(チャーン・レート)を下げる

カスタマーサクセスの業務では解約率を低くすることも大事です。解約率が高ければ、顧客が目的を達成できておらず、ニーズを満たせていないことになります。解約率を下げるには顧客のニーズを十分に把握する必要があります。サービスに改良を重ねることで、他社への乗り換えを防ぐのも大事です。

アップセル、クロスセルへの導線を敷く

アップセルは以前商品を購入した顧客や購入を検討している顧客に対して、さらに上位の商材を提案し購買してもらうことです。対してクロスセルは、顧客が購入を考えている商材に関連する別商材を提案することで、併せて購入してもらうよう促すことを指します。いずれの営業手法も顧客一人当たりの単価やリピート率の向上を目的としています。

カスタマーサクセスが追うべき指標

LTV(Life Time Value: 顧客生涯価値)

LTVとは、ある顧客が、取引を開始してから終了するまでの期間に、自社に対してどれだけ利益をもたらしたかという収益の総額を算出するための指標です。1:5の法則にもあるように、既存顧客を維持・拡大することは常に重要なテーマであるため、その判断指標として活用されるようになりました。

1:5の法則
新規顧客を獲得するには、既存顧客の5倍のコストがかかるという法則。 新規顧客は獲得コストが高いうえに利益率が低いため、新規顧客の獲得以上に、既存顧客の維持が重要であるということをうたっている。

Chrun(チャーン)

Churnとは、日本語では「解約」と訳されます。一定の期間で解約した顧客の割合を表します。Chrunが高い場合、顧客が不満を感じている可能性が高いため、サービスや製品を見直す必要があります。

CAC(Customer Acquisition Cost: 顧客獲得コスト)

CACとは、新規顧客を獲得するために費やした費用のことです。
ある一定期間に投資したマーケティングや営業といったコストの合計金額を獲得した顧客の数で割ることによって算出します。

NPS(Net Promoter Score: 顧客推奨度)

NPSとは、顧客ロイヤリティを測るための指標です。
よく顧客満足度と比較されることがありますが、顧客満足度は顧客がその商品やサービスに満足したかを測る指標すです。それに対し、NPSは、顧客が満足した上で「業績にどれほど貢献しているか」を測る指標です。
測定方法は簡単で、顧客に対して製品やサービスを友人などの親しい人に推奨したいかなど、具体的に質問し、点数方式で回答してもらうものです。顧客の声が数値で示されるため、現状を把握しやすくなります。

顧客ロイヤリティ
顧客がそのブランドや商品、またはサービスに対して感じる「信頼」や「愛着」のこと。

カスタマーサクセスの成功事例

カスタマーサクセスは、具体的にどのような取り組みをしているのでしょうか。ここからは実際にカスタマーサクセスが成功した事例について紹介します。

BtoCでの事例

Apple Music
Apple Musicは、音楽配信サービスのサブスクリプションを早い段階で導入しています。従来は1曲ずつ、またはアルバムごとに買う方式でした。しかし、定額でさまざまな音楽を楽しめる方式は、世間のニーズを満たすものでした。また、顧客ごとにおすすめの曲を提案するサジェスト機能を導入するなど、顧客が求めるものを先回りして提案できるようになりました。

Oisix
定期的に食材を届けるサービスを提供するOisixもサブスクリプション型のビジネススタイルをとっています。食材のラインナップをOisix側が提案し、不要なものがあれば顧客が自由に変更できる仕組みになっています。
また、簡単に主菜や副菜を作れる「KitOisix」というキットの販売も開始しました。これは「レトルト食品やお惣菜は食べたくないが、簡単に食事を用意したい」というニーズに応えました。食材を買ってもらうことだけを目的としたのではなく、料理を作る楽しさや手作りの美味しさという成功体験も提供しています。

BtoBでの事例

Sansan
Sansanではクラウド上で名刺を管理するサービスを提供しています。名刺情報のストレージ機能だけでなく、過去の取引実績なども含めて管理できます。同社は、そこから企業間の繋がりを抽出することで、アップセルやクロスセルを生み出しました。企業は何のために名刺管理をするのかという根本的な部分に焦点を当てることで潜在的なニーズを把握し、ニーをを満たすことに成功した事例です。

Adobe
IllustratorやPhotoshopなどのソフトウェアをリリースしているAdobeはクラウド上でソフトを提供することにより、顧客は常に最新バージョンでソフトを利用できるようにしました。取引先とのバージョンが異なるせいで起きていたトラブルが回避でき、コスト面での負担も軽減できるなど、多くのメリットが生まれ、顧客の満足度の向上に繋がりました。

終わりに

カスタマーサクセスは、商品やサービスを販売して終わりではなく、顧客の成功と成長に向けて能動的に取り組んでいく活動です。そして、それが自社商品やサービスの差別化になり、成長と信頼に結びつき、長期的な利益を生むことにつながります。

カスタマーサクセスは今後、より重要視されていくでしょう。なかでも、サブスクリプション型のビジネスモデルにおいては、カスタマーサクセスが大きな意味をもつでしょう。

     

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