オンプレミスとは?
「オンプレミス (on-premise) 」とはサーバ機器などのハードウェアやアプリケーションなどのソフトウェアといった情報システムを、ユーザ (ビジネス利用の場合は企業) が管理している施設内に設置してユーザ自身で管理運用することを指し、「自社運用」とも呼ばれます。
2000 年代ではまだこの自社運用形態が主流でしたが、「クラウド」と呼ばれる新たな形態の普及に伴い、区別するために「オンプレミス」という言葉が使われるようになりました。
オンプレミスはすでに情報システムの投資が完了していて、自社やグループ企業内でのみ使用する業務システムなどといった利用者を限定したサービスに採用されています。
クラウドとの違い
クラウドとは「クラウドコンピューティング」とも呼ばれ、インターネット経由でサービスとして提供されている外部のサーバリソースを利用することを指します。
システムを運用する上で、ソフトウェアやハードウェアを自社で保有するのが「オンプレミス」、自社では保有せず、必要な時に必要な分だけインターネット経由でサービスとして提供されたものを利用するのが「クラウド」です。
さらに詳しく運用形式から生じる違いについて下記の表にまとめましたのでご覧ください。
| オンプレミス | クラウド |
初期費用 | 高額 | 少額 |
ランニングコスト | 固定費 (人件費、電気代) | 変動費 (使用量に応じた従量課金制) |
カスタマイズ性 | 高い | 比較的低い |
セキュリティ | 高い | クラウド定常事業者に依存 |
災害リスク | ハードウェアに災害があればシステムダウン | 低い |
では項目ごとに説明していきます。
比較①:初期費用
オンプレミスの場合、サーバ機器やソフトウェアのライセンスなどの導入に数百万円以上かかることもあります。
また、システム構築をするのに多くの時間を要し、人件費も高額になります。
一方、クラウドの場合はすぐに利用を開始でき、基本的に初期費用はかかりません。
比較②:ランニングコスト
オンプレミスの場合、システム運用に対する人件費やサーバ機器の電気代などの固定費がかかります。
一方でクラウドの場合、使用量に応じて変動します。
比較③:カスタマイズ性
オンプレミスの場合、全ての IT 環境を自社で調達しているため、必要なカスタマイズも自由にでき、既存システムとの連携も可能です。
一方でクラウドの場合は、用意されたプラン、オプション内という制約があります。
比較④:セキュリティ
オンプレミスの場合、自社のネットワークシステムを利用するため第三者の干渉を受けにくく、安全性は高くなります。
クラウドの場合はクラウド提供事業者のセキュリティに依存します。
比較⑤:災害リスク
オンプレミスの場合、災害などでハードウェアに秘儀が出た場合、自社で対応しなければならず、復旧までに時間がかかることがあります。
クラウドの場合、災害対策用のサービスを利用すれば対策は容易にできます。
オンプレミス、クラウドのメリット・デメリット
オンプレミスとクラウドの運用方式から生じる違いについて紹介しましたが、そこからメリットとデメリットという観点で見ていきましょう。
オンプレミスのメリット
メリット①:ランニングコストが予算化しやすい
かかる費用がわかっているため予算を立てやすくなります。
メリット②:自由にカスタマイズできる
ハードウェアからソフトウェアまで自社内で確保しているため自社の特性に合わせたカスタマイズが可能になります。
メリット③:セキュリティの安全性が高い
自社で IT 環境を管理するので、高いセキュリティを保持できます。サーバ管理やインフラ整備に対して自社に適した独自のセキュリティ対策を施すことも可能です。
オンプレミスのデメリット
デメリット①:初期費用が高くつく
サーバー機器やソフトウェアのライセンスなどの導入費や人件費などが高額な費用が発生します。
デメリット②:すべて自社で対応しなければならない
システム障害が起こった場合にも、すべて自社で対応しなければならず、復旧までに時間がかかることがあります。
クラウドのメリット
メリット①:初期費用を安く抑えられる
システムへの投資が必要ないため、初期費用を安く抑えることができます。
メリット②:導入が簡単でスムーズに利用できる
アカウントを発行すれば即日利用可能になります。
メリット③:突発的な需要増にも対応可能
Web上で設定変更ができるため、利用するサーバの数を増やすなどの環境に応じた変更が可能になります。
クラウドのデメリット
デメリット①:長期的なコストが高くなる可能性がある
従量課金制であり、扱うシステムの数や年数が増えることで課金額が増加していきます。
デメリット②:自由なカスタマイズができない。
オンプレミスでは自社にあわせたカスタマイズが可能になりますが、クラウドだと販売者が提供するサービスに依存しているため、自社でカスタマイズできる範囲が限られます。
企業に適した選び方
「オンプレミス」、「クラウド」のメリット・デメリットを紹介してきました。
では、それぞれどんな企業に適しているのでしょうか?
「オンプレミス」が適している場合
高いセキュリティを求める
独自の高度なセキュリティシステムを構築できます。
また物理サーバの設置場所に対しても、厳しい条件を満たしていなければいけない場合は、オンプレミス型が適しています。
高いカスタマイズ性を求める
自社独自の需要に沿って自由にカスタマイズしたい場合に適しています。
「クラウド」が適している場合
初期費用を抑えたい
基本的に初期費用はかからないため、初期費用を抑えたい場合に適しています。
メンテナンスの手間・コストを削減したい
サーバ等のハードウェアが自社に設置しない分、メンテナンスの手間やコストを削減できます。
社外からもアクセスしたい
インターネットに接続すれば、場所を選ばず社内データやシステムにアクセスできます。従業員の多くが社外で仕事を行う場合に適しています。
最後に
ここまでオンプレミスとクラウドの違いやメリット、デメリットについて説明してきましたが、オンプレミスとクラウドは敵対している訳ではなく、共存し補完し合う関係と考えるのがよいでしょう。
また、現在その二つの特徴を持つ“ハイブリッドクラウド”も誕生しました。
ハイブリッドクラウドでは、オンプレミスの高いセキュリティ性、容量などのサーバスペックの変更に対する柔軟性、従量課金制、災害用のバックアップ機能を有しており、それぞれのメリットを活かし、自社への最適化が可能になります。
それぞれの優位性を知ったうえで、自社のシステムに最適なサービスを選択をしていきましょう。