AWSとは【入門】基礎からわかりやすく解説

  • 2023.10.06
       
AWSとは?わかりやすくAWSの基本を解説

AWS(Amazon Web Services)とは、Amazon社がインターネット経由でストレージやデータベース、サーバといった、あらゆるITリソースを提供するクラウドコンピューティングサービスの総称です。

同社の社内インフラを支えるほどの高い技術が使われているため、セキュアで安定したサービスが提供されており、個人から大企業まで、幅広く利用されています。
本記事では、AWSに関する基礎知識から、サービス内容、メリットなどを中心に紹介します。

AWSとは

AWS(Amazon Web Services)とは、Amazon社がインターネット経由であらゆるITリソースを提供するクラウドコンピューティングサービスの総称です。具体的には、仮想サーバ「Amazon EC2(Amazon Elastic Compute Cloud)」やストレージ「Amazon S3」、データベース「Amazon RDS」などのサービスを提供しています。また、AIやIoTといったサービスの提供も開始しました。

このクラウドコンピューティングは、「クラウド」とも呼ばれ、インターネット経由で必要な時に必要な分だけサービスを利用するという仕組みを指します。従来では、サービスを利用するにはハードウェアの購入やソフトウェア(コンピュータを動かすプログラム)のインストールが必要でしたが、クラウドを活用することで、ハードウェアの購入やソフトウェアのインストールをしなくても、インターネット経由でサービスを利用できるようになりました。

もともとは同社が自社のECサイトで抱える商品の在庫管理やデータ分析といった課題を解決するために開発した社内インフラを支える仕組みを、2006年7月からパブリッククラウドとして一般提供したのが始まりで、今では世界中で高いシェアを誇っています。

AWSの基本的なサービスとしては、インターネットを経由したサーバやデータベース、ストレージなどのITリソースの提供です。サービスの種類も幅広く、2023年10月時点では241のサービスを提供しており、現在も新たなサービスが増え続けています。

AWSのサービスを利用することで次のようなさまざまな活用ができ、ビジネスをより効率的かつ有効に進められます。

・仮想サーバの構築
・データのバックアップ・管理
・データベース運用
・Webサイト運用
・システム開発環境の構築
・ビックデータの解析
・AI(機械学習)機能の利用
・コンテンツ配信

AWSのシェア

AWSのほかにも、AzureやGCP、アリババクラウドなど、さまざまなパブリッククラウドがありますが、AWSは、数あるパブリッククラウドの中でも、世界190カ国以上、数百万に及ぶユーザを抱えており、圧倒的なシェアを誇っています。

日本国内でも多くの企業が導入しており、クラウドを利用している 2社に1社が AWS を利用しているというデータもあります。下に示したグラフは 2021年4月時点でのグローバルのクラウド市場におけるベンダーシェアを表しています。

クラウド市場は前年から35%成長し、市場規模は418億ドル、日本円で約4兆6000億円であり、なかでも全体の32%を占めるAWSがいかに人気であるかが分かるでしょう。

もともと、オブジェクトストレージサービス「Amazon S3」からスタートし、仮想サーバ「Amazon EC2」、マネージド型データベース「Amazon RDS」といった基本的なサービスに続いて、セキュリティ、ネットワーク、IoT、モバイル、機械学習に至るまで、いまや200を超えるサービスを提供しています。
最先端の技術を惜しげもなく提供するため、いち早く新しいテクノロジーを使いたいエンジニアがこぞってAWSに集まり、利用者が増えることで市場規模が拡大し、提供価格が下がり、さらに利用者が増えるといった好循環を生み出しているというのが高いシェアにつながっています。

AWSで何ができる?代表的なサービス

一口に AWS といっても コンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワーク、分析、機械学習、セキュリティなどの分野ごとでさらに細分化された、計200を超えるサービスが提供されています。
ここからは AWS が提供しているサービスの中で代表的なものを挙げ、できることを紹介します。

Webサイト構築・運用

代表的なサービス:Amazon EC2 (Amazon Elastic Compute Cloud)

EC2は、必要に応じてスペックを変更できる仮想サーバを作成・利用可能なサービスで早ければ5分程度でサーバが構築できます。
柔軟性や拡張性が高く、Windows や Linux などの OS が自由に選べることや必要に応じて CPU のメモリ容量や Core数を選択・変更できるなど、仮想サーバーの幅広いカスタマイズが可能です。
また、仮想サーバーを複数作成して冗長化する際も、仮想ネットワークの環境も用意されているため、ネットワークを意識する必要がなく、画面上の簡単な操作だけで柔軟に実行することができます。

基幹・業務システムの構築

代表的なサービス:AWS CodeStar

AWSには、開発を補助するサービスもあり、顧客管理や販売管理、給与計算といった基幹・業務システムの構築にも利用できます。クラウド化することで、ハードウェア機器のサイジング作業やセキュリティアップデート作業、障害対応などのオンプレミスで運用するよりも負担を軽減できます。

データのバックアップ・コンテンツ配信

代表的なサービス:Amazon S3 (Amazon Simple Storage Service)

オンラインストレージであり静的コンテンツを配信できるサービスです。
保存できる容量やファイル数に制限がない上に、保管データは最低 3つのアベイラビリティゾーンに自動的に複製して保存されるため 99.999999999%(イレブン・ナイン)という非常に耐久性が高く、データ消失の心配はほとんどありません。
また、CloudFrontというコンテンツ配信ネットワークサービスを併用することで、インターネット経由で保存ファイル(画像やテキストなどの静的なコンテンツに限る)にアクセスさせ、Webサイトで配信できます。

以上のことから、災害が発生した場合でも、データを紛失せずに済み、災害後も早期的に復旧できるでっしょう。昨今、災害対策の重要性が再認識されており、万が一の事態に備えてデータをオンラインで保管するのが主流になりつつあります。

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データベース利用

代表的なサービス:Amazon RDS

フルマネージドで管理負担を抑えられるデータベースサービスで、MySQLやOracleといった主要なデータベースが簡単な操作で作成・管理できます。
フルマネージドであるため、データベースサーバを管理する手間も省けます。

ビッグデータの解析

代表的なサービス:Amazon EMR、Amazon Redshift、Amazon Kinesis

Amazon EMRは、膨大なデータを高速処理するサービスです。Amazon EC2やAmazon S3などを用いて膨大なデータを蓄積し、集積したビッグデータをAmazon EMRを用いて分析することができ、機械学習などに活用できます。

プログラムの実行環境

代表的なサービス:AWS Lambda

サーバの運用負担なしで、自動的にアプリケーションやサービスのプログラムを実行できる環境を提供するサーバレスコンピューティングサービスです。100万リクエストまで無料であり、コスト削減できます。

IoTソリューションの構築

代表的なサービス:Amazon FreeRTOS

組み込み系のシステム構築に有効なマイクロコントローラー向けのリアルタイムOS であり、産業向けの予測品質管理や商用向けのヘルスモニタリングなどの IoTソリューションを構築できます。

AI(機械学習)機能の利用

代表的なサービス:Amazon Personalize

20年以上にわたる Amazon が保有する Amazon.com の機械学習レコメンデーションをもとに開発されており、製品やコンテンツのレコメンデーションだけでなく、ターゲッティングされたマーケティングプロモーションの強化に活用できます。

ほかにもAWSにはさまざまなサービスがあり、必要なものを組み合わせて利用することもできます。

AWSのメリット

低コスト

クラウドサービスならではの、基本的に通信料や通信時間に応じて支払う従量課金制であり、不要になればサービスを停止することで課金は停止します。
また、AWS は過去 10年間で 85回以上の継続的な値下げを行ってきました。
利用するユーザが増えることで、市場規模が拡大し、技術投資やサービスの最適化を行って全体的なコストを削減でき、その分、値下げとして顧客に還元しています。

データ障害に強い

AWSは、世界中にリージョンを配置しており、日本国内にも2つのリージョンがあります。データ障害が発生した場合、ほかのデータセンターに負荷が分散されるようになっているため、データ破損・消失のリスクが軽減できます。サービスによっては、リージョンを指定できて、DR対策にも有効ですし、海外展開の場合は現地に近いリージョンを選ぶと通信遅延の軽減にもつながります。

セキュリティレベルが高い

AWS は、国際銀行、軍隊など機密性の非常に高い組織のセキュリティ要件を満たすよう非常に高いセキュリティレベルで構築されています。
ユーザーは、セキュリティ対策を自ら行うことなく、安心で安全なシステムを利用できます。
また、システムとの連携などの外部環境におけるセキュリティに対しても、サポートサービスやプロフェッショナルサービスを用意することでユーザの要望に応えられる仕組みを提供しています。

可用性が高い

AWS はデータセンターを世界中に設置していることから、データ障害や大規模災害が起きた際のリスクを分散ができます。
データ障害が発生した場合、自動的に他のデータセンターにトラフィックが移り、他のデータセンターに負荷が分散されるようになっており、可用性が高いです。

最先端技術を利用できる

AWS は 2020年には 2,757回のバージョンアップや機能改修などのアップデートが行われています。
AWS の 90%以上のサービス、機能はユーザーからのリクエストを元に実装されており、業務を行う上で必要となる機能は一通り揃えられているため、他社のサービスを組み合わせることなくAWSのみで完結させることができます。

管理者・開発者の負担を減らせる

常にセキュリティアップデートが施され、ユーザは常にセキュアな環境を利用できます。ハードウェアの管理やソフトウェアのアップデートなど、管理の手間が省けるため、その分、人的リソースを有効に活用できます。

ハードウェアの購入などが不要

ハードウェアを購入する必要がなく、すぐに利用を始められるうえに、拡張性も高いため、ビジネスのスピードを高められます。さらに、ハードウェアを設置する物理的なスペースも不要なため、スペースも削減できます。

AWSを利用する上での注意点

トラブル時は自己解決

AWS の障害など、何らかの問題が発生した際はユーザー自身で対処しなければなりません。
AWSで障害が発生し、サービスが停止するといった万が一の場合に備え、対策しておく必要があります。

サービスの選定に知識が必要

サービスが豊富であるがゆえに、サービスの選定や設計にノウハウが必要となります。

AWSの料金体系

サービスによりますが、AWSの料金は利用量に応じて価格が変動する従量課金制を採用しています。

必要な時に必要な分だけサービスを利用し、不要になったらサービスを停止することで無駄な料金も発生しません。また、初期費用や月々の基本料金もかからないため、導入・運用のコストを削減できます。

また、AWSには設定した利用料を超えた場合に知らせてくれるアラート機能もあるため、設定しておけば予期せぬ請求も避けられます。

無料枠もある

サービスによっては、一定量を無料で利用することができます。本格的な利用を迷っている場合は、無料枠で試してみることをおすすめします。

最後に

AWS は柔軟性や拡張性が高く、AmazonEC2などを用いてインフラを構築し、AWSのサービスやソフトウェアなどを組み合わせることで、Web やネットワークに関するさまざまな機能を活用できます。
その信頼性や品質の高さから大手企業や医療機関、大学でもなどさまざまな業界での導入が進んでおり、今後ますます利用数が増えると予測されています。
AWS で最適なサービスを利用するには、専門的な知識を必要ですが、サポートサービスもあるため、導入を検討してはいかがでしょうか?

     

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