AWSとは

AWS(アマゾンウェブサービス)とは、Amazonが提供するクラウドコンピューティングサービスであり、その中でも高いシェアを誇っています。
もともとはAmazonが自社のネットショッピングECサイトで抱える商品の在庫管理やデータ分析といった課題を解決するために考え出したITインフラの仕組みを、クラウドサービスとして一般ユーザーにも提供したのが始まりです。
AWSのシェア
数多くあるクラウドサービスの中でも、世界190カ国以上、数百万に及ぶユーザーを抱えており、圧倒的なシェアを誇っています。
日本国内でも多くの企業が導入しており、クラウドを利用している 2社に1社が AWS を利用しているというデータもあります。
以下のグラフは 2021年4月時点でのグローバルのクラウド市場におけるベンダーシェアを表しています。

クラウド市場は前年から 35%成長し、市場規模は 418億ドル、日本円で約 4兆6000億円であり、中でも全体の 32%を占めるAWSがいかに人気であるかが分かるでしょう。
もともと、オブジェクトストレージサービス「Amazon S3」からスタートし、仮想サーバー「Amazon EC2」、マネージド型データベース「Amazon RDS」といった基本的なサービスに続いて、セキュリティ、ネットワーク、IoT、モバイル、機械学習に至るまで、いまや200を超えるサービスも提供しています。
最先端の技術を惜しげもなく提供するため、いち早く新しいテクノロジーを使いたいエンジニアがこぞってAWSに集まり、利用者が増えることで市場規模が拡大し、提供価格が下がり、さらに利用者が増えるといった好循環を生み出しているというのが高いシェアにつながっています。
AWSで何ができる?代表的なサービス

一口に AWS といっても 200を超えるサービスがあり、それぞれできることが異なります。
ストラクチャーサービスとプラットフォームサービスの 二分されており、それぞれの分野でさらに細かいサービスが提供されています。
ここからは AWS が提供しているサービスの中で代表的なものを挙げ、できることを紹介します。
Webサイト構築・運用
サービス:Amazon EC2 (Amazon Elastic Compute Cloud)
汎用的に利用されるサーバー環境の構築に有効なサービスで早ければ5 分程度でサーバが構築できます。
柔軟性や拡張性が高く、Windows や Linux などの OS が自由に選べることや必要に応じて CPU のメモリ容量や Core数を選択・変更できるなど、仮想サーバーの幅広いカスタマイズが可能です。
また、仮想サーバーを複数作成して冗長化する際も、仮想ネットワークの環境も用意されているため、ネットワークを意識する必要がなく、画面上の簡単な操作だけで柔軟に実行することができます。
データ保存・コンテンツ配信
サービス:Amazon S3 (Amazon Simple Storage Service)
オンラインストレージであり静的コンテンツを配信できるサービスです。
保存できる容量やファイル数に制限がない上に、保管データは最低 3つのアベイラビリティゾーンに自動的に複製して保存されるため 99.999999999%(イレブン・ナイン)という非常に耐久性が高く、データ消失の心配はほとんどありません。
またインターネット経由で保存データにアクセスできるため、静的なコンテンツであれば配信が可能です。
以上のことから、災害が発生した場合でも、データを紛失せずに済み、災害後も早期的に復旧できるでっしょう。昨今、災害対策の重要性が再認識されており、万が一の事態に備えてデータをオンラインで保管するのが主流になりつつあります。
データベース利用
サービス:Amazon RDS
フルマネージドで管理負担を抑えられるデータベースサービスです。
MySQLやOracleといった主要なデータベースが簡単な操作で作成できます。
フルマネージドであるため、データベースサーバーを管理する手間も省けます。
プログラムの実行環境
サービス:AWS Lambda
サーバーの運用負担なしで、アプリケーションやサービスのプログラムを実行できる環境を提供するサービスです。
100万リクエストまで無料であり、コスト削減できます。
IoTソリューションの構築
サービス:Amazon FreeRTOS
組み込み系のシステム構築に有効なマイクロコントローラー向けのリアルタイムOS であり、産業向けの予測品質管理や商用向けのヘルスモニタリングなどの IoTソリューションを構築できます。
AI(機械学習)機能の利用
サービス:Amazon Personalize
20年以上にわたる Amazon が保有する Amazon.com の機械学習レコメンデーションをもとに開発されており、製品やコンテンツのレコメンデーションだけでなく、ターゲッティングされたマーケティングプロモーションの強化に活用できます。
メリット/デメリット

メリット
1.低コスト
クラウドサービスならではの、基本的に通信料や通信時間に応じて支払う従量課金制であり、不要になればサービスを停止することで課金は停止します。
また、AWS は過去 10年間で 85回以上の継続的な値下げを行ってきました。
利用するユーザーが増えることで、市場規模が拡大し、技術投資やサービスの最適化を行って全体的なコストを削減でき、その分、値下げとして顧客に還元しています。
2.セキュリティレベルが高い
AWS は、国際銀行、軍隊など機密性の非常に高い組織のセキュリティ要件を満たすよう非常に高いセキュリティレベルで構築されています。
ユーザーは、セキュリティ対策を自ら行うことなく、安心で安全なシステムを利用できます。
また、システムとの連携などの外部環境におけるセキュリティに対しても、サポートサービスやプロフェッショナルサービスを用意することでユーザーの要望に応えられる仕組みを提供しています。
3.可用性が高い
AWS はデータセンターを世界中に設置していることから、データ障害や大規模災害が起きた際のリスクを分散ができます。
データ障害が発生した場合、自動的に他のデータセンターにトラフィックが移り、他のデータセンターに負荷が分散されるようになっており、可用性が高いです。
4.最先端技術を利用できる
AWS は 2020年には 2,757回のバージョンアップや機能改修などのアップデートが行われています。
AWS の 90%以上のサービス、機能はユーザーからのリクエストを元に実装されており、業務を行う上で必要となる機能は一通り揃えられているため、他社のサービスを組み合わせることなくAWSのみで完結させることができます。
デメリット
1.自身でのトラブル対応
AWS の障害など、何らかの問題が発生した際はユーザー自身で対処しなければなりません。
AWSで障害が発生し、サービスが停止するといった万が一の場合に備え、対策しておく必要があります。
2.多様なサービス
サービスが豊富であるがゆえに、サービス選定および設計ノウハウが必要になります。
最後に
AWS は柔軟性や拡張性が高く、AmazonEC2などを用いてインフラを構築し、AWSのサービスやソフトウェアなどを組み合わせることで、Web やネットワークに関するさまざまな機能を活用できます。
その信頼性や品質の高さから大手企業や医療機関、大学でもなどさまざまな業界での導入が進んでおり、今後ますます利用数が増えると予測されています。
AWS で最適なサービスを利用するには、専門的な知識を必要ですが、サポートサービスもあるため、導入を検討してはいかがでしょうか?