一躍有名になり、多くの人に利用されるようになったChatGPT。無料で利用できるサービスですが、なかには、有料版の「ChatGPT Plus」とはどのような違いがあるのか気になっている人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ChatGPTの有料版と無料版の違い、それぞれどんな用途に向いているのか紹介します。
ChatGPT Plusとは?
ChatGPT Plusは、米国OpenAI社が開発した文章生成AIで、対話形式のAIチャットサービス「ChatGPT」の有料版のサービスとして2023年2月から提供されています。無料版のChatGPTに比べて機能性が大幅に向上したので、より高度な対話が可能になり、活用の幅が広がりました。2024年1月時点では月額20ドルとなっています。
そもそもChatGPTとは?
ChatGPTとは、米OpenAIが開発した文章生成AIで、2022年11月からAIチャットサービスとして提供が開始されました。GPTというニューラルネットワークをベースにした大規模言語モデルで、多くのパラメータを持つため、人間のように文章を生成するなど、多様な自然言語処理タスクを実行できます。まるで人間と対話しているように自然な文章で回答を返してくれます。メッセージ(プロンプト)の内容を工夫することで、生成する内容をコントロール可能です。
なぜChatGPT Plusが注目されているのか
ChatGPT Plusが注目されている理由としては、言語モデル「GPT-4」の使用によって無料版よりも高度な対話能力が実現できるところです。たとえば、アメリカの司法試験において「GPT-3.5」だと下位10%程度の点数であったのに対し、「GPT-4」では上位10%ともいわれています。
また、Webブラウジング機能やプラグイン機能の利用といった、幅広い機能を利用できるのも理由の一つです。誤りのある質問文(プロンプト)を送ると、「GPT-3.5」では誤った回答をし、質問文の誤りを訂正することもありませんでしたが、「GPT-4」では質問文の誤りを訂正した上で、正しい情報を回答しました。ほかにも、優先アクセスや新機能の優先利用などの恩恵も受けられます。
ChatGPT(無料版)とChatGPT Plus(有料版)の違い
料金体系
ChatGPTが無料で利用できるのに対し、ChatGPT Plusは月額20ドル、日本円に換算すると約3,000円(2024年1月時点)の利用料が必要です。また、2023年8月には商用利用に適した「ChatGPT Enterprise」も発表されました。
言語モデル
ChatGPTがGPT-3.5という言語モデルを使用しているのに対し、ChatGPT Plusでは、それに加えて、GPT-4も利用できます。GPT-4は処理能力が大幅に向上しており、より高度かつ自然な対話ができます。
回答速度
GPT-4を利用したChatGPT Plusは、回答の精度が高い反面、回答速度は遅い傾向にあり、回答速度に関しては無料版の方が高速です。有料版のほうが遅くなるのは以下のような理由があります。
・扱える文字量が増えた
・複雑な処理が増えた
・画像処理ができるようになった
ただ、現在はアップデートによって、ChatGPT Plusの回答速度は大幅に改善されました。
新機能の利用
ChatGPT Plusでは、日々追加される新機能や改良機能を優先的に利用できます。いち早く新機能が解放されるうので、用途の幅広がり、業務の効率化も期待できます。その点、ChatGPTでは一般提供が開始されるまで待つ必要があります。
アクセスの繋がりやすさ
ChatGPTとChatGPT Plusでは、アクセスのしやすさも異なります。ChatGPTなどのWebサービスでは多く利用者がアクセスし、回線が混雑すると繋がりにくくなることがあります。しかし、有料版のChatGPT Plusの場合はそういった混雑時でも優先的にアクセスできるようになっているので、時間帯に限らず快適に利用できます。
パラメータ数
ChatGPTと有料版のChatGPT Plusではパラメータ数も異なります。パラメータ数は言語モデルの回答精度に直結する値であり、多いほど回答精度も高くなります。ChatGPT Plusの回答精度は、ChatGPTの約57倍に達しているともいわれています。公式情報はなく、あくまで推定となりますが、GPT-3のパラメータがおよそ3550億個程度であるのに対し、GPT-4のパラメータは1兆個ともいわれています。
リクエスト回数
ChatGPTとChatGPT Plusではリクエスト回数も異なります。有料版のChatGPT Plusでは50回/3時間となっています。なお、これに関しては今後も変更が行われる可能性が高いです。
質問/生成できる文字数
ChatGPT Plusでは1回の質問・回答で利用できる文字数の上限が大幅に増えました。質問・回答ともに、およそ2倍の文字量を扱えます。GPT-3を使ったChatGPTではおよそ2,500文字でしたが、GPT-4を使ったChatGPT Plusでは5,000字程度まで入力できます。※厳密には「文字数」ではなく「トークン数」でそれぞれ上限が設けられています。
マルチモーダル対応
ChatGPT Plusは、GPT-4の搭載により、マルチモーダル対応しています。マルチモーダルとはテキストにだけでなく、画像などの処理もできる機能です。
ブラウジング機能
ChatGPT PlusにはWebブラウジング機能が備わっているため、インターネットの検索結果をもとに回答を生成できます。そのため、最新情報に関する質問(プロンプト)にも対応できます。また、ブラウジング機能を利用した場合はソースも載せてくれるので情報の正誤をもすぐに確認できます。一方で無料版のChatGPTではこの機能は備わっていません。
情報の鮮度
何年までのデータを楽手しているかが無料版と有料版で異なります。ChatGPTが2021年9月までであり、それ以降の情報に基づいた回答はできないのに対し、ChatGPT Plusでは、2022年1月までの学習データに加え、インターネット検索から得た情報を学習する機能も追加されているので最新の情報に関する質問(プロンプト)にも対応可能です。
サポート対応
ChatGPTは簡易サポートのみの対応となっていますが、ChatGPT Plusでは優先的にサポートを受けられます。安心して利用ができます。
プラグイン機能の利用
ChatGPT Plusでは、さまざまなプラグイン機能との連携が可能です。プラグインとは、外部アプリケーションとの連携で機能を拡張するために追加するツールのことで、この機能を利用することでChatGPTを使って飛躍的に業務を効率化できます。
プラグイン機能を利用することで外部アプリケーションのデータを利用したり、商品やサービスをの検索・予約ができるようになります。
代表的なプラグインには次のようなものがあります。
プラグイン | 概要 |
食べログ | レストランを検索・予約する |
Kakaku.com | 商品の価格を比較する |
LIFULL HOME’S | 不動産情報を検索する |
Expedia | 旅館を検索・予約する |
Now | GoogleやTwitterから情報を取得する |
WebPilot | Webページを要約する |
AskYour PDF | PDFを解析する |
ChatGPTから「GPT-4」「Plugins」をクリックし、Plugin storeから利用したいプラグインの「Install」ボタンをクリックするとインストールできます。
ChatGPT上でPythonコードを実行できる
ChatGPTではコード生成までしかできませんが、ChatGPT PlusではChatGPT上でコードの実行までできます。ChatGPT Plusでは「Advanced Data Analysis(旧Code Interpreter)」という、ChatGPT上でPythonコードを実行する機能が利用できます。これは2023年7月に追加されたプラグインの1つで、これを利用することでプレゼン用のスライド作成やデータ分析、画像処理がChatGPT上で行えます。
Custom Instructionsの利用
Custom Instructionsは、ChatGPTの応答方法をユーザ自身でより細かく制御できる機能です。指示に基づいて応答が変化するので自身のニーズに合わせてChatGPTの応答をカスタマイズできます。
※Custom InstructionsはChatGPT Plus限定機能でしたが、一部地域を除き、2023年8月9日からは無料版でも利用できるようになりました。
無料版と有料版の比較【まとめ】
無料版 | 有料版 | |
料金 | 無料 | 月額20ドル |
言語モデル | GPT-3.5 | GPT-3.5、GPT-4 |
回答速度 | 比較的高速 | 場合によっては遅くなる |
新機能の利用 | 遅い | 早い |
アクセスの安定性 | タイミングによっては不安定 | 安定 |
パラメータ数 | 3550億個 | 推定5000億~1兆個 |
質問/生成できる文字数 | 2,500字程度 | 5,000字程度 |
ブラウジング機能 | × | ○ |
情報の鮮度 | 2021年9月までの学習データ | 2022年1月までの学習データ Webブラウジング機能あり |
サポート対応 | 簡易サポート | 優先サポート |
プラグインの利用 | × | ○ |
Advanced Data Analysisの利用 | × | ○ |
Custom Instructionsの利用 | ○ | ○ |
ChatGPT Plusでできること
より複雑なタスクに正しい回答を返せる
アメリカの司法試験において「GPT-3.5」だと下位10%程度の点数であったのに対し、「GPT-4」では上位10%ともいわれており、飛躍的に処理・返答能力が向上しているのが分かります。
新機能の優先的に利用できる
ChatGPT Plusでは、日々追加される新機能や改良機能を優先利用できます。いち早く新機能が解放されるうので、用途の幅広がり、業務の効率化も期待できます。
ブラウジング機能を利用できる
ChatGPT Plusでは、Webブラウジング機能が備わっており、Bing検索を利用してインターネット上の情報をもとに回答を作成します。
画像処理
ChatGPT Plusは、GPT-4の搭載により、マルチモーダル対応しています。マルチモーダルとはテキストにだけでなく、画像などの処理もできる機能です。
有料版はどんな人におすすめ?
ChatGPT Plusは、その機能性でユーザに利益をもたらしますが、特に次のような人に対しての恩恵が大きいです。有料版の利用を検討している人は当てはまるかチェックしてみましょう。
ChatGPTを頻繁に利用する人
ChatGPTの利用頻度が高い人は有料版が適しています。ブラウジング機能やプラグイン機能が利用できるので幅広い情報を得られます。
最新の情報にアクセスしたい人
ChatGPT Plusはブラウジング機能が備わっているので常に新しい情報を得たい人におすすめです。
高精度な回答を求める人
高精度な回答を求める人にもChatGPT Plusはおすすめです。言語モデルであるGPT-4は、パラメータ数が約100兆個と、無料版よりも格段に増えているので、高精度な回答を生成できます。
ビジネスに活用したい人
無料版はアクセス数が多くなる時間帯につながりにくくなりますが、ChatGPT Plusでは優先的なアクセスが可能です。ビジネスで利用する場合、常にアクセスできる必要があるのでChatGPT Plusの利用がおすすめです。また、回答精度や文字数制限の面でも有料版が優れています。
ChatGPT Plusの注意点
毎月の料金が発生する
ChatGPT Plusは月額性の有料サービスであり、たとえ利用せず放置しても契約している間は毎月20ドルの支払いが発生します。そのため、利用回数や利用頻度が少ない場合は、費用対効果が悪くなってしまうでしょう。
無料版と変わらない部分もある
ChatGPT Plusでも、無料版のChatGPTにあった著作権侵害のリスクや回答結果の正確性の問題などは依然として残ります。そういった点に留意しながら利用する必要があります。特に、回答の正確性については誤った回答生成の可能性に加え、ChatGPT PlusではWeb上のデータを拾いますが、その情報が誤っている場合もあります。そのため、無料版と同じように、事実確認(ディファクトチェック)は必ず行いましょう。
画像や動画、音声の生成はできない
ChatGPT Plus単体では、画像や動画、音声の生成はできないので、そういった用途にはほかのサービスを利用しましょう。※GTP-4自体には画像認識機能が備わっています。
ChatGPTを有料版にアップグレードする方法
GPT-4やプラグイン機能を利用するには、有料版であるChatGPT Plusを契約する必要があります。なお、ChatGPT Plusを利用するには、無料版である「ChatGPT」で登録したアカウントを使用し、アップグレードする形式で行う必要があります。未登録の場合は「ChatGPT」のアカウント登録を済ませてから行いましょう。
ChatGPTのログイン画面にアクセスする
ChatGPTの「Log in」をクリックしてログイン画面にアクセスします。
ChatGPTにログインする
eメールアドレスの入力またはGoogle、Mictosoft、Appleのアカウントを選択してログインしましょう。
「Upgrade to Plus」をクリックする
画面左下のメニューにある「Upgrade」 をクリックするとプランの選択画面が表示されるので右側の「Upgrade plan」をクリックします。プランに関する質問は画面下部の「I need help with a billing issue」から確認できます。
契約内容を確認する
画面左に契約内容、右に支払いに必要な項目を入力する画面に遷移します。
支払い情報を入力する
契約内容の確認後は、支払い用のクレジットカード情報やカード所有者名、請求先住所を入力します。また、Term of use(利用規約)を確認の上、チェック項目にチェックを入れたら「申し込む」ボタンをクリックします。ちなみに、13歳未満は利用不可、18歳未満は保護者等の同意が必要です。
料金は月額制で、自動更新されます。ChatGPT Plusの利用を止める場合は、次回の更新日までに解約する必要があります。
GoogleやMictosoft、Appleのアカウントからログインした場合
GoogleやMictosoft、Appleのアカウントでログインした場合は、画面右側はそのアカウントに紐づけられている決済情報を使用するか否かを選択することになります。
登録完了メールを確認する
登録完了メールが届くか確認します。
アップグレード完了
「Payment received! You’ve been upgraded to ChatGPT Plus.」と表示されれば、正常にアップグレードが完了したことになります。
ChatGPT Plusの解約方法
ここからはChatGPT Plusの解約方法について説明します。なお、解約する場合は更新日の24時間前までにキャンセルする必要があります。
「My plan」をクリック
ChatGPT Plusを解約する場合は、画面左側にあるメニューから「My plan」をクリックします。現在のプラン内容が表示されます。
「Manage my subscription」をクリック
「Manage my subscription」をクリックすると詳細設定に遷移します。
「プランをキャンセル」をクリック
「プランをキャンセル」をクリックすると解約手続きが始まります。
内容を確認し、再度キャンセルボタンをクリック
解約内容を確認し、再度キャンセルボタンをクリックすることで解約手続きが完了します。
解約後の利用可能期間
なお、ChatGPT Plusは月払いのサブスクリプション型のサービスで前払い制であるため、解約手続き後も、次回の更新日までは引き続きサービスを利用できます。
まとめ
ChatGPT Plusは、AI技術を用いた対話型の言語モデルです。無料版のものよりも幅広い機能を利用でき、回答精度も上がったのでまるで人間を相手に会話しているような回答が生成されます。ChatGPTの利便性を上げたい人やビジネスでの活用を考えている人は有料版の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
IT知識・スキルの勉強方法は?
書籍やインターネットで学習する方法があります。昨今では、YouTubeなどの動画サイトやエンジニアのコミュニティサイトなども充実していて多くの情報が手に入ります。
そして、より効率的に知識・スキルを習得するには、知識をつけながら実際に手を動かしてみるなど、インプットとアウトプットを繰り返していくことが重要です。特に独学の場合は、有識者に質問ができたりフィードバックをもらえるような環境があると、理解度が深まるでしょう。
ただ、ITの知識・スキルを身につける際、どうしても課題にぶつかってしまうことはありますよね。特に独学だと、わからない部分をプロに質問できる機会を確保しにくく、モチベーションが続きにくいという側面があります。独学でモチベーションを維持する自信がない人にはプログラミングスクールという手もあります。費用は掛かりますが、その分スキルを身につけやすいです。しっかりと知識・スキルを習得して実践に活かしたいという人はプログラミングスクールがおすすめです。
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