応用情報技術者試験とは?
応用情報技術者試験(AP)とはIPAが実施する情報処理技術者試験の一つで、IT関連の応用レベルの知識や技能を認定する国家試験です。年に2回、春期と秋期に実施されます。
基本情報技術者試験の上位に位置付けられており、応用というだけあってITエンジニアとしてスキルアップを目指す人が基本情報技術者の次に受けたり、より高度な情報処理技術者試験の前に受ける場合が多いです。
ITに関する幅広い分野を網羅している試験で、実務経験のあるIT従事者でもその合格率は20%ほどと、難易度は高めに設定されています。
応用情報技術者試験が誕生した経緯は?
応用情報技術者試験は、平成21年4月に行われた大幅な情報処理技術者試験制度改正のタイミングで旧ソフトウェア開発技術者の後継試験として誕生しました。
この応用情報技術者試験の前身となるソフトウェア開発技術者の出題範囲がソフトウェア開発の比重が高かったのに対し、応用情報技術者は5つの人材像(ストラテジスト・システムアーキテクト・サービスマネージャ・プロジェクトマネージャ・テクニカルスペシャリスト)を想定しており、出題範囲もこの人材像に準ずるため、テクノロジ系に加えてマネジメント系、ストラテジ系も出題されます。
応用情報技術者試験の難易度は?
経済産業省と情報処理推進機構(IPA)の策定では、情報処理技術者試験は難易度ごとに4段階に分けられ、基礎的な知識を問うレベル1から、高度な専門的知識が求められるレベル4まであります。
そのなかで応用情報技術者試験は、レベル3に位置付けられ、ITに関する応用的知識や技能がとわれる試験となっています。
そのため、基礎的な知識や技能が身についていない人がいきなり合格できるほど簡単な試験ではありません。
合格率はおよそ20%
応用情報技術者試験の合格率などは、主催元であるIPAの公式サイトで公開されています。以下に示す表は実施された応用情報技術者試験直近5回の合格率を示しています。
▼直近6回の合格率推移
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和5年度春期 | 32,340 | 8,806 | 27.2% |
令和4年度秋期 | 36,329 | 9,516 | 26.2% |
令和4年度春期 | 32,189 | 7,827 | 24.3% |
令和3年度秋期 | 33,513 | 7,719 | 23.0% |
令和3年度春期 | 26,185 | 6,287 | 24.0% |
令和2年度10月 | 29,024 | 6,807 | 23.5% |
参照:「統計資料」
合格率は20%台前半が大半で、20%を割ることもあります。
受験者の多くは基本情報技術者試験の合格者もしくはそれ相当の知識を持つ人で、経験年数別の分類を見ても実務経験2~4年の受験者数が一番多く、そういった受験者のなかでも2割しか受からないことを考慮しても、いかに難易度が高いかわかりますね。
難易度の高い一番の理由は試験の出題範囲が非常に広範囲であることが考えられます。出題範囲にはテクノロジ系以外にも、マネジメント系やストラテジ系も含まれるため非常に広範囲です。
基礎的な知識がある人や豊富な実務経験を積んだ人でもすべての分野を抑えられているわけではないので、試験対策をせずに合格するのは難しく、しっかり勉強をしたうえで受験に挑まねばなりません。
また、合格率に関しては、実務経験のない人や実務経験1年未満の人の合格率が高く、実務経験が長くなるほど下がっていく傾向にあります。これは、いかに試験勉強に時間を割かなければいけないのかを表していますね。
基本情報処理技術者試験との難易度を比較
基本情報技術者試験は、同じくIPAが実施する国家試験の一つです。
難易度はレベル2で、ITエンジニアの登竜門として年間10万人が受ける、ITに関する基礎的な知識がつく資格です。
その合格率は、コンピュータ上で受験するCBT方式が導入されたことなどによって大幅に上昇し、40%代に推移しています。
また、受験者層から見ても、学生や新人向けにITの基礎的な知識や技能を問う基本情報技術者試験の受験者平均年齢が20代半ばであるのに対し、応用情報技術者は受験者の平均年齢が20代後半から30代前半と、高いことからも実務経験があり、一定の知識のある人向けに応用的な知識、技能を問う、といった違いもあり、それだけ難易度も変わってきます。
いきなり受けても合格できる?
難易度順にITパスポートや基本情報技術者試験に合格してから応用情報技術者試験を受験するというのが一般的ですが、それらを受けずに、いきなり応用情報技術者試験に合格することはできるのでしょうか。
結論からいうと、できます。そもそも、応募資格がないのでだれでも受験可能なので、知識や技能が備わってさえいれば合格できるということです。
過去問に似通った出題が多いという点でも、過去問や参考書を用いて対策をしっかりすれば十分合格を狙えます。
また、午後試験は記述問題で、難しいですが、選択式であるため、基本情報技術者試験の午後試験にあるようなプログラミングに関する問題を避けられます。
必要な勉強時間は?
ITに関する知識や実務経験がない初学者の場合は500時間が目安とされています。
これは毎日3時間の試験勉強だと半年ほどの期間を要します。
応用情報技術者試験を取得するメリットは?
一部試験が免除
応用情報技術者試験に合格すれば、さらに上位のレベル4にあたる試験の午前Ⅰ試験、ほかにも弁理士試験や中小企業診断士試験の一部が免除されます。応用情報技術者試験の次により高度な資格試験に挑戦したいと考える人も多くいるのではないでしょうか。応用情報技術者試験合格後2年間は、免除申請ができるため、その分学習コストを減らせます。ぜひこの制度の利用を検討してみてください。
ITに関する体系的な知識が身につく
応用情報技術者試験の学習を通して、ITに関する体系的な知識、そのなかでも比較的難易度の高い知識が身につきます。応用情報技術者試験より高難易度の試験もありますが、これらはどれも専門分野に特化したものなので、体系的に応用的な知識が学べるという点で総合的な知識を付けたいという人には最適な資格です。
就職や転職に有利
基本情報技術者試験は、ITエンジニアにとってはあまり有効なものではありませんでしたが、応用情報技術者試験に至っては違います。単純に知名度の高い国家資格でもありますが、応用情報技術者試験を持っていることで、ITに関して一定以上の知識や技能を持つ人材として認識されます。
このように、この資格を持っていることで、特にこの試験の難しさを知っている人からの評価も上がり、提案の説得力も増すでしょう。
また、社会人だけでなく、大学でも入試時の優遇や単位認定といった制度が設けられていることがあります。
資格手当がもらえることも
企業によっては資格を取得することで資格手当や報奨金が支給されます。資格勉強の過程で、ITに関する知識や技能を付けられるだけでなく、報奨があると取得に対するモチベーションも上がりますね!
応用情報技術者試験に関する基本情報
応募資格 | 特になし |
試験日 | 春期 : 4月の第3日曜日 秋期 : 10月の第2日曜日 |
願書申込み受付期間 | □春期 郵送:1月下旬~2月中旬頃まで インターネット:1月下旬~2月下旬頃まで □秋期 郵送:7月上旬~中頃まで インターネット:7月中旬~下旬頃まで |
試験内容 | 午前問題と午後問題※詳細は項目に記載 |
解答形式 | ペーパー式 |
受験料 | 7,500円 |
試験日程
応用情報技術者試験は春期・秋期に実施されています。受験できるのは年に2日だけなので注意が必要です。例年4月、10月の第3日曜日に実施されており、今年(令和5年度)の実施日は4月16日、10月8日となります。
申込受付期間
受験申込受付期間は試験の2~3か月前で、今年の春期試験に関してはすでに受付期間が終了しています。秋期試験の受験を考えている人は、7月頃に公式サイトをチェックしておきましょう。
うっかり申し込みを忘れてしまいそうという人に朗報です。IPAでは、配信メールで試験の受付開始情報をお知らせするサービスも行っています。登録をすれば、申込み忘れも防げるのでぜひご活用ください。
受験手数料
受験料は7,500円です。
実施場所
試験は全国主要56都市の市内または周辺に設けられた試験会場で実施されます。試験会場は、会場の定員数の関係で希望する試験地で受験できない可能性があります。余裕をもって申し込みましょう。
受験対象者
応募資格は特に設けられておらず、実務経験のない人でも試験を受けられますが、受験対象像は、「ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者」と設定されています。
解答形式
記述問題のある応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験と違い、コンピュータで受験することができず、ペーパー式を採っています。
試験内容
試験は午前問題と午後問題に分けられています。どちらも試験時間は150分間ですが、出題形式や出題数、回答数が異なります。
午前問題と午後問題の概要は次の表を参照してください。
午前 | 午後 | |
試験時間 | 9:30~12:00(150分) | 13:00~15:30(150分) |
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) | 記述式 |
出題数 | 80問 | 11問 |
回答数 | 80問 | 5問 |
合格基準
午前試験(100点満点)、午後試験(100点満点)のどちらも60点以上で合格となります。
午前試験の得点が基準点である60点に達しなければ、午後試験は採点されません。
また、午前問題の免除制度がないことにも注意が必要です。午前問題が合格で午後問題が不合格だった場合でも、次受験した時に再度午前問題を受ける必要があります。
試験問題の出題範囲
◆午前試験
午前問題は四肢択一式で80問出題されます。
その内訳としては以下のようになります。
テクノロジ系:50問
基礎理論、アルゴリズム、コンピュータ構成要素、データベース、ネットワーク、セキュリティなど
マネジメント系:10問
プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査など
ストラテジ系:20問
システム戦略、経営戦略、企業活動、法務など
また、知識があれば解ける問題以外にも、計算が必要な問題も出題されます。
◆午後試験
午後問題は分野別に11問が出題され、そのうち5問に解答します。ただ、問1の情報セキュリティに関する問題は必須であるため、それ以外の10問から4問を選択することになります。
設問が長文で、記述問題も多いため、時間内に読解して簡潔に解答していく必要があります。
配点としては、午前問題は1問あたり1.25点、午後問題は1問あたり20点となります。
試験範囲の詳細に関してはこちらをご覧ください。
応用情報技術者試験の勉強方法は?
とにかく過去問を解くことです。
過去問演習がとても大事です。まず参考書を一通り読んだら、過去問を解いてみましょう。
過去問を解くことで自分の持つ知識レベルが把握でき、得意分野・苦手分野もわかります。それにより、演習する分野を絞ったり、重点的に学習すべき分野が分かるため、その後の試験勉強を効率的に進められます。
過去問題は公式サイトで公開されています。また、午後問題においては答えだけでなく、採点の講評も掲載されているので活用してみてください。
過去問を解き、間違えたり、よく理解できていないと感じた部分という流れがおすすめです。
午前問題は約半数が過去に出題されたものです。
このとき、本番と同じように時間制限を付けるなどして、時間配分を意識して回答しましょう。特に、午後試験では長文問題があるため、どの程度のスピードで回答すればいいのかシミュレーションするといいでしょう。
ITスキルを習得するには?
書籍やインターネットで学習する方法があります。昨今では、YouTubeなどの動画サイトやエンジニアのコミュニティサイトなども充実していて多くの情報が手に入ります。
そして、より効率的に知識・スキルを習得するには、知識をつけながら実際に手を動かしてみるなど、インプットとアウトプットを繰り返していくことが重要です。特に独学の場合は、有識者に質問ができたりフィードバックをもらえるような環境があると、理解度が深まるでしょう。
ただ、ITスキルを身につける際、どうしても課題にぶつかってしまうことはありますよね。特に独学だと、わからない部分をプロに質問できる機会を確保しにくく、モチベーションが続きにくいという側面があります。独学でモチベーションを維持する自信がない人にはプログラミングスクールという手もあります。費用は掛かりますが、その分スキルを身につけやすいです。しっかりと知識・スキルを習得して実践に活かしたいという人はプログラミングスクールがおすすめです。
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