サーバとは
サーバ ( server ) とは簡単に言うとネットワーク上のデータの保管庫のことです。
server には「提供する側」という意味があり、インターネットなどのネットワークを通じて利用者の要求 ( リクエスト ) に対して、それに応えるデータを提供するコンピュータを“サーバ”と呼びます。
サーバは Webページの閲覧やメール、SNS、ネットショッピングなどといったインターネットに関わるあらゆるサービスで用いられています。
サーバとクライアント
ネットワーク上でデータを提供する側をサーバ、データを利用する側をクライアントと呼びます。
Webサイトの閲覧やメールを送信する際、クライアントからの要求に対して、サーバから画像ファイルや HTMLファイルなどのデータファイルが送り返されています。
クライアントの要求に沿って加工したファイルを送ったり、データを保存したりすることがサーバの主な役割です。
アップロードとダウンロード
クライアントがサーバに情報を提供することを「アップロード」といいます。
( 例 ) 動画投稿サイトに動画を投稿する、SNS に写真を載せる
一方で、クライアントが提供元であるサーバからファイルを受け取ることを「ダウンロード」といいます。
( 例)インターネット上で公開されている画像や動画をコンピューター上に取り込む
サーバとネットワークの仕組み
サーバの役割をイメージできるように、ホームページを作成してから訪問者に閲覧されるまでの流れを例に見てみましょう。
ホームページのデータをサーバにアップロードする
単に自分のパソコンにホームページのデータがあるだけでは、インターネットユーザに見てもらうことはできません。
ホームページを閲覧できる状態にするには、そのホームページのデータをサーバに保存する必要があります。
ユーザがブラウザにURLを入力するとサーバーにリクエストが届く
インターネットユーザがそのホームページの URL を Google Chrome などのブラウザに入力し、Enterキーを押すと、サーバ側にリクエストが届きます。
URL
Webページの場所を示す文字列でアドレスとも呼ばれる。
当サイトのトップページのURLは「https://techmania.jp/」
ブラウザ
インターネットを介してホームページ ( Webサイト ) をパソコンやスマートフォンで閲覧するためのソフトウェア
Google ChromeやSafari、Internet Explorer などが有名
リクエストに応じて、サーバはユーザーのパソコンやスマートフォンにデータを提供する
サーバは URL に応じたページのデータを引き出し、HTMLや画像などのファイルをユーザのパソコンやスマートフォンなどの端末に提供します。
ちなみに、Google や Yahoo! などの検索エンジン経由でアクセスできるようにするには、サーバにホームページのデータをアップロードするだけではなくインデックス ( 登録 ) が必要です。
単にホームページのデータをサーバにアップロードしただけでは、Google や Yahoo! などでいくら検索してもそのサイトはヒットしないのです。
ブラウザへ URL を直接入力するのではなく検索エンジン経由でサイトにアクセスできるようにするには、検索エンジン側のデータベースに、そのホームページのデータをインデックス(登録)が不可欠です。
サーバの種類
コンピュータとしてのサーバは、大きく分けて「物理サーバ」と「仮想サーバ」の 2種類があります。
物理サーバ
物理的に存在する 1台のサーバのことで、「共用サーバ」と「専用サーバ」の 2種類に分けられます。
専用サーバ
1台のサーバを専有し、他のユーザの影響を受けないことや OS を変更するなどのカスタマイズが可能で、使い方の自由度が高いのが利点ですが、適切にカスタマイズして運用するには、ある程度の専門知識が必要です。
共用サーバ
いわばレンタルサーバで、1台の物理サーバを複数の利用者で共有して使うことになります。
コストを抑えて利用でき、メンテナンスの手間もかからないという利点はありますが、その一方で、複数の利用者で共有して使うので、カスタマイズ性が低いことや他のユーザの使用状況によって、処理に影響が出たり、サーバに障害が発生した場合、多くのユーザに影響が出たりする可能性もあります。
仮想サーバ
1台の物理サーバ上で複数台の OS を動かすことで、複数のサーバと見なして稼働させるサーバで、さらに「VPS」と「クラウドサーバ」の 2種類に分けられます。
VPSサーバ
VPS は「Virtual Private Server」の略で、仮想専用サーバとも呼ばれます。
共用サーバと同様に、1台の物理サーバを共有しますが、仮想上で個別に環境構築されているため、ほかの利用者の影響を受けにくいという利点がありカスタマイズ性は高めです。
クラウドサーバ
クラウド環境に作られたサーバのことです。
VPS と同様に仮想的な専用サーバを構築しますが、サーバの容量や処理性能などのリソースがプランごとに固定されてしまう VPS よりもリソースが固定されないクラウドサーバは予想外にアクセスが急増した場合でもすぐにリソースを増やせるなど、柔軟性が高いという特徴があります。AWS がその代表格です。
サーバの用途
前項で紹介した 4種類のサーバは、コンピュータとしてのサーバです。
それに対して用途に応じてさまざまな機能の提供を実現するのがソフトウェアとしてのサーバです。
Webサーバ
クライアントからのリクエストに応じて Web上のデータをクライアントに送り返すサーバで、Webサイト ( ホームページ ) を構成する HTMLファイル、ページ内の構成やデザインを調整する CSSファイル、画像ファイルなどが格納されています。
格納された Webページの情報をクライアントに要求された時に取り出して送り返します。
メールサーバ
メールを送受信する際に使用されるサーバです。
送信用と受信用でサーバが分かれており、送信サーバは SMTPサーバ、受信サーバは IMAP や POP3サーバが使われています。
電源を切っているあいだにメールが送られてきても、再度電源を入れれば問題なく受信できるのは、送られてきたメールのデータがメールサーバー内に保存されているからです。
POP3サーバとIMAPサーバの違い
POP3サーバと IMAPサーバメールの大きな違いはデータをサーバ内に保存し続けるかどうかです。
POP3サーバの場合、いったんはサーバ内にメールデータは保存されますが、メールソフトで受信した際にデータはパソコンやスマートフォン内にダウンロードされるため、サーバ内からは削除されます。
ネットワークにつないでいない状態でも、過去に受信したメールを読めるのはメールのデータが端末内に保存されているからです。
一方で IMAPサーバーはデータをサーバ内に残し続けます。
そのため、パソコンやスマートフォンなど複数の端末で使用する場合に、同じメールを読むことができます。
Gmail や Yahoo!メールにおいて、ログインすればどの端末でも同じメールを読めるのは、IMAPサーバを利用しているからなのです。
DNSサーバ
DNS ( Domain Name System ) サーバとは IPアドレスとドメインを結びつけるのに使用するサーバです。
IPアドレスとはネットワークに接続している機器に割り振られた固有の番号で Web上の住所のようなものです。しかし、数字の羅列で人には覚えにくいため、その数字の羅列に名前を付けたものがドメインです。
ドメインや DNSサーバについては JPRS ( 株式会社日本レジストリサービス ) という全国の jpドメインを管理している企業が配布している解説漫画がわかりやすいです。
ファイルサーバ
ネットワーク上でデータを共有・使用するのに用いるサーバです。
ファイルサーバによって複数のサーバやさまざまな OS上でのデータ共有をスムーズに行うことができます。
データベースサーバ
データベースを搭載し、データベース管理システムが働いているサーバで、クライアントからの要求を受けて、データベース内で整理されている情報を検索し、処理結果を送り返します。
FTPサーバ
FTP ( File Transfer Protocol ) サーバは「ファイル転送プロトコル」とも呼ばれ、Webサーバにファイルを送受信するのに使用されます。
リクエストがあった時だけファイルを送信する Webサーバとは異なり、FTPサーバはクライアントからサーバへのアップロードやサーバからのダウンロードが可能です。
Webサイト ( ホームページ ) 作成の際は Webサーバ上に新しいファイルをアップロードするために FTPサーバが用いられています。
SSHサーバ
SSH ( Secure Shell ) サーバはクライアントの情報を暗号化するサーバです。
従来のリモート通信方法では個人情報が暗号化されず、情報が漏洩してしまうことがありましたが、パスワードや暗証番号などの個人情報を送信する際に SSHサーバによって暗号化してから安全にリモート送信できるようになりました。
終わりに
ここまで Webサイトの運営や利用に欠かせないサーバについて解説してきましたがいかがでしたか?
近年では IT化が進み、さまざまな業界で IT を活用したサービスが導入されており、サーバに関する知識を身につけておいて損はないでしょう。