データ分析や AI技術が進歩するにつれて「データ収集」が注目され、それとともにデータ収集法である「スクレイピング」が注目を浴びています。スクレイピングは自社でデータを蓄積していない場合でも手軽に使えるという点で便利です。今回はその「スクレイピング」について解説します。
スクレイピングとは?
スクレイピングとは、任意の Web サイトやプログラムなどから入手したデータを解析し、不要な部分を取り除いて特定の情報のみを抽出し、ソフトウェアで処理がしやすいように整形するコンピュータソフトウェア技術を指します。スクレイピングは、「こする」や「かき集める」といった意味を持つ英語「Scraping」が語源となっています。「Webスクレイピング」と呼ばれることもあります。近年は、データや情報の価値が高まるとともに、スクレイピングを利用し始める企業も増えました。
この技術はさまざまな場面で利用されています。スクレイピングができれば面倒な手作業を自動化できるため、作業時間の短縮や転記ミス防止が可能です。
スクレイピングの基本的な流れは?
スクレイピングする Webページを決め、HTML を調べます。どこからどのデータを取得するかによってデータの活用の幅が変わってくるので目的を明確に設定しましょう。Webページを決めたらスクレイピングを行います。スクレイピングの基本的な手順は次のとおりです。
1. スクレイピングの対象の Webページから情報を取得する
2. 取得した情報を解析し、特定のデータを抽出する
3. 抽出したデータを目的に沿った形式に整形する
4. データベースを作成する
スクレイピングは違法?
スクレイピングはあくまでデータを収集するための手段であるため、それ自体は違法ではありません。ただ、スクレイピングで得たデータの使い方やスクレイピングを行う目的などによっては著作権法や個人情報保護法に抵触する可能性があります。また、サービスによってはスクレイピングを禁止していることもあるのであらかじめスクレイピング可能か調べる必要があります。
クローリング、APIとの違い
スクレイピングとクローリングの違いは?
クローリングは、クローラと呼ばれるプログラムロボットが、Webサイト上を巡回する手法を指します。クローリングが使われている代表例としては Google検索があります。Web サイトを巡回して情報を取得するという点ではスクレイピングと同じですが、スクレイピングは、必要な HTML から必要な情報のみを抽出します。このように、クローリングは情報の「取得」、スクレイピングは情報を「抽出」に焦点が当たっているという違いがあります。
スクレイピングと API の違いは?
API (Application Programming Interface) は、アプリケーションやソフトウェアの構築に用いられるツールです。スクレイピングとの違いは、公式でサービスの提供側が情報の取得を許可しているかどうかという点です。API は公式からサポートされていますが、スクレイピングはされていません。
スクレイピングでできることは?
Webページの信頼性を高める
自社データに限らず多くの情報を得られるため、客観的なデータを示すことができて Webページの信頼性が上がります。
マーケティングを効率的に行う
市場価格のデータを抽出すれば市場価格やニーズが把握でき、効率的なマーケティングができます。また、競合他社をリサーチすることも可能でマーケティングにおいて優位に戦うこともできます。
株や仮想通貨の自動売買ツールの作成
株価の変動データをリアルタイムで収集し、株価指数を把握することで今後の株価の変動を予想でき、株式や仮想通貨の購入に役立ちます。
ネットオークションの価格変動の自動収集
さまざまな商品が出品されているオークションサイトをスクレイピングすることで落札価格の予測や商品の需要把握などができます。
検索順位の定期的な自動収集
検索順位を定期的にスクレイピングすることで SEO対策ができます。
アプリやWebサービスの開発
スクレイピング機能を搭載したアプリや Webサービスを開発できます。ただ、データの取得元の Webサイトの構成が変更された場合に、アプリや Webサービスが機能しなくなるといったケースもあるため注意しましょう。
スクレイピングのメリットは?
業務の効率化ができる
インターネット上の膨大な情報を集めて解析する作業を手動で行うとかなりの時間と労力がかかります。しかし、スクレイピングを利用することでデータの取得を自動化することができ、一瞬でできるので時間のかかる単純作業から解放され、業務効率を上げられます。
自社に無いデータを利用できる
自社で蓄積されたデータは限られてしまいますが、インターネット上にはたくさんのデータがあります。
データの更新が簡単
スクレイピングを利用すればデータ更新も自動化できます。定期的なデータ取得の仕組みを構築しておけば提供元の Webページがデータ更新されるとデータベースに格納した値も自動で更新されます。
スクレイピングのデメリットは?
Webページの構造変更の影響を受ける
スクレイピングは HTMLを利用して情報を取得するので、提供元の Webページの HTML構造が変わるとスクレイピングができなくなり、プログラムを修正しなければいけません。
アクセス拒否される場合がある
場合によっては Webページからアクセス拒否される可能性があります。
スクレイピングが禁止されているWebサイトもある
短期間で何度も Webページにアクセスしてデータを収集するスクレイピングは提供元のサーバに過度な負荷をかける行為です。サーバに負荷がかかることで提供するサービスの品質が低下してしまうことを危惧しAmazon や Twitter などではスクレイピングが禁止されています。このように、スクレイピングが禁止されている Webページではスクレイピングを行わないようにスクレイピングを行う前に確認する必要があります。
スクレイピングに向いている言語とライブラリは?
スクレイピングに向いているプログラミング言語は次の 4つです。
- Python
- Ruby
- JavaScript
- GAS
Python には Webスクレイピングに適したライブラリがいくつかありますが、なかでも、Python は特に人気で開発案件も多く存在するのでこれからスクレイピングの学習を考えている人にはおすすめです。
また、Python でスクレイピングをする場合によく利用されているライブラリは次の 3つです。
- Requests
- BeautifulSoup
- Selenium
なかでも、selenium という Python のライブラリを利用すれば JavaScript を用いた動的な Webサイトに対してもスクレイピングができます。また、Webサイトのログインが可能な点でも非常に有用性の高いライブラリです。
ライブラリ | Webページの取得 | データ抽出 |
Requests | 〇 | × |
Beautiful Soup | × | 〇 |
Selenium | 〇 | 〇 |
スクレイピングの勉強方法は?
インターネットで情報を拾いながら学習する方法があります。昨今では、YouTubeなどの動画サイトやエンジニアのコミュニティサイトなども充実していて多くの情報が手に入ります。
そして、より効率的に知識・スキルを習得するには、知識をつけながら実際に手を動かしてみるなど、インプットとアウトプットを繰り返していくことが重要です。特に独学の場合は、有識者に質問ができたりフィードバックをもらえるような環境があると、理解度が深まるでしょう。
ただ、スクレイピングに限らず、ITスキルを身につける際、どうしても課題にぶつかってしまうことはありますよね。特に独学だと、わからない部分をプロに質問できる機会を確保しにくく、モチベーションが続きにくいという側面があります。独学でモチベーションを維持する自信がない人にはプログラミングスクールという手もあります。費用は掛かりますが、その分スキルを身につけやすいです。しっかりと知識・スキルを習得して実践に活かしたいという人はプログラミングスクールがおすすめです。
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