【IT入門】フレームワークとは|何ができる?メリットや具体例を紹介

  • 2023.08.14
       
フレームワークとは?基礎知識やメリット、プログラミング言語別の種類を解説

フレームワークとは?

フレームワークとは、Webアプリを開発しやすくするためによく利用される機能をあらかじめ備えた枠組みをひとまとめにしたものです。
たとえば、ハート形のクッキーを作るとします。
ここで、生地を一つ一つハート型に成形していたら手間暇もかかりますし、形もいびつになってしまうかもしれません。こんな時に、ハート形の型を使えば簡単に効率よくハート形のクッキーを作れるでしょう。
フレームワークはクッキーづくりでいう「型」で、Webアプリ開発を簡単かつ効率的に行えるようにするものです。
Webアプリを 1から作ろうとすると、データベースの設定、ユーザの操作に対して行う処理、データの受け渡し機能などを1から設計しなくてはなりません。
その点、フレームワークという型があれば、そのような設定をすることなく開発を進められます。アプリ開発に必要となる環境を利用することでゼロベースから作っていくよりもスムーズに進められるのです。このように、効率的にアプリを開発するのに用いられるのがフレームワークです。
フレームワークはほぼすべてのサービスに使われており、プログラミング学習を進めていくなかで避けては通れない存在です。

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フレームワークとライブラリの違い

「フレームワーク」と混同されがちなものに「ライブラリ」があります。
どちらも開発をサポートするためのプログラムの集合体ですが、役割が異なります。

ライブラリはどの開発でもよく使う汎用性の高いプログラムをまとめたもので、いわば「コーディングを手軽にするための部品」です。コードのどの箇所にでも使いたいときに呼び出すことができます。
それに対して、フレームワークは開発全体の枠組み・ひな形を提供するもので、テンプレート化しているので大きな仕様変更はできません。

フレームワークのメリット

フレームワークは言語ごとにそれぞれ種類があり、習得にも多少の時間を要しますが、開発にかかる労力の削減と品質向上の両方に期待できることから時間をかけてでも習得するメリットがあるのです。詳しく説明します。

開発を効率化できる
たとえば、ユーザ情報の登録機能といったWebアプリでよく使われる機能を毎回作り直していては時間がかかってしまい、コーディングミスによりバグも起こりかねません。その点、フレームワークを使えばコマンドを入力するだけで簡単に作成できます。1から自分で作ると数日かかるような作業も数分で作れるようになります。
ほかにも、データベースからデータを取得し、ユーザ画面に反映するといった処理を作成する場合でも同じで、フレームワークを使わなければ、データベースに接続する処理からデータをユーザ画面に表示する処理まで自分で調べて作っていかなければなりません。また作成した処理が正しく動作するかも入念にテストする必要もあります。ですが、フレームワークを使うことでデータベースに接続する処理も接続用のファイルを更新するだけで済みます。接続する処理の書き方も決まっているため、それに則って入力していくだけでデータの登録、更新、削除などを簡単に行えます。
このように、Webアプリに実装したい機能をすぐに実現できる便利な機能が多いので開発を効率化できるのです。

プログラムの書き方を統一しやすい
フレームワークはどこに何を書くのかといった記述ルールがある程度決まっているため、プログラムの書き方を統一しやすく、他の人の書いたコードも読みやすくなります。実は、アプリ開発において、プログラムを書いている時間よりもソースコードを読む時間の方が多いといわれています。時間がたってしまうと、たとえ自分の書いたコードでもどこに何を書いたのか曖昧になってしまう可能性もありますよね。このように、ソースコードの書き方に統一性がないとメンテナンス性が悪いものになってしまいます。記述の差異を減らし、書き方が統一されることでソースコードの可読性も上がるので確認作業やメンテナンスがしやすくなります。これは Web開発フレームワークの多くが「MVCモデル」という概念で作られていることが起因しています。「MVCモデル」については後ほど説明します。

エラーを解析しやすい
アプリ開発において、思い通りにプログラムが作れない、動作しないといったことはよく起こります。タイピングミスなどのちょっとした間違いでもエラーが発生すればその原因を探し、問題を解決しなければなりません。こういった場合にもフレームワークは有用です。フレームワークは発生し得るエラーがある程度決まっているためエラーの原因を特定しやすいのです。
たとえば、Ruby の代表的なフレームワークとして Ruby on Rails がありますが、そこで「ActionController::Rou」というエラーメッセージが表示された場合、存在しない URL を開いたことでエラーが起きたことを指します。こういった場合は、直前の操作でクリックした URL の間違いや指定した URL の間違いが原因だと予想を立てられます。
このように、エラーメッセージごとにある程度エラーの原因が決まっているため改修しやすくなります。エラーメッセージごとの対処方法についてはなれるまでに時間はかかりますが、エラーの原因をいち早く特定しやすくなるため身につけておくと便利です。

フレームワークのデメリット

記述ルールで開発が制限される
フレームワークには記述ルールが設けられているため、自由にコーディングできず、開発に制限が生じてしまうという点がデメリットです。

学習コストが高い
フレームワークを使いこなすのにも学習する必要がありますが、実際には言語ごとにいくつもフレームワークが存在します。使用する言語や目的によって選択するフレームワークも異なるため、その都度フレームワークの使い方を理解する必要があり、学習コストも高くなります。

フレームワークの機能

MVCモデルによるシステム開発
多くのフレームワークは、MVCモデルの概念のもとシステム開発が行えるように設計されています。これはプログラムの生産性や保守性を上げる考え方で、フレームワークでは自動的に MVCモデルに沿ってアプリケーションの骨組みを作成するので、意識せずとも MVCモデルに従ったソースコードが書けるので開発の生産性や保守性が上がります。

データベースとの接続
多くのフレームワークは、データベースとの接続や操作を簡単に行えるための機能を備えています。具体的なものでいうと、データベースにテーブルを作成する仕組みや開発に必要になるテストデータを作成してデータベースに登録する仕組み、プログラム中から簡単に SQL文を発行できる仕組みなどです。

セキュリティ
不特定多数からのアクセスがある Webアプリの構築では、プログラムの脆弱性をついたサイバー攻撃のリスクを考慮する必要があります。フレームワークにはユーザ認証機能のほかにもセキュリティ対策の仕組みが備わっているため、セキュリティレベルを上げられます。

MVCモデルとは

フレームワークを用いた開発をするうえで知っておくべき MVCモデルについて解説します。フレームワークには記述ルールが存在します。ある程度のルールが設けられていることで可読性が上がります。そのルールの一つが「MVCモデル」と呼ばれるもので、フレームワークを用いて開発する際の記述ルールになります。
MVCモデルは MVC とは Model (モデル)、View (ビュー)、Controller (コントローラー) の頭文字をとったものです。
これは、役割ごとにプログラムの処理を分けて開発するという考え方で、さまざまなフレームワークに用いられています。
それぞれの役割は以下のようになります。
Model (モデル):データベースに対してデータの登録・取得・更新・削除などを行う。
View (ビュー):ブラウザに表示される画面の作成を行う。ユーザが直接目にする箇所であり、Webページや Webサービスの見た目を決める際に欠かせない。
Controller (コントローラー):ユーザからの要求に対して、Model と View の連携を行う。Model や View は Controller から命令を与えられることで初めて実行される。

例えば、会員登録をする入力フォームを作成するとしましょう。
このとき、まずユーザの画面には入力フォームが表示され、ユーザはユーザ情報を入力したのちに、登録ボタンを押します。そして、入力された値に問題なければデータベースにデータが登録され、登録完了ページに移ります。
しかし、この一連の流れを 1つのファイルに書くこともできますが、複雑で読みにくいコードになってしまいます。
そこで、MVCモデルでは以下のような役割ごとに分け、①と④のようなユーザの目に触れる部分を View、③のようなユーザの目に触れない部分を Model、②のようなデータの受け渡しや確認といった仲介部分を Controllerというように分担して開発します。

①ユーザ情報の登録ページ
②入力データの確認
③データベースへの登録
④登録完了ページへの移行

このように、3つの機能ごとに役割分担し、処理ごとにプログラムを記述していくことでアプリケーション開発を効率的に分業して行うことができ、仕様の変更にも柔軟に対応可能です。

フレームワークの種類

フレームワークにはさまざまな種類があります。代表的なものを紹介します。

Rubyのフレームワーク

Ruby on Rails
Ruby on Rails は 2004年に開発された Rubyのフレームワークです。
フロントエンドとバックエンドの両方で活用できるフルスタックフレームワークなので、応用範囲も広く、万能であるため、昨今では SNS やマッチングサービスだけでなく、ゲーム開発、業務システムなど、幅広い分野で活用されています。

Sinatra
Sinatra はシンプルなコードが書ける Ruby のフレームワークです。
搭載されている機能は少ないものの、最小限の労力でアプリ開発ができ、柔軟性も高いので、初心者にも扱いやすいフレームワークです。

Padrino
Padrino は Sinatra をベースに開発されたフレームワークです。Padrino は追加機能が豊富で、シンプルなコードで Sinatra より高度な Webアプリ開発ができます。

JavaScriptのフレームワーク

AngularJS
AngularJS は Google社が開発した JavaScript用のフレームワークですが、バージョン 2.0以降では  TypeScript での開発が公式で推奨されています。
2012年にリリースされた比較的古いフレームワークではありますが、フレームワーク内に多くの機能が備わっていることや扱いやすさから、現在でも多くの企業で使われています。

Vue.js
Vue.js は、UI構築のための JavaScriptフレームワークです。
Angular の複雑な部分が多く修正されており、シンプルな設計で動作が軽いのが特徴です。ほかのライブラリと組み合わせることで小規模なものから大規模なものまで、幅広いアプリ開発ができます。
Vue 3.0 は TypeScript で記述されているため、拡張機能を使わずとも TypeScript を使えます。

Ember.js
Ember はフルスタックでオープンソースの JavaScript フレームワークです。学習コストは比較的高いですが、多くのデバイスで機能する UIを構築できます。

Javaのフレームワーク

Spring Framework
Spring Framework はテストが簡単にできる Java の Webフレームワークです。スピード、シンプルさ、生産性に重きを置いてて開発されたため、Javaフレームワークのなかでも人気が高いです。
拡張性が高く、大規模な開発に用いられることも多いです。

JavaServer Faces
JavaServer Faces は Webアプリ開発における UI構築を簡単にする Java の Webフレームワークです。MVCモデルのアプリ開発に使用できます。

Play Framework
Play Framework は、Java と Scale で使用可能なフレームワークです。Ruby on Rails や Django などの影響を受けているため、似ている部分が多いです。また、CPU やメモリの使用量が少なく、軽快な動作が特徴的で、スピード感を求められるアジャイルソフトウェア開発にも適しています。

PHPのフレームワーク

CakePHP
CakePHP は、Webアプリを素早く開発できる PHP のフレームワークです。
Ruby のフレームワークである Ruby on Rails の影響を大きく受けているので、開発を短期間で開発するためのサポート機能がたくさん備わっています。
オープンソースで、MITライセンスのもとで配布されているので、無料で自由に利用でき、多くの企業やサービスで利用されています。

Laravel
Laravel は PHPのフレームワークです。PHP で開発を行う際、柔軟で多機能な Laravel を活用することで効率的に開発を進められます。2011年 6月にリリースされてから、今に至るまでアップデートされ続けています。
大規模開発向きの「Symphony」という PHPフレームワークを土台にし、それに加え、ほかのフレームワークも参考にして開発されたため、今までほかのフレームワークを使ってきた人にとっても扱いやすいフレームワークです。
また、フレームワーク自体の習得も比較的容易であるという手軽さから人気を集めています。

FuelPHP
FuelPHP は HMVCモデルを採用したことで規約より設定を重視した PHP の Webフレームワークです。後発のフレームワークであり、ほかのさまざまなフレームワークの良い点を取り入れています。

Pythonのフレームワーク

Django
Django はフルスタックの Webアプリ開発用の Pythonフレームワークです。
Django を使うことで、高品質な Webアプリを簡単に、比較的少ない記述量で作れます。シンプルな Webアプリであれば、数分で作ることも可能ですが、機能を拡張すれば複雑なものも作ることができます。
2005年 7月からオープンソース化されているため、だれでも利用することができますよ。

Flask
Flask はバックエンド開発に用いられる Python の Webフレームワークです。
Webフレームワークのなかでも機能を必要最低限に絞ったマイクロ Webフレームワークとなっており、動作が軽いことから、スピード感のある開発に適しています。

CSSフレームワーク

Bootstrap
Bootstrap は Twitter社が開発したマルチデバイスにも対応する CSS の Webフレームワークです。
Bootstrap にはさまざまな機能やデザインがあり、Webサイトを効率的に作成できます。

Foundation
Foundation はカスタマイズ性が高いので、高いデザイン性を再現できる CSS のフロントエンドフレームワークです。HTML、CSS、JavaScript の上に構築できるデザインパターンが含まれておえい、デザインに対してこだわりのある開発者に人気があります。

UIkit
UIkit は軽量でデザイン性の高いテンプレートが特徴の CSSフレームワークです。
基本的な機能のほかにも、ドキュメントサポートなどの支援機能やテキスト管理、リソース管理などのさまざまな管理機能が搭載されています。

     

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