日常生活や仕事をしている時に、「こんなアプリがあったら」と思い付くような人であれば、個人でアプリを自作、公開を検討しているのではないでしょうか。しかしアプリ開発に興味がある人のなかにはどういった手順で取り掛かればよいかわからない人もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで本記事では、個人でアプリを開発したい人に向け、基礎知識や必要なスキルなど、アプリ開発の基本的な部分からアプリ開発におすすめのツールまで解説します。
未経験でもアプリ開発はできる?
これからアプリ開発に挑戦してみようと思う人は未経験でもアプリを作れるのか疑問に思われるのではないでしょうか?
結論から言うと、どういったアプリを開発するかによりますが、未経験でも作ることはできます!
大衆が使うようなアプリや複雑な機能を有したアプリの開発にはなかなか厳しいですが、メモアプリや動作が単純なゲームアプリ、SNS風のアプリといった比較的簡単なアプリは開発できるでしょう。
アプリ開発のメリット/デメリット
まずは、アプリ開発のメリットとデメリットについてそれぞれ解説します。
アプリ開発のメリット
収入が増える
アプリ開発で収入を得る方法は主に2つあります。
まずは有料販売する方法です。開発したアプリを有料で販売すれば、ダウンロードされた分だけ収入を得られます。具体的には、多くのストアでは販売価格の70%程度が収入になり、残りの30%は手数料という扱いになります。
そしてもう一つは、アプリ内に広告を掲載して広告収入を得る方法です。これはユーザーがアプリ内の広告をクリックすることで広告収入が得られるという仕組みです。
ほかにもアプリで収入を得る方法は複数あるため、自分に合うものを選びましょう
スキルアップができる
アプリ開発によって幅広いスキルアップも期待できます。一からアプリ開発を行うには、企画力やインフラ関連の知識、マーケティングスキル、デザインスキルなどといったあらゆる知識やスキルを必要とします。
エンジニアにとって、プログラミングスキルは必須ですが、プログラミングに入るまでの工程やプログラミング後の工程を理解しておくことで、プログラミングそのものの質を向上させることもできます。
ユーザー行動の理解につながる
アプリ開発を通して、より快適につかってもらうために「どのようなデザインにするか」「どのようなユーザー体験をさせるか」「ユーザーエンゲージメントを高めるためにはどうすればいいのか」といった部分を考慮する経験も積むことができ、ユーザー行動への理解を深められます。
ポートフォリオとして公開できる
ポートフォリオはその人のスキルレベルや、どんなものが作れるかを知ることができる指標となるので、ポートフォリオがあれば、エンジニアに転職するときや、フリーランスとして営業に行くときに役立ちます。経歴書のようなものであり、実績として先方に提示すれば転職活動もスムーズに行えるでしょう。
アプリ開発のデメリット
たいして稼げない場合も
アプリ開発には、ある程度の時間やスキルが必要になります。そのため、副収入を得る目的で開発しても、開発に費やした時間や労力を考慮すると「思ったほど稼げない」という結論に至る可能性もあります。時間をかけたわりに収入を得られるとは限らないという点は理解しておく必要があります。
審査に通らない可能性がある
アプリを開発してアプリストアなどに公開するためには、審査を通過することが欠かせませんが、どんなに時間をかけて作成したアプリでも、審査に通らなければ公開できず、収入も得られません。
アプリ開発の基礎知識
アプリの種類
アプリは、大きく3つに分けられます。まず、Webブラウザ上で操作できる「Webアプリ」、次に、ストアからデバイスにインストールして使用する「ネイティブアプリ」、そして、Webアプリとネイティブアプリの特徴を兼ね備えた「ハイブリッドアプリ」です。この3つには、それぞれの特徴を理解したうえで、どういったアプリを開発するか考えましょう。
Webアプリ
Webブラウザ上で操作可能なアプリを指します。Webアプリは、インターネット環境があればスマートフォンやPCなどのデバイスまたはOSを問わず(非対応端末がある場合は除く)すぐ使用できます。ただ、アプリを使うにはインターネット環境が必要であり、回線速度によっては動作が遅くなるという欠点もあります。
ほとんどのプログラミング言語でWebアプリを作ることはできますが、初心者におすすめな言語はPHP、Ruby、JavaScriptの3つです。これらはどれも少ない記述量で済みます。
ネイティブアプリ
スマホ、PC等の端末にインストールして利用するアプリ全般を指します。アプリをインストールしてから使うので、読み込み速度が早いという特徴があります。その一方で、ネイティブアプリはリリースの際に、アプリマーケットの検閲や審査を通過する必要がある、課金手数料がかかる、開発期間やコストがかさみやすいといった懸念点もあります。
スマホアプリを作る場合は、iOSアプリとAndroidアプリとで必要な言語や環境が異なるため、どちらのアプリを作るのか決めておきましょう。
ハイブリッドアプリ
Webアプリとネイティブアプリの強みを組み合わせたアプリのことです。OSやデバイスを問わず、インターネット環境があればすぐに使用できる手軽さとカメラや位置情報などといったデバイス固有の機能も使用できる自由度の高さが特徴です。
ハイブリットアプリは主流になりつつありますが、個人で作るには、複数の言語やフレームワークを扱う必要があるので、ある程度開発に慣れてから作成に取り掛かりましょう。
アプリ開発に必要なスキル
スマホアプリ開発において、まずiOSアプリとAndroidアプリのどちらを作るかというところで悩む人が多いでしょう。どちらを選ぶかで必要になる言語や開発ツールなどのスキルが全く異なるので、今後の需要なども見極めたうえで選ぶ必要があります。
ここからは「iOS」と「Android」それぞれに必要なスキルについて解説していきます。
iOSアプリ開発に必要なスキル
・Swift
Swift(スウィフト)は、iOSアプリ開発における公式プログラミング言語です。Apple製品であればどの端末でも作動します。また、これまで公式プログラミング言語だった「Object-C」よりも短い記述量で書きやすく、初心者向けの言語でもあります。
・Xcode
Xcode(エックスコード)は、Apple社がリリースした無料で使えるアプリ開発ツールです。
Swiftを使用した開発には基本的にXcodeを用いるため、iOSアプリ開発には必須です。Xcodeは初心者でも扱いやすいよう設計されており、作ったアプリのテストなどにも使えます。
・UIKit
UIKitは、iOSアプリ開といったなどのコンポーネントを使用可能です。UIKitは Storyboard で「import UIKit」と書くことでインポートできます。
Androidアプリ開発に必要なスキル
・Java
Java は Google 3大言語の一つでGoogleのシステム開発において大活躍している言語です。
Kotlin の登場以前は、ほぼすべてのAndroid アプリ開発に Java が使われていました。しかし、初心者には、難易度の高い言語であり、Java から学び始めようとすると苦労する可能性が高いです。
・Kotlin
Kotlin(コトリン)は、新たにAndroid アプリ開発の公式言語に選ばれた言語です。
以前は、開発といえば Java 中心でしたが、 2017年に Google が Android 公式開発言語に認定したことで一躍知名度が上がり、多くの開発現場で使われるようになりました。
Java よりもシンプルに記述できるため、初心者に向いている言語といえます。アプリ開発をするなら、Kotlin を学習するのがいいでしょう。
・Android Studio
Android Studio(アンドロイドスタジオ)はGoogleがリリースしたAndroidアプリの公式開発ツールです。
KotlinやJavaもこのツール内で使うので、これも習得必須でしょう。
プログラミング不要で開発ができるツール
アプリ開発には、一定以上のプログラミングスキルや知識が必要であり、個人でオリジナルのアプリを自作できる知識やスキルを習得するには、それなりの時間や費用が必要になります。ここからは気軽にアプリを自作できる、おすすめのアプリ開発ツールをいくつかご紹介します。まずはアプリ開発の感触を掴みながら、アプリ開発のイメージを広げていくことからスタートしてみましょう。
JointApps
JointAppsを使うと、ブロックをつなげるだけでアプリ開発が体験できます。ブロックにはプログラムが組み込まれているため、ご自身でプログラミングをする必要はありません。作成したアプリをアプリストアへ公開することはできませんが、専用アプリを使って実機で作ったアプリを試すことが可能です。
Monaca
Monacaは、ハイブリッドアプリを開発できるツールです。iPhone/Androidどちらにも対応しており、クラウド上で開発ができるため、開発環境のセットアップが不要です。アプリのテンプレートも用意されており、アレンジを加えながらオリジナルアプリを制作することができます。
Yappli(ヤプリ)
Yappliは500以上の導入実績があり、プログラミング不要で自社アプリの開発・運用ができるサービスです。豊富な機能で、あらゆるビジネスシーンに対応します。
appypie
「レシピ」「アニメーション」「スポーツ」「データベース」「辞書」「グループチャット」など、さまざまな分野に対応したテンプレートが用意され、プログラミングの知識がなくても簡単にアプリを自作可能です。
Unity
ゲームを開発するためによく使用する機能を誰でも簡単に使えるようにまとめたゲーム開発ツールで、プログラミング言語の知識がなくてもゲームアプリの他、オンラインゲーム、PCゲーム、コンシューマーゲームなどのさまざまなハード向けのゲームが開発できます。
終わりに
アプリ開発をすることで副収入を得られるだけでなく、スキルアップすることもでき、さらには就職や転職を有利に進めることもできます。
まずはプログラミングの知識がなくても勉強と並行しながら、アプリ開発ができるツール等を活用して、アプリ開発に積極的にチャレンジしてみましょう。