RedHatとは【3分でわかる】歴史・特徴・メリット・できること

  • 2024.02.01
       
【入門編】RedHatとは|何ができる?歴史や特徴・メリットを解説

RedHatとは

RedHatというと、「Red Hat Enterprise Linux」というLinuxディストリビューションを指すのが一般的です。
また、一方で、単にRedHat社を指すこともあり、こちらは、主にオープンソースソフトウェア(OSS)関連の技術サービスを提供する米IBMの子会社のことを指します。
本記事では、主に「RedHat」という言葉が用いられる際の一般的な意味に着目し、LinuxやRedHatのディストリビューションの概要について説明していきます。

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世界中で利用される「Linux」

世界中で利用されているOSといえばLinuxですよね。
ベンダー製品であるWindowsやmacOSなどと違い、オープンソースであるため、だれでも無料で利用でき、自由度が高いという特長を持ちます。
コストを抑えられ、カスタマイズも自由に行えるといった理由から、ITサービスを提供する企業の多くがサーバ用途でLinuxを利用しています。
また、ウイルスはユーザ数の多いWindowsを狙うため、現状としてWindowsほどサイバー攻撃のターゲットになっていないという点や、コミュニティが発達しているため、インターネット上に非常に多くの情報があがっているという点もLinuxの人気を押し上げています。

Linuxディストリビューションとは

さて、ここまで、Linuxを利用するメリットについて言及しましたが、その一方で注意点もあります。
それは、独特の仕様な上にベンダーからのサポートもないため、初心者にとってはどうしても使いにくいという点です。

ここで、冒頭で登場した「Linuxディストリビューション」について詳しく説明する必要があります。

LinuxはOSの中核部分である「カーネル」部分を指す

これまでLinuxを「OS」と説明してきました。しかし,厳密にいうとLinuxはOSではなく、OSの中核部分にあたる「カーネル」部分なのです。

カーネルは重要なOSの部品ですが、カーネルだけではOSとしての機能を賄えないため、そこにさまざまな部品を組み合わせることではじめてOSとして機能するようになります。しかし、各部品を集め、OSとして機能するように組み合わせ、設定していく作業は知識や技術がなければ難しい上、非常に手間のかかる作業です。
そこで、Linux(カーネル)とほかのOS部品を融合して1つのOSとしてパッケージ化したものが配布されるようになりました。このOSを「ディストリビューション」(配布物)といいます。

Linux自体はカーネル単体として配布されていますが、使いやすいよう、さまざまなパッケージソフトウェアを組み込んだディストリビューションを利用する方が主流であるため、「Linux」というと、一般的には「Linuxディストリビューション」を指す場合が多いようです。

Linuxディストリビューションは誰でも自由に開発・配布できるため、多くの個人や企業が機種・用途に合わせてさまざまなディストリビューションを開発・提供しています。
ただ、このようなOSSは誰でも無料で利用できますが、サポートしてくれるわけではありません。企業が Linux を利用し、不測の事態が発生した場合に問い合わせができる「開発元」に相当するサポート体制が必要ですよね。そこで、Linux に関する窓口を有償で提供するという事業モデルを確立したのがRedHat社です。

RedHat社の歴史(読みたい人だけ)

RedHat社はオープンソース・ソリューションのプロバイダとして世界を牽引する企業です。
特に、Linux の有償ディストリビューションに関しては提供企業のなかでも最大手です。
同社は1993 年に創立され、当初は一般向けの「Red Hat Linux」(現在は「Fedora」に改称され、同社事業から切り離されている)と企業向けの「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)を展開していました。
2012 年にはオープンソース・テクノロジー業界で初となる10 億ドル超えの収益を達成しました。
2019 年に IBM社に買収されて傘下に入りましたが、 その買収額は340 億ドル(日本円で約3兆7000億円)と、ソフトウェア業界で最高額をたたき出しました。

“お客様、開発者、パートナー企業の懸け橋となり、

オープンソースのちからで優れたテクノロジーを創り出すこと。”
「Red Hat 企業理念、2009 年」

企業理念にあるように、RedHat社は独自のLinuxディストリビューションなどのOSS関連の技術サービスを主力事業とし、法人と有償で保守サポート契約を結んでソフトウェアの最新版の提供や技術サポートの提供などを行っています。

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多種多様なディストリビューション

Linuxディストリビューションは数多く存在し、その組み合わせ方や設定方法なども異なります。

たとえばデスクトップ向けのディストリビューションだと、GUI環境を備えていたり、数多くのソフトウェアが標準搭載されていたりします。一方で、特定の用途ように最小限のソフトウェアで構成されたディストリビューションも存在します。ディストリビューションによっては、ソフトウェアのインストールや更新、削除を簡単にする「パッケージ管理システム」を備えたものとそうでないものという違いもあります。ほかにも、後ほど紹介するRHELのような有償ディストリビューションも存在します。

ディストリビューションは大きく分けると3種類

Linuxを使うのに必要なアプリケーション(ソフトウェア)や機能を1つのパッケージにまとめたディストリビューションは数多く存在すると説明しましたが、そのなかでも大きく分けると、RedHat系、Debian系、Slackware系の3つが代表的です。

RedHat系
RedHat社の開発するディストリビューションです。安定した設計がなされているため、サーバに適したディストリビューションとなっています。RPMという独自のパッケージ管理システムが備わっており、管理者の強い味方として、企業で用いられることが多いです。

Debian系
Debian Linuxから派生したディストリビューションです。世界中の有志で開発を進めているディストリビューションで、100%フリーソフトをポリシーとして掲げているのが最大の特徴です。コミュニティが発達しており、情報も得られやすいです。Deb形式のパッケージ管理システムが備わっています。無償で手軽ということもあり、個人や大学などの教育機関で使用されることが多いです。

Slackware系
Linuxディストリビューションの中でも最古のSlackware Linuxから派生したディストリビューションを指します。シンプルな作りを貫いており、自動化された部分も少なく、ソフトウェアの追加導入やライブラリの管理など、ユーザ判断に任せる部分が多く、カスタマイズしやすい反面、初心者には難しいというのが特徴です。

【目的別】Linuxディストリビューションの選び方

このように、組み合わせや設定方法など、カスタマイズによって千差万別で、Linuxには多くのディストリビューションが存在しています。多くの種類があるためどれを使うか迷ってしまいますが、使い方や目的で選ぶのがいいでしょう。
ここからは、日本国内でよく利用される主なディストリビューションを対象に、どんな人がどんな目的で利用するのがおすすめか紹介します。

個人向けデスクトップ用途

軽量なPCの作成にうってつけのLinux系PC。
ターミナルでの作業以外にも、幅広い用途に適したものなので、UIや日常で利用するソフトウェアとの連携性なども重要になってきます。なかでも、FedoraやUbuntuを利用する人が多く、情報も多いため、使いやすいでしょう。

Fedora (RedHat系)
Fedoraは、創業当初、一般向けにリリースされていた「Red Hat Linux」の後継とされるOSSで、RedHat社から「Fedora Project」というRedHat社の支援するコミュニティに移管されたタイミングで「Fedora」に名称が変わりました。
無料で利用できるうえに、日本語にも対応、さらに、デスクトップ環境(GUI)が充実しているため、初心者にもおすすめです。
また、RHELの実験的なディストリビューションとされ、Fedoraでの実証後にRHELに反映されたりします。そのため、更新スピードが速く、最新パッケージの導入も多く行われています。最新の機能に触れたいという人はこれでしょう!

Ubuntu (Debian系)
デスクトップとして利用する場合に一番に思い浮かぶのはやはりUbuntuでしょう。Ubuntuは、Debianから派生したディストリビューションで、非常に人気があります。日本語対応、GUIの導入、サポート体制など、全体的に親切な作りになっており、Linux初心者でも利用しやすいでしょう。
Ubuntuは安定性・安全性も高いため、企業のサーバ用途としても用いられています。

企業向けサーバ用途

主にターミナルでコマンドラインを使用するものはサーバ用途として適しています。商用で利用する場合は安定性や信頼性、保守のしやすさなどが決め手となります。なかでもよく利用されているものには商用サーバとして定評のあるRHELやCent OS 、活用の幅が広いUbuntu、Debianなどがあります。※※Ubuntuの説明については、前項をご覧ください。

RHEL(RedHat Enterprise Linux) (RedHat系)
商用含め、サーバOSとして、有料ディストリビューションのなかで高いシェアを誇り、デファクトスタンダードとなっています。RHELの最大の特徴は、大規模サーバにも対応する性能や安定性の高さと、サポートが充実しているという信頼性の高さです。有償ということもあり、個人で扱っている人はほとんどおらず、安定性や信頼性に重きを置く企業向けです。有料でも動作を安定させたいという場合はRedHat系の商用ディストリビューション「RHEL」を利用するのが主流となっています。

CentOS (RedHat系)⇒サポート終了
CentOSは、RHELの有償部分を除いたディストリビューションで、安定性など、特徴自体はほぼRHELと遜色ありません。
無料で商用利用したければ、こちら!といいたいのですが、2021年末をもって開発・サポートが終了となりました。

Debian Linux (Debian系)
有志の開発コミュニティ「Debian Project」によって開発・運営されています。
実績のあるパッケージを採用しており、安定性があるため、シェアは高くありませんが、企業でも用いられています。対応プラットフォームやパッケージ数も豊富なため、幅広い用途で利用されます。
また、日本語にも対応し、ネット上に情報が豊富にあるため、初心者のサーバ構築にもおすすめです。

上記以外にもたくさんのディストリビューションが存在するので用途に合わせて選ぶのがいいでしょう。

     

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