【入門編】RHELとは|何ができる?歴史や特徴、メリットを徹底解説

  • 2024.02.01
       
【入門編】RHELとは|何ができる?歴史や特徴、メリットを徹底解説

RHEL (レル) とは?

RHEL(Red Hat Enterprise Linux )は、2002年に RedHat社が開発し、現在でも販売を続けているオープンソースの商用 Linux ディストリビューションです。
エンタープライズ用途を考慮して作られており、規模の大きいシステムでの稼動を前提としています。

RHELの歴史は?

RedHat社は創業当初「RedHat Linux」というメジャーなディストリビューションをリリースしていました。しかし、非常に扱いやすい構成になっているものの、商用アプリケーションにおいてバージョンアップの度に互換性の問題が生じていました。そこで、企業向けのエンタープライズ用途に耐えられる「長期サポートが可能な Linux」として RHEL が開発されました。
これにより、同社は一般向けの「Red Hat Linux」と企業向けの「Red Hat Enterprise Linux」を展開していましたが、2003年に前者は「Fedora Core(現在はFedora)」に名前を変え、同社事業から切り離されました。
一方の RHEL においては、Fedoraで得た成果を基に新しい技術を取り入れていくという形でバージョンアップを行っており、RedHat社が2022年5月10日に行われる「Red Hat Summit 2022」に合わせて RHEL の最新版である「Red Hat Enterprise Linux 9」のリリースを発表しました。

RHELはRedHatの代名詞

RedHat というと、単にRedHat社、または同社の主力製品である「RHEL(=Red Hat Enterprise Linux)」を指す場合が多いです。

RedHat社は、主にオープンソースソフトウェア(OSS)関連の技術サービスのプロバイダとして世界を牽引する企業で米IBMの子会社です。
RedHat社は、同社が開発したRHELを主軸とし、法人と有償で保守サポートに関するサブスクリプション契約を結ぶというビジネスモデルを形成し、ソフトウェアの最新版の提供や技術サポートの提供などを行っています。仮想化技術やクラウド技術にも注力するなど、ITインフラ企業を支える企業として成長を続けています。

Linuxディストリビューションとは?

無料で利用でき、カスタマイズも自由に行えるLinuxは個人のデスクトップ利用からITサービスを提供する企業のサーバ用途まで、世界中で広く利用されています。
ただ、その一方で、ベンダーからのサポートもないため、知識や技能がなければ使いこなせないという欠点もあります。
これを使いやすいようパッケージ化して配布されたものがLinuxディストリビューションです。
そしてこのディストリビューションは誰でも自由に開発・配布できるため、さまざまな配布元から機種・用途に合わせて数多く配布されています。
そのため、ディストリビューションには本来、「配布、流通」といった意味がありますが、Linuxのディストリビューションに関しては「種類」と捉えるとわかりやすいです。

企業が Linux を利用し、不測の事態が発生した場合にサポートを行う窓口を有償で提供するという事業モデルを確立したのがRedHat社です。

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ディストリビューションを3系統に分類すると?

Linuxを使うのに必要なアプリケーション(ソフトウェア)や機能を1つのパッケージにまとめたディストリビューションは数多く存在すると説明しましたが、そのなかでも大きく分けると、RedHat系、Debian系、Slackware系の3つが代表的です。

RedHat系
RedHat社の開発するディストリビューションです。安定した設計がなされているため、サーバに適したディストリビューションとなっています。RPMという独自のパッケージ管理システム(※後述)が備わっており、管理者の強い味方として、企業で用いられることが多いです。

Debian系
Debian Linuxから派生したディストリビューションです。世界中の有志で開発を進めているディストリビューションで、100%フリーソフトをポリシーとして掲げているのが最大の特徴です。コミュニティが発達しており、情報も得られやすいです。Deb形式のパッケージ管理システムが備わっています。無償で手軽ということもあり、個人や大学などの教育機関で使用されることが多いです。

Slackware系
Linuxディストリビューションの中でも最古のSlackware Linuxから派生したディストリビューションを指します。シンプルな作りを貫いており、自動化された部分も少なく、ソフトウェアの追加導入やライブラリの管理など、ユーザ判断に任せる部分が多く、カスタマイズしやすい反面、初心者には難しいというのが特徴です。

RHELの特徴は?

サポートが充実している

RHELのライセンスは無料ですが、RedHat社はサブスクリプション契約によるサポート料で収益を得ています。サブスクリプション契約は、料金を支払うことで契約期間中はRHELの製品保証やサポートサービスを受ける権利を指します。
サブスクリプション契約を結ぶことで受けられるサポートの内容は以下のとおりです。

サポート内容

  • RedHat社による知的所有権の保証
  • 最新バージョンへのアップデート
  • ソフトウェアの更新
  • 定期的なアップデート
  • バグ修正対応
  • ハードウェア変更後の継続利用
  • システム管理ツールの利用
  • テクニカルサポート

2種類のサポート
RHELのサポートの種類としては、「Standard」と「Premium」の2種類があります。
それぞれサポート内容も異なりますが、大きな違いは「サポート時間」にあります。
Premium のサポート時間が。24時間365日であるのに対し、Standard のサポート時間は平日の9:00~17:00に限定されています

サポートが長期間

サブスクリプション契約ユーザには、サブスクリプション契約によりリリース後、最大10年間(通常7年、延長3年)という長期的なセキュリティアップデートと回数制限のない公式テクニカルサポートが提供されます。
RHELの10年というサポート期間の長さはLinuxでは異例といえます。

大規模システムでも稼働する

企業向けのエンタープライズ用途に耐えられるLinuxディストリビューションとして開発され、大規模システムでの稼動を前提としているため、安定性が高いのもRHELの特長の一つです。

実証済みの技術を取り込む

RHEL は、Fedoraで得た成果を基に新しい技術を取り入れていくという形でバージョンアップを行っています。十分な検証を行った後に、大規模バージョンアップ時に一斉にアップグレードされる仕様になっているため、安定稼働を保てます。
最近でいうと、2022年5月10日に行われる「Red Hat Summit 2022」に合わせて RHEL の最新版である「Red Hat Enterprise Linux 9」のリリースが発表されました。

RHELのアップデート周期・サポート期間

RHEL8のリリース以降、メジャーバージョンは3年ごと、マイナーリリースは半年ごとというリリースモデルが定められ、RHEL9もそのルールに則っています。

RHEL6RHEL7RHEL8RHEL9
リリース日2010-11-102014-6-102019-52022-5-10
サポート終了2020-11-302024-6-302029-5-312032-5-31

仮想化技術を標準搭載

RHELのカーネルに「KVM(Kernel Virtual Machine)」や「RHEV(Red Hat Enterprise Virtualization)」などの仮想化ソフトを標準搭載されています。ソフトウェア上で複数のハードウェアを一元管理することで拡張性やセキュリティ性の向上が期待できます。

多くのハードウェアに対応している

RHEL は、PCからメインフレームまで、あらゆるハードウェアに対応しているLinuxディストリビューションです。業界のデファクトスタンダードといった位置づけにあるため、ベンダーもこれを考慮してのことです。
物理サーバや仮想サーバ、パブリッククラウドといったさまざまなハードウェアプラットフォームで利用できます。
また、RedHat社による厳しい品質管理、あらゆるメーカーのハードウェア上での動作認定が行われるため高い安定性も保たれています。

パッケージ管理システムでハードウェアを一括管理

RHELは、RedHat社独自の「RPM」という形式のパッケージ管理システムを備えています。これはソフトウェアのインストールや更新、削除が簡単になるもので、備わっていないと、数行といえど、自身でソースコードを手入力しなくてはならず、手間です。この作業を省けることで、本来の業務に集中でき、システム管理者にとって非常に有益な機能となっています。

RHELでできることは?

サーバとして利用できる

RHEL は、エンタープライズシステムユースに対応すべく、「安全性の高さ」、「対応できるハードウェアの多さ」、「保守性の高さ」に優れているため、企業や政府、研究機関などで幅広く利用されています。サーバOSとして有料ディストリビューションのなかで高いシェアを誇り、デファクトスタンダードとなっています。
下のグラフは国内の Linuxディストリビューション市場占有率を示しています。

参照

RedHat社は現在、日本国内の商用 Linuxディストリビューション市場において約80%と、圧倒的なのがわかりますね。

【早見表】ディストリビューション・特徴

ディストリビューショ名          特徴有償/無償パッケージ形式
RHEL・高性能で安定性が高く、大規模サーバにも対応できる
・サポートが充実している
⇒商用サーバ向き
有償RPM
CentOS・RHELを基に開発されたRHELのクローン
・性能や安定性はRHELと遜色ないが、有償部分(サポートサービス)は付かない
⇒サーバ向き
無償RPM
Fedora Core・先進機能を実験的に取り込んだディストリビューション
⇒比較的デスクトップ用途向き、特に先進機能に触れたい人には◎
無償RPM
Debian・安定性やセキュリティ性が高い
・対応パッケージ数が豊富
⇒幅広い用途、比較的サーバ向き
無償deb
Ubuntu・安定性やセキュリティ性が高い
・柔軟なカスタマイズが可能
・高頻度アップデートで常に最新
⇒デスクトップ用途向き
無償deb
Slackware・必要最低限で管理方法がシンプル
・柔軟なカスタマイズが可能
・安定性やセキュリティ性が高い
⇒デスクトップ用途向き、上級者向け
無償
Gentoo Linux・パッケージ管理システムがPortageでソースコード入力を必要とする
・柔軟なカスタマイズが可能
⇒デスクトップ用途向き、上級者向け
無償Portage

RHELは商用サーバ利用が◎

RHELの最大の特徴は、大規模サーバにも対応する性能や安定性の高さと、サポートが充実しているという信頼性の高さです。有償ということもあり、個人で扱っている人はほとんどおらず、ほとんどが商用利用です。
情報システムで Linux を安定的に稼働させる必要のある企業にとって、セキュリティ性が高いこと、そして、サポートが保証されていることは必要不可欠といっても過言ではありません。この点、RHEL であれば、有償ではありますが、不測の事態が起こった場合でもサポートを受けられます。高い信頼性を求める企業は安心できますね。
有料でも動作を安定させたいという場合はRedHat系の商用ディストリビューション「RHEL」を利用するのが主流となっています。

【RHELニュース】互換ディストリビューションで巻き起こる波乱

2023年6月21日、RHELの開発元であるRed Hat社がRHELのソースコードの一般公開を停止すると発表し、今後は有料顧客または開発者のみがコードにアクセス可能となります。しかし、これに関してオープンソースの原則に抵触しているとして物議を交わしています。これに続き、独SUSE社は同年7月11日に、RHELをフォーク(複製して別の独立したソフトウェアを開発すること)し、誰でも制限なく利用できるRHELの互換ディストリビューションを開発・保守すると発表しました。また、今後数年間で、当プロジェクトに1000万ドル(約14億円)以上の投資を予定するなど、Red Hat社に対抗する姿勢を見せています。

Red Hatは2020年末にRHEL互換の「CentOS Linux 8」のサポートを翌年の2021年で終了すると発表し、Alma LinuxやRocky Linuxなどプロジェクトが新しく立ち上がり、RHELソースコードを入手してリビルドすることで無料のRHEL互換ディストリビューションを提供しています。しかし、本年6月の発表でRed Hat社はリビルドベンダーを切り捨てる姿勢を見せました。

RHELの勉強方法は?

書籍やインターネットで学習する方法があります。昨今では、YouTubeなどの動画サイトやエンジニアのコミュニティサイトなども充実していて多くの情報が手に入ります。
そして、より効率的に知識・スキルを習得するには、知識をつけながら実際に手を動かしてみるなど、インプットとアウトプットを繰り返していくことが重要です。特に独学の場合は、有識者に質問ができたりフィードバックをもらえるような環境があると、理解度が深まるでしょう。

ただ、RHELに限らず、ITスキルを身につける際、どうしても課題にぶつかってしまうことはありますよね。特に独学だと、わからない部分をプロに質問できる機会を確保しにくく、モチベーションが続きにくいという側面があります。独学でモチベーションを維持する自信がない人にはプログラミングスクールという手もあります。費用は掛かりますが、その分スキルを身につけやすいです。しっかりと知識・スキルを習得して実践に活かしたいという人はプログラミングスクールがおすすめです。

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