Linuxの技術者認定資格の二強といえばやはり「LinuC」と「LPIC」です。
しかし、いざ受けるとなるとどちらを受けるべきか迷ってしまう人もいるのではないでしょうか。
そこで、本記事では、Linux認定試験の受験を考えている人に向けてLinuCがどんな資格なのか、LPICとの違いや、試験の難易度、合格点などを中心に解説します。また、試験を突破する勉強法や試験の予約方法なども紹介するので今後の受験の参考にしてください。
- 1. LinuC(リナック)とは?
- 2. LinuCが誕生した経緯
- 3. 2018年8月以前のLPIC受験・認定はLinuCに引き継げる?
- 4. LinuCとLPICの違い
- 5. LinuCの3つのレベル
- 6. LinuCの出題範囲
- 7. LinuCを取得するメリット
- 8. LinuCの難易度は?
- 9. 勉強時間の目安
- 10. サンプル問題(解説付き)
- 11. LinuCの申込方法
- 12. LinuCの受験料・支払い方法
- 13. 受験方式
- 14. LinuCの試験時間
- 15. LinuCの試験日・会場
- 16. LinuCはオンライン受験できる?
- 17. 受験結果の確認
- 18. LinuCの合格点
- 19. LinuCの合格率
- 20. LinuCの有効期限
- 21. 受験における注意点
- 22. LinuCの再受験ポリシー
- 23. 英語対応
- 24. LinuCはどんな人におすすめ?
- 25. LinuCの勉強方法は?
LinuC(リナック)とは?
LinuCとは、クラウド・DX時代においてLinux技術者に求められる技術力があることを認定する、インフラエンジニア向けのベンダー試験です。2018年3月1日から始まった試験でLPI-Japanが運営されています。
LinuCが誕生した経緯
LPI-JapanはもともとLPICの認定機関として試験の実施・運営を行っていましたが、2018年8月中旬よりクラウドの利用が当たり前となった現代に則した技術に重点を置き、実際の現場で活躍できる技術力を認定する新たな試験として「LinuC(リナック)」の運営に移行しました。それに伴い、試験品質向上(問題文におけるより良い表現方法など)や出題範囲の改善が行われています。なお、LPICに関しては現在、LPIC日本支部が運営を引き継いでいます。
2018年8月以前のLPIC受験・認定はLinuCに引き継げる?
LPI-Japanが運営を担当していた2018年8月以前にLPICを受験し、2018年9月以降もLPIC日本支部でLPICを受験している場合は必要な試験に合格することでLinuCの認定を取得できます。なお、有意性が延長されることはありません。※試験の有意性の関係で2023年8月末までで終了
LinuCとLPICの違い
LinuCとは別に「LPIC(エルピック)」という資格があります。こちらもLinuxに関するスキルを証明する資格で難易度も同じ程度です。そもそもLinuCはLPICをベースとして作られたこともあって試験自体の形式が似ています。
LinuCは国内に特化した資格
両者の運営団体が異なります。LinuCの運営元であるLPI-Japanは、もともとLPICの運営をしていましたが、2018年以降はLPICの運営をやめて、日本国内向けの認定資格としてLinuCに移行しました。LPICは世界市場向けの資格でLinuCは日本市場向けの資格と考えて問題ありません。そのため、日本の市場で求められる技術がカバーされています。また、問題文も日本語が自然で日本人にとって理解し易い内容となっているでしょう。
LinuCには有効期限がない
また、両者の大きな違いは有効期限の有無です。LPICは認定から有効期限が5年となっており、資格の維持には再受験や上位試験への挑戦が必要ですが、LinuCには有効期限が設けられていないため一度取得した試験が失効してしまうということはありません。
LinuCの3つのレベル
LinuCは難易度の異なるレベル1からレベル3までに分かれており、段階的に求められるレベルが上がっていく構成になっています。
LPICレベル1
仮想環境を含むLinuxシステムの基本操作とシステム管理が行えることを証明する資格です。難易度はそこまで高くなく、Linux入門者向けの内容となっており、実務経験のない学生や新卒の人でも合格している人が多くいます。
問題は101と102に分かれていて試験時間は各90分間です。60問の多肢選択問題と穴埋め問題になっています。受験費用はそれぞれ16,500円(税込)です。2科目で合わせて33,000円かかるので注意しましょう。
レベル1、2の認定を受けるには2科目合格する必要がありますが、同日で受験する必要はなく一方に合格してから5年以内にもう一方も合格すれば大丈夫です。2つ目の合格日が認定日となります。
求められるレベル | 仮想環境を含むLinuxシステムの基本操作とシステム管理ができる |
試験時間 | 各90分 |
問題数 | 各60問 |
認定条件 | 101試験・102試験に合格すること |
前提条件 | なし |
有効期間 | なし |
費用 | 33,000円(16,500円×2科目) |
LPICレベル2
仮想環境を含むLinuxのシステム設計、ネットワーク構築において、アーキテクチャに基づいた設計、導入、保守、問題解決が行えることを証明できる資格です。レベル1よりも出題内容も広範囲かつ高度になるため、難易度は上がります。ある程度実務経験がある人向けの資格といえます。
こちらもレベル1と同様に2試験に分かれていて試験時間は各90分間で、60問の多肢選択問題と穴埋め問題になっています。受験費用はそれぞれ16,500円(税込)です。2科目で合わせて33,000円かかるので注意が必要です。
求められるレベル | サーバ構築ができる |
試験時間 | 各90分 |
問題数 | 各60問 |
認定条件 | 201試験・202試験に合格すること |
前提条件 | レベル1に合格していること※順不同 |
有効期間 | なし |
費用 | 33,000円(16,500円×2科目) |
LPICレベル3
Linuxを用いて大規模システム構築やコンサルティングができる、最高レベルの技術があることを証明できる資格です。レベル3からは「混在環境」「セキュリティ」「仮想化と高可用性」という3つの専門分野に分かれ、3つの試験は独立していてどれか一つでも合格すれば認定を受けられます。Linuxに関する専門的かつ高度な知識に加えてWindowsOSや仮想OSなどの技術知識も必要になり、Linux以外の勉強も必要です。実務経験のある高度なLinux技術者でも簡単に合格することは難しいでしょう。3つの中から実務に必要な専門分野の試験を受けましょう。試験時間は90分間で出題数は60問です。受験料は16,500円(税込)です。
求められるレベル | 大規模システム構築やコンサルティングができる |
試験時間 | 各90分 |
問題数 | 各60問 |
認定条件 | 4つのうちいずれかの試験に合格すること |
前提条件 | レベル2に合格していること※順不同 |
有効期間 | なし |
費用 | 各16,500円 |
LinuCの出題範囲
LinuCレベル1
101試験(Version 10.0)
- Linuxのインストールと仮想マシン・コンテナの利用
- ファイル・ディレクトリの操作と管理
- GNUとUnixのコマンド
- リポジトリとパッケージ管理
- ハードウェア、ディスク、パーティション、ファイルシステム
詳細はこちら
102試験(Version 10.0)
- シェルおよびスクリプト
- ネットワークの基礎
- システム管理
- 重要なシステムサービス
- セキュリティ
- オープンソースの文化
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LinuCレベル2
201試験(Version 10.0)
- システムの起動とLinuxカーネル
- ファイルシステムとストレージ管理
- ネットワーク構成
- システムの保守と運用管理
- 仮想化サーバー
- コンテナ
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202試験(Version 10.0)
- ネットワーククライアントの管理
- ドメインネームサーバー
- HTTPサーバーとプロキシサーバー
- 電子メールサービス
- ファイル共有サービス
- システムのセキュリティ
- システムアーキテクチャ
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LinuCレベル3
300試験(Mixed Environment)
Linux、Windows、Unixが混在するシステムの設計・構築・運用・保守を行えるエキスパートエンジニアであることを証明する資格です。
- OpenLDAP の設定
- OpenLDAPの認証バックエンドとしての利用
- Sambaの基礎
- Sambaの共有の設定
- Sambaのユーザとグループの管理
- Sambaのドメイン統合
- Sambaのネームサービス
- LinuxおよびWindowsクライアントの操作
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303試験(Security)
セキュリティレベルの高いコンピュータシステムの設計・構築・運用・保守を行えるエキスパートエンジニアであることを証明する資格です。
- 暗号化
- ホストセキュリティ
- アクセス制御
- ネットワークセキュリティ
詳細はこちら
304試験(Virtualization & High Availability)
クラウドコンピューティングシステムの設計・構築・運用・保守を行えるエキスパートエンジニアであることを証明する資格です。
- 仮想化
- 高可用クラスタ管理
- 高可用クラスタストレージ
詳細はこちら
LinuCを取得するメリット
スキルアップにつながる
業務でLinuxを使っている人でも、毎日決まった業務をこなしている場合、どうしても知識やスキルに偏りが出てしまいます。LinuCに合格するためには、Linuxのコマンドや、サーバの仕組みについて網羅的に学習する必要があります。学習の過程で、知識が足りない分野を知り、勉強することでスキルアップにつながります。
実務で活かせる
サーバなどのネットワーク機器やAndroid、IoT機器などに安定性やセキュリティが高いLinuxはを使うケースが非常に多いため、技術者として能力を活かす機会が多くあり、実務に活かしやすいです。
キャリアアップにつなげやすい
エンジニアあらゆるキャリア職種でLinuxの知識が必要になります。高度かつ専門的な知識を持っている証明になるため、キャリアアップとしても有効です。
LinuCの難易度は?
レベル1は実務で必要になるLinuxの基本操作やシステム管理が行えることを証明する資格です。難易度はそこまで高くなく、実務経験がない人でも勉強すれば合格できる内容になっています。経済産業省の定める「ITスキル標準(ITSS)」では、レベル1に指定されており、同じレベルだと、LPIC-1やITパスポート試験などがあります。
レベル2では、サーバ全般の問題が出題され、高度な内容が増えるため、難易度も高くなります。
ITスキル標準(ITSS)では、レベル2となっており、同じレベルだと、LPIC-2やCCNAなどがあります。
レベル3になると専門分野ごとにSamba(Linux上でWindowsネットワーク機能を提供するソフトウェア)や暗号化などのセキュリティ技術、仮想化技術といった専門的かつ高度な内容が問われるので豊富な実務経験で得た知識・スキルがないと合格は難しいでしょう。
ITスキル標準(ITSS)では、レベル3)となっており、同じレベルだと、LPIC-3やCCNPなどがあります。
勉強時間の目安
LinuCの運営元であるLPI-Japanによると、はじめて受験する場合の場合、一般的な学習時間の目安は以下のようになっています。
レベル1 | 1か月~3か月程度 |
レベル2 | 3か月~半年程度 |
レベル3 | 半年~1年程度 |
サンプル問題(解説付き)
公式サイトではLinuCの例題とその解説が公開されています。
LinuCの申込方法
LinuCの受験予約には、インターネット予約と電話予約の2種類があります。
インターネット予約
LinuCの受験には「EDUCO-ID」を発行する必要があります。
EDUCO-IDを取得することで「受験者マイページ」から受験結果の確認や試験の析レポートを閲覧できます。
受験の申し込みは「ピアソンVue」で行います。
「登録・試験の予約」のプルダウン>受験者ホーム>試験プログラムの検索>試験プログラム検索(A-Z)の「L」>LinuC | Linux技術者認定資格 by LPI-Japan>試験を予約する
ここでEDUCO-IDが必要になります。
※ピアソンVueアカウントの作成後、1営業日以内に登録時のメールアドレスに確認メールが届きますがタイミングによってはそれ以上かかる場合もあります。
ピアソンVueのアカウントとEDUCO-IDを発行したアカウントは別であるため、ログイン情報はそれぞれ厳重に保管しましょう。
電話予約
ピアソンVUEのコールセンターに電話することでも予約可能です。受付時間は平日午前9時~午後6時(祝祭日を除く)となっています。
テストセンター受験専用:0120-355-173
オンライン試験専用:0120-355-583
電話予約の場合もECUDO-IDが必要になるため、先に取得してから電話しましょう。
LinuCの受験料・支払い方法
受験料はレベル1から3まですべて同じで、1科目16,500円(税込)です。また、レベル3試験が不合格であった場合、1回限り5,500円 (税込み) で再受験可能です。
受験料の支払方法には以下の4つがあります。
- クレジットカード払い
- バウチャーの購入
- 銀行振込
- コンビニ決済
バウチャーとは有効期限のある受験チケットのことで購入後の限られた期間内で受験する必要があります。
受験方式
試験は、全国のテストセンターでCBT方式(コンピュータに表示された試験問題をマウスやキーボードを使って解答する方式)で実施されます。
LinuCの試験時間
全試験共通で90分間です。※試験後に簡単なアンケートがあるため、試験問題は実質85分間となります。
LinuCの試験日・会場
試験は通年実施されており好きなタイミングで受けられます。基本的には祝日を除く月~土曜日となっていますがテストセンターによって休日や実施時間帯が異なるため、予約時に各テストセンターの実施日程を確認しておく必要があります。
LinuCはオンライン受験できる?
LinuCは自宅や職場でのオンライン受験(OnVUE受験)も可能です。ただし、事前にシステム要件を満たすかチェックしたり受験スペースの写真のアップロードで承認を得る必要があるため事前に確認が必要があります。一部のMacOS端末では正常に受験できないケースが発生しています。
受験結果の確認
受験結果の確認方法は、テストセンター受験かオンライン受験かで異なります。
テストセンター受験
結果はテスト終了後のPC画面に表示されます。
オンライン受験
試験終了後にピアソンVUEのマイページから確認できます。
合格の場合、認定証と認定カードがECUDO-IDに登録してある住所宛てに郵送され、約3週間で届くようです。認定者の証明として名刺やHPに認定ロゴや認定試験名を使用できます。
LinuCの合格点
LinuCの合格点は公開されていませんが、LPICと同様に65%〜75%程度と言われています。
LinuCの合格率
LinuCの受験者数や合格者数は公開されていません。
LinuCの有効期限
LPICと異なり、有効期限はありません。ただ、新しい技術に対応する技術力を備えているか、つまり「有意性」という点では一度取得した後でも知識をアップデートし続けることが望ましいです。
受験における注意点
レベル1・レベル2は2科目を5年以内に合格する必要がある
レベル1の認定を受けるには101と102の2科目両方に合格する必要があります。なお、認定を受けるには2科目を5年以内に合格する必要があります。また、レベル2の認定を受けるには下位のレベル1の認定を受ける必要があり、201と202の2科目に合格する必要があります。ただし、試験はどのレベルからの試験でも受験できます。レベル3に関しては専門分野に分かれ、試験もそれぞれ独立しているためレベル2の認定を受け、300試験/303試験/304試験のうち、いずれかの試験に合格する事で認定されます。
LinuCの再受験ポリシー
1回目の受験で不合格になのった場合、同じ科目の再受験ができるのは7日後(翌週の同曜日)からとなります。受験しなかった場合や違う科目の受験にはこの再受験ポリシーは適用されません。
英語対応
2019年2月1日から、外国人IT人材確保のためにLinuCが英語版をリリースされたことで、英語での受験が可能になりました。また、英語で受験する場合は海外からでも受けられます。
LinuCはどんな人におすすめ?
- インフラエンジニア
- クラウドエンジニア
LinuCの勉強方法は?
書籍やインターネットで学習する方法があります。昨今では、YouTubeなどの動画サイトやエンジニアのコミュニティサイトなども充実していて多くの情報が手に入ります。
そして、より効率的に知識・スキルを習得するには、知識をつけながら実際に手を動かしてみるなど、インプットとアウトプットを繰り返していくことが重要です。特に独学の場合は、有識者に質問ができたりフィードバックをもらえるような環境があると、理解度が深まるでしょう。
ただ、LinuCに限らず、ITスキルを身につける際、どうしても課題にぶつかってしまうことはありますよね。特に独学だと、わからない部分をプロに質問できる機会を確保しにくく、モチベーションが続きにくいという側面があります。独学でモチベーションを維持する自信がない人にはプログラミングスクールという手もあります。費用は掛かりますが、その分スキルを身につけやすいです。しっかりと知識・スキルを習得して実践に活かしたいという人はプログラミングスクールがおすすめです。
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