1. ITコンサルタントとは?
ITコンサルタントとは、ITを活用してクライアント企業の抱える課題の解決や目的の達成に導く専門家を指します。
昨今では、どんな業界でも企業の経営や業務にはITが不可欠な存在になっており、重要視されるようになりました。そのような背景からIT関連分野の業務改善や組織改革にむけてコンサルティングを依頼する企業も増えています。
ITコンサルタントは、クライアント企業の現状を把握して問題の原因を明らかにし、解決策の提案やそのためのサポートを行うなど、対クライアント企業に寄り添いながら一貫して課題解決に導くことで、クライアント企業の利益増を目指します。
2. ITコンサルタントの仕事内容は?
ITコンサルタントは、クライアント企業の経営戦略に沿ったIT戦略を策定し、既存システムの見直しや新システムの導入といったシステム開発の提案や最適化を通して、 クライアント企業の経営をサポートする職種です。クライアント企業の課題の特定から解決まで一貫して行い、実際にプロジェクトにも携わるため、ITコンサルタントの仕事内容は多岐にわたります。
以下のような3つの段階に分けて説明します。
ヒアリング・分析
クライアント企業の経営者やIT部門の統括責任者などから、経営戦略や業務範囲、既存システム、業務のフローなどについてヒアリングし、それらを整理、分析することで、企業がIT分野で抱える課題を洗い出します。
提案
分析結果を基に、既存システムの見直しや新システムの導入など、課題に向けた提案を行います。クライアント企業に対して現状の課題は何か、なぜ提案した方法でなら課題を解決できるのかをしっかりと伝える必要があります。
マネジメント
課題解決に向けたプロジェクトを立ち上げ、必要な人材を集めたり、進捗管理や運用テストを行ったりと、プロジェクト全体を統括します。
3. ITコンサルタントのやりがいと厳しさ
ITコンサルタントのやりがいとは?
幅広い提案で経営課題を解決
自社開発を行うIT企業では、提案できる内容の幅が限られてしまいますが、ITコンサルタントはシステム開発に最も適した事業者を選んで外注することもできます。このように、クライアント企業に提案できる内容が幅広いことで、クライアント企業の課題解決に最も有効な提案ができるというのがITコンサルタントにとってのやりがいにつながるでしょう。
ITコンサルタントの厳しさとは?
責任重大な立場であるがゆえの業務量の多さ
クライアント企業の経営の一端を担うITコンサルタントはやりがいとともに重大な責任がともなう職種です。クライアント企業からのコンサルタント依頼費も高額であるため、企業の課題を解決できなければクライアント企業にとっても大きな損失になるため、成果を上げなければならないというプレッシャーとも戦わなければなりません。
そのため、ITコンサルタントには常に高いITスキルとプロ意識が求められます。
そのため、IT活用のプロとして市場や企業の動向の把握や最新のIT技術に関する勉強をして、幅広く情報収集しておく必要があります。ほかにも、時にはクライアント企業の経営陣と対立しながら業務を遂行する場合もあります。このように、やりがいのある分、常に高いハードルを乗り越え続けるだけのプロ意識、根気が必要になる職種です。
また、IT関連の職種は、システムのリリース時に予期せぬトラブルが発生した場合などにどうしても激務になってしまうことは避けられませんが、これはITコンサルタントも例外ではありません。しかし、昨今「働き方改革」や「ワークライフバランス」など、働き方が見直される動きがあり、政府の監視の目も厳しくなっていることも後押し、労働時間の管理が徹底されたことで、就労規則に反するような過重労働を強いられることはほとんどなくなりました。そして、この労働時間というのは自身の手腕によっても大きく変わってきます。ITコンサルタントとして、トラブルが起きないようプロジェクトの管理やトラブル対処の準備を十分にできていれば、不測の事態でも労働時間への影響を極力抑えることができます。ITコンサルタントにとって重要なのはなにより成果を出すことですので、自身の仕事やプロジェクトの進行も効率的に進めることが大事でしょう。
4. ITコンサルタントとシステムエンジニア (SE) の違いは?
どちらもシステム開発における上流工程を担当する職種であるため混同されることもあるITコンサルタントとシステムエンジニアですが、両者には、どのような違いがあるのでしょうか。それぞれの役割と業務プロセスの観点から両者の違いについて解説します。
ITコンサルタントの役割と業務プロセス
ITコンサルタントの役割は、クライアント企業のIT分野における経営課題を解決することです。
クライアント企業とのヒアリングから経営課題を分析し、解決策を提案するのがシステム開発におけるITコンサルタントのメイン業務になります。提案がクライアント企業に承認されれば、システムエンジニアに要望を伝え、それを基にシステム開発に取り掛かるシステムエンジニアのサポートをします。つまり、ITコンサルタントのほうが、システムエンジニアよりもさらに上流の工程を担当するといえます。
システムエンジニアの役割と業務プロセス
システムエンジニアの役割は、クライアント企業の求めるシステムを開発することです。そのために、どんなシステムが必要かクライアント企業とのヒアリングを基にシステムの大まかな仕様から詰めていきます。つまり、クライアント企業の課題解決に最適なシステムを構築するのがシステムエンジニアの仕事といえます。
以上のことからまとめると、「クライアント企業の課題解決」という同一の目的のために、ITコンサルタントは問題解決のプロとして経営課題の解決策を提案し、システムエンジニアはシステム構築のプロとしてシステム開発を行うのです。
5. ITコンサルタントになるにはどんなスキルが必要?
前項で示したように、システム開発における最上流工程を担当するITコンサルタントは、クライアント企業の各層とそれぞれに応じたコミュニケーションを取りながら要望を汲み取り、また、意図を伝えて動いてもらうのが仕事の根幹といえます。そのため、コンサルタントとしてのスキルとIT関連のスキル両方が求められます。ここからは、コンサル面でのスキルとIT面でのスキルに分けて説明します。
まず、コンサルタントとして必要なスキルについては以下のようなものがあります。
コミュニケーション力
ITコンサルタントは、経営陣と開発チームの間に入ってIT戦略を形にしていくなかで、さまざまな立場の人と円滑にコミュニケーションをとる必要があります。これは、良い雰囲気でやりとりするというだけでなく、相手の意図していることをうまく引き出してくみ取る理解力や、相手が理解し易いよう伝えることも含まれます。
論理的思考力
ITコンサルタントは、経営課題の解決が最終的な目的であり、単なる業務効率化や表面的な課題の解決ではありません。企業の抱える本質的な課題を見極め、それに対する的確な解決策を導き出すことが求められます。本質的な課題の見極めには、仮説を立てながら検証を繰り返す必要がありますが、その過程で、複雑な事象を分解し、関連性をとらえながら筋道を立てて考えられる論理的思考力が重要になります。これは、クライアントへのプレゼン時に効果的に伝えて納得してもらう際や多くの人が関わるプロジェクトをまとめ上げる際にも有効です。
次にIT関連で必要となるスキルについて述べます。
最新のIT技術を追うリサーチ力と学び続ける継続力
IT技術は日々凄まじいスピードで進歩し続けており、せっかく身に着けた知識やスキルも数年後には古くなっているということは往々にしてあることです。そのため、最新技術や市場の動向を常にインプットするリサーチ力、継続力が重要になります。すべてのプロジェクトで最新技術の知見が必要になるわけではありませんが、あるのとないのとでは提案の幅が大きく変わり、IT戦略の質にも影響してきます。IT分野のプロとして働くためにも常日頃からスキル習得や情報収集する姿勢が重要なのです。
ITエンジニアリングの知識
これは、システム開発の設計段階から製品化に至るまでの知識のことです。情報システムが製品化するまでにはいくつもの工程があります。このような開発プロセスや開発の全体像といった、情報システムの開発者側の知識があることで、現実的な提案ができるようになります。そういった面もあり、システムエンジニア経験者がITコンサルタントに転職する場合に有利に働きます。
6. ITコンサルタントに活かせる資格は?
ITコンサルタントにとって必須の資格はありませんが、ITコンサルタントとして業務を遂行するだけの素養があることを示すためにも、広範囲の知識をカバーできる資格を取得して損はありません。ITコンサルタントに活かせる資格をいくつか紹介します。
ITコーディネータ
ITコーディネータは、NPO法人ITコーディネータ協会の実施する民間資格です。この資格があれば、ITと企業経営のどちらの知識を有し、IT戦略の立案や戦略に沿ったシステム構築、導入を主導できると認定されます。民間資格ですが、経済産業省から取得を推奨されている資格です。
プロジェクトマネージャ (PM) 試験
プロジェクトマネージャ試験は、経済産業省から設辣された独立行政法人、情報処理推進機構(IPA)の実施する「情報処理技術者試験」の一つです。4つの試験すべてに合格する必要があり、合格率が1割程度の難関資格です。
中小企業診断士
中小企業診断士は、経営コンサルタント業務を行うための国家資格です。戦略の立案からマーケティング、店舗運営、新事業の立ち上げまで、経営に関する基礎知識をほとんど網羅しており、さまざまな分野のコンサルタントが有している資格です。
す。経営コンサルタント専門の資格のように思えますが、ITコンサルタントにも経営に関する知識は、クライアント企業の課題抽出に必要な知識が学べます。
7. ITコンサルタントの平均年収は?
大手求人サイト「doda」によると、ITコンサルタントの平均年収は590万円です。どの年代でも同年代の平均値よりも上回る傾向にあり、高いスキルや技術力が求められる職種であることを裏付けています。ただ、個人のスキルや雇用形態、企業規模によっても大きく異なります。なかには1,000万円を超える人もいます。この傾向は今後も続くと考えられるため、収入面や将来性という面でも魅力的な職種でしょう。
8. ITコンサルタントに向いている人の特徴は?
ITコンサルタントは、経営陣とシステム開発チームを取り次ぎながら課題解決に注力する立場として適した人材が向いている職種です。具体的には以下のようなものがあります。
ものごとを俯瞰で判断できる
プロジェクトを進めるうえで、経営陣と開発チームのどちらかに偏らずに、全体を俯瞰した判断する必要があります。
体力がある
ITコンサルタントはハードワークになることも少なくないため、体力が必要になります。
9. 未経験からITコンサルタントへ転職できる?
ITコンサルタントはITに関する知識や技術に加え、コンサルタントとしてのスキルも求められる職種であり、IT分野のプロフェッショナルとして高いITスキルが必要とされるため、未経験からいきなりITコンサルタントになるのは難しいでしょう。
コンサルタントが未経験である場合は特に大きな問題はありませんが、IT関連の業務経験は重要で、必須といっても過言ではありません。システムエンジニアやプログラマからのキャリアアップするのが一般的ですが、IT業界出身でない場合でも、マネジメント経験があれば、自分のこれまでの経験をITコンサルタントにどう活かせるかを伝えると転職しやすくなるでしょう。
10. ITコンサルタントのキャリアパス
キャリアパスの代表例をいくつか紹介します。
企業内の出世を目指す
まず、企業内のマネージャー、シニアマネージャー、ディレクター、パートナーなどの役職を目指すことです。より的確な改善策を講じたり、プロジェクト管理スキルを磨いたりと、よりハイレベルなプロジェクトを統括していき、その成果次第では、ITコンサルタントとして名が知れて企業から指名されることもあります。
他ファームへの転職
他ファームへ転職をするという場合です。培ったスキルや経験値次第で好条件で採用される可能性も高く、転職を機にキャリアアップができます。
社内SEに転職
ITコンサルタントとして培った知識を基に、社内SEなどに転職し、ゆとりのある働き方に転向する人も多くいます。
事業会社の幹部や経営企画ポジションへの転職
経験やスキル次第ではCIOなどの幹部ポジションや経営企画や事業企画などのポジションなどの経営部門の募集が多くあります。
独立
ITコンサルタントとしての実績がなければ案件を受注しにくいため、将来独立することを見据えて、まずファームに所属して経験を積み、コネクションを構築しておくという人が多くいます。そこからフリーランスとして独立して複数の企業に関わる人もいれば、起業する人もいます。
ITスキルを習得するには?
書籍やインターネットで学習する方法があります。昨今では、YouTubeなどの動画サイトやエンジニアのコミュニティサイトなども充実していて多くの情報が手に入ります。
そして、より効率的に知識・スキルを習得するには、知識をつけながら実際に手を動かしてみるなど、インプットとアウトプットを繰り返していくことが重要です。特に独学の場合は、有識者に質問ができたりフィードバックをもらえるような環境があると、理解度が深まるでしょう。
ただ、ITスキルを身につける際、どうしても課題にぶつかってしまうことはありますよね。特に独学だと、わからない部分をプロに質問できる機会を確保しにくく、モチベーションが続きにくいという側面があります。独学でモチベーションを維持する自信がない人にはプログラミングスクールという手もあります。費用は掛かりますが、その分スキルを身につけやすいです。しっかりと知識・スキルを習得して実践に活かしたいという人はプログラミングスクールがおすすめです。
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