ARとは?
AR(Augmented Reality:拡張現実)とは、現実空間に仮想世界を投影させ、重ねて見せる技術です。現実世界にデジタル情報を重ねて出現させることで、まるで本当に目の前にそのコンテンツがあるかのような表現ができるため、「現実世界を仮想的に拡張する」という意味で名づけられました。
以前はARの活用には莫大なコストを要していましたが、最近ではAR技術が進歩したことで、スマートフォンで気軽に利用できるサービスが多く開発されるようになりました。
特に、2016年にリリースされた「ポケモンGO」は社会現象を巻き起こすほどの大ヒットを見せ、世の中に「AR」という言葉が知れ渡りました。ほかにも、人の顔に動物の耳や鼻などのCGを重ねて撮影ができるカメラアプリ「SNOW」やカメラに映した街中の映像にナビ表示をする「Google Map(ライブビュー)」など、AR機能が身近になり、実際に触れたことがある人も多いのではないでしょうか。
また、最近では家具を自身の部屋に試し置きや服のバーチャル試着などの小売業での活用も多く見受けられ、ほかにも教育分野など、幅広い分野で実用化が進んでいます。
このようにスマートフォンやタブレット1台で利用できる手軽さもあり、現在はこれらが利用デバイスの主流となっていますが、Apple社やGoogle社が日常利用できるサングラス型のARグラスを発売するといわれており、今後はこういったウェアラブルデバイスの利用者も増えると予想されます。
ARが注目される背景と残された課題
ARが注目される背景は?
大手IT企業も続々と力を入れ始めている
現在、Apple社やGoogle社といったプラットフォームを有する企業がAR分野に力を入れ始め、今後さらに強化していく姿勢を見せています。このような世界的に影響力のある企業の動向によって他の企業も意識するようになり、参入する企業がふえることも予想されます。
活用の幅が広がっている
ゲーム分野以外のあらゆる業界でもAR導入の事例が増えるなど、ビジネス上の需要が高まっています。ARの導入で顧客体験価値の向上に加え、販売促進も期待されるため、マーケティングでも有効です。
WebARの登場
WebARは、開発者側にとっても開発コストを抑えられ、導入しやすいため、多くの企業からリリースされ、ユーザにとってもアプリをダウンロードする必要がないため、利用のハードルが下がったことが挙げられます。
通信環境の進化
リッチな表現には高解像度の画像データを遅延無く配信することが求められますが、5Gによって高速・大容量通信が可能になり、高い臨場感を味わえるような表現が可能になりました。
時勢
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で非対面・非接触が求められたことが、ARの需要増加の追い風となっています。
また、外出自粛やイベントの中止が余儀なくされたことで、ARを活用して自宅にいながら参加できるオンラインでのイベントやキャンペーンが増え、ARを活用した施策が増えました。
ARの課題は?
ARの課題としては、「現実を認識する精度」があります。今後、数メートル、数センチ単位でユーザの位置や空間を把握できるようになれば、より利用シーンが増え、普及していくでしょう。
ARの種類は?
ARは大きく分けて4つに分類されます。
位置認識(GPS)型AR
位置情報型ARは、GPSで取得した位置情報を基にARコンテンツを表示する技術です。先述した「Google Map」のARナビ機能や「ポケモンGO」などもこの技術を利用しています。
VPS(ビジュアル・ポジショニング・システム)といって位置情報とカメラから得た情報をもとに正確な位置を判定する技術が使われています。
画像認識(マーカー)型AR
画像認識型ARは、顔や建物、文字といった特定の対象物をマーカーとして設定し、カメラに映った画像の中に特徴の一致する対象物があり、マーカーと認識すると、それを基準にARコンテンツを付与する技術です。付加情報を表示する位置を正確にできる一方で、画像をトリガーとしているため、撮影環境や照度などに左右されやすいといった面があります。
物体認識(マーカーレス)型AR
物体認識型ARは、カメラに映った特定の物体を基にARコンテンツを表示する技術です。画像認識と同様にカメラから得た情報を基に特徴の検知を行いますが、空間を認識するため現実世界に合わせた大きさや奥行きのARコンテンツを表示できます。製造業における機械のメンテナンスや業務効率化にも用いられています。
少々分かりにくいですが、物体をマーカーとして物体の移動を検知するのが「画像認識(マーカー)型AR」、空間を認識することで、カメラの移動を検知するのが「物体認識(マーカーレス)型」と考えるとわかりやすいでしょう。
VRとは?
VR(Virtual Reality:仮想現実)は、仮想空間を現実空間のように体験できる技術です。
VRは左右のレンズで流す映像を調整することで、立体感を出す技術を用いており、利用には専用のデバイスが必要になります。この専用のデバイスを通じて、CGや360度カメラで作られた映像が映し出されます。頭の動きに合わせて映し出される仮想空間も変わるため、より高い没入感と臨場感が味わえます。
このデバイスには3種類あり、VRゴーグルにスマホをセットして利用するタイプとPCやゲーム機に接続するもの、単独で動作する自由度の高いタイプがあり、デバイスによってリアリティに差があります。
ゲームなどのエンターテイメント分野での活用が著しいですが、最近では不動産の内見や旅行の疑似体験、企業での研修といったビジネスシーンでも幅広く活用されています。
ARとの違い
AR やMRは現実の世界を主体としていますが、VRはゴーグルで現実世界から完全に遮断され、仮想空間でリアルに近い体験ができます。
MRとは?
MR(Mixed Reality:複合現実)は、現実空間と仮想世界を密接に融合させて見せる技術です。
MRの利用にはHMD(ヘッドマウントディスプレイ)型のヘッドセットまたはサングラス型のMRグラスが必要です。
現実世界と仮想世界がリアルタイムで影響し合い、情報を書き換えられることに加え、デバイスに内蔵されたカメラやセンサーから位置情報を細かく算出するので、好きな角度から眺めたり、ジェスチャーや音声での操作や複数人での同時体験が可能です。
現在は、ARやVRに比べて活用シーンは限られますが、ハンズフリーという特長を活かして建設業界や産業業界で主に利用されています。
しかし、最近ではほかの業界でも利用され始めています。たとえば、家具メーカーのニトリは、国内で初めてMRグラスを導入し、カラー変更や引き出しの開閉など、まるで実際に商品に触っているような体験を提供しています。
ARとの違い
MRは現実世界を主体とする点ではARと同じですが、MRでは、自由な角度や位置から眺めたり、ジェスチャーなどで操作できるといった点で異なります。このように、ARよりも身体感覚を伴っていることで、より没入感の高い体験ができます。
XRとは?
XR(クロスリアリティまたはエクステンデッドリアリティ)とは、現実世界と仮想世界を融合して、現実には存在しない物を見たり操作したりする技術の総称です。つまり、ARやVR、MRなどもすべてXRに含まれます。
「XR」という言葉が生まれた背景には、複合技術が多く生み出されたことで、それぞれの技術の境界が曖昧になっていたことが挙げられます。
XRとメタバースの違い
最近よく聞く「メタバース」は、インターネット上の仮想空間で、ユーザ同士が交流する場所を指します。
仮想空間を利用するため、XRと混同されることもありますが、メタバースは「場所」を指す言葉であり、XRの機器を使わなくても、PCやスマートフォン、などからアクセスすることもできます。
ARの活用事例は?
ポケモン GO
「ポケモン GO」はナイアンティック社が開発したスマートフォン向けのゲームアプリです。2016年にリリースされて以来、世界的に大ヒットし、社会現象となりました。このゲームは、ユーザの位置情報をもとにAR機能を搭載したアプリで、ユーザは場所を移動しながらそのスポットごとに出没するポケモンを捕獲するというゲームです。
ブローネヘアカラー
花王株式会社では店頭に設置していた「毛束色見本」を廃止し、ARで髪色のシミュレーションができるアプリを公開しました。商品パッケージ記載のQRコードの読み取ることで簡単にさまざまなカラーを試すことができます。
※ARメイクアプリ「YouCam メイク」のブラウザ向けモジュールを活用
参考:https://www.kao.com/jp/corporate/news/products/2021/20210624-001/
IKEA Place
北欧家具メーカー、IKEAは、ARで自室に家具を配置するシミュレーションができるモバイルアプリ「IKEA Place」をAppleと共同で開発しました。これにより、商品のサイズ感やその家具とほかの家具との調和を確認できます。
スミソニアン博物館
スミソニアン博物館は、展示されている骨格標本にスマートフォンやタブレットのカメラをかざすと、動物が命を持ったように動き出す映像を映し出すアプリ「Skin&Bones」を開発しました。また、特定の画像を読み込むと解説ビデオや3D画像が流れるといったコンテンツも導入しています。
DHL
国際運輸会社DHLは、ピッキングの作業支援ツールとしてGoogle Glassを導入しました。必要な情報が手元に映し出されるため、ピッキング作業員は書類を持たずに作業することが可能になり、業務効率化に成功しました。
ARの勉強方法
書籍やインターネットで学習する方法があります。昨今では、YouTubeなどの動画サイトやエンジニアのコミュニティサイトなども充実していて多くの情報が手に入ります。
そして、より効率的に知識・スキルを習得するには、知識をつけながら実際に手を動かしてみるなど、インプットとアウトプットを繰り返していくことが重要です。特に独学の場合は、有識者に質問ができたりフィードバックをもらえるような環境があると、理解度が深まるでしょう。
ただ、ARに限らず、ITスキルを身につける際、どうしても課題にぶつかってしまうことはありますよね。特に独学だと、わからない部分をプロに質問できる機会を確保しにくく、モチベーションが続きにくいという側面があります。独学でモチベーションを維持する自信がない人にはプログラミングスクールという手もあります。費用は掛かりますが、その分スキルを身につけやすいです。しっかりと知識・スキルを習得して実践に活かしたいという人はプログラミングスクールがおすすめです。
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