AndroidアプリはiOSと比べ、開発しやすさや対応機種の豊富さに定評があり、世界各国で高いシェアを誇っています。OS(オープンソフトウェア)の基礎部分が無料で公開されており、知識があれば誰でも開発できるという特徴があります。スマートフォンの普及により、「スマホアプリ」は身近な存在となり、こういった背景から、新たにAndroidアプリを開発しようと考えている人も多いのではないでしょうか。
そこで、本記事ではAndroidアプリ開発をこれから勉強したいと考えている方に向けて基礎から収益化の方法まで、詳しく解説していきます。コーディングせずにアプリ開発ができるツールなども紹介するので、Androidアプリ開発に興味のある方はぜひご活用ください。
Androidアプリとは?
AndroidはGoogle社によってスマートフォンやタブレットなどの携帯情報端末向けに開発・提供されたOSです。
そして、そのAndroid端末で動作するアプリ全般を「Androidアプリ」といいます。
まずは、Androidアプリの基本事項をiOS (Apple社によってiPhone、iPadなどの携帯端末向けに開発・提供されたOS)と比較しながらみていきましょう。
Androidのシェア
参照:https://www.kantarworldpanel.com/global/smartphone-os-market-share/
日本におけるAndroidのシェア率は、2021年12月時点で55.6%です。これは、iOSのシェア率、44.4%を上回っています。
日本ではiPhoneの利用者が多いイメージがあり、事実iOSが上回っている時期もありましたが、現時点ではAndroidが優勢です。
世界的に見ても、Androidアプリの人気は高く、先進国を中心にシェア率は軒並み70%~80%前後と高い比率を占めています。
若い層だけで見るとiPhone派が多いように見えますが、全体で見れば、Androidの割合が高いのです。
Androidアプリの開発件数
引用:https://blog.appfigures.com/
上のグラフから見てわかるとおり、2017年時点でAndroidアプリ(Google Play)のリリース件数は350万を超えています。
Androidアプリのリリース件数は2016年から2017年にかけて30%増加するなど、爆発的に伸びていることがわかります。
リリース件数の差はどこから生じた?
Apple社のアップル製品に搭載されているiOSアプリと比べ、Androidアプリは開発における敷居が低いのが最大の違いです。
まず、アプリのリリース時の審査です。iOSのアプリ審査は専門家によって行われるためリリースまでおよそ一週間かかりますが、Androidは自動化された審査システムがテストを行うため数時間で済むため、一日に複数のバージョンを審査に出すことも可能です。
また、デベロッパー登録の費用に関しても違いがあります。開発したアプリをApp StoreやGoogle Play ストアで配信するためにはデベロッパー登録をする必要がありますが、iOSアプリは年間$99(現時点では11,800円) が毎年かかる一方で、Google Playは初回登録時に$25 (約2800円)支払うだけで済み、コスト面でも開発者側の負担が少なく済みます。
Androidアプリ開発に必要不可欠な3要素
必要なパソコンスペック
MacやWindowsなどのOSに関わらず、メモリは16GBほど搭載しておくと、開発する際にストレスなく動作させることが可能です。お手持ちのパソコンのスペックを確認しておくといいでしょう。Windowsの快適に操作できる環境は下記のとおりです。
●OS:Windows 7/8/10 (32bit/64bit)
●CPU:第5世代以降 core i5/i7
●メモリ:8~16GB以上
●HDD:最低5~10GB程度
シンプルな構造のアプリを開発する場合は上記のスペックで十分ですが、ゲーム制作やデータ分析など、作りたいアプリよってはより大きな容量や処理能力が必要な場合もあります。
開発言語
開発言語とはAndroidアプリの作成に必要なプログラミング言語のことです。JavaScriptやC++、C#などもありますが、現在はJavaとKotlinの2つが主流になっています。
Javaは、昔から多くのエンジニアに親しまれてきたプログラミング言語であり、Androidアプリの開発においても高いシェアを誇ります。難易度は高めですが、守備範囲が広く人安定的に需要があり、人気のある言語です。Androidアプリを開発しようと考えている人はまず勉強すべき言語と言えるでしょう。
Kotlinは、Javaとの相互連携がとれるプログラミング言語です。2011年にリリースされ、2017年にはGoogle社が正式にAndroidアプリの開発言語として認定しました。Javaよりもコードが短く簡潔に書きやすく、Javaのコードを呼び出すこともできるため、人気になっています。
開発環境Android Studio
Android StudioはGoogleが公式に提供しているAndroidアプリを開発するための総合開発ツールです。アプリ開発の際に必要になる機能をすべて備えており、Windowsだけでなく、MacOSやLinuxなどにも対応しており、パソコンとインターネットさえあれば誰でも無料で利用できます。
Android Studioは、公式サイトからインストール可能なので、パソコンを用意したらAndroid Studioをインストールしておきましょう。
Androidアプリの開発手順
ここでは一般的なAndroidアプリ開発の流れをご紹介します。
1.アプリの企画を立てる
どんなアプリを作るのかを決めるフェーズです。アプリの概要、ユーザー層、機能、デザイン、収益の得方などについてのアイデアを書き出し、具体的なイメージを固めていきます。
2.設計する
画面構成やデータの保存方法など、より具体的なアプリの内容を思案し、アプリの画面設計図を作成します。
CacooやProttなどのツールを利用することによって、初心者でも手軽に作成できます。
3.開発
アプリの形がイメージできる画面設計図が完成したらAndroid Studioを使って実際にアプリの画面や機能を作っていきます。
例えば、ログイン機能を作る場合「ログインする画面」と「ログインに成功した後の画面」が必要になります。
1.ユーザー名とパスワードでログインする
2.ログインに成功したらログインした状態でトップページに飛ぶ
この1と2を連動させるためにコードを書く必要があります。
また、ログインに失敗した時の表示画面やコードも必要になります。
4.テスト
開発が完了したらアプリがきちんと作動するかどうかをテストします。
リリースする前にテストを行うことで、エラーやバグがないか、画面サイズなど、動作やレイアウトの確認をします。Android端末を持っていない方は「Geny Motion」というエミュレーターを活用すれば、パソコン上で仮想のAndroid端末を動かすことができます。
5.リリース
テストで問題がなければ、いよいよリリースです。
Androidアプリをリリースする際、Google Playで公開することが一般的です。アプリを公開するためには、Google Play デベロッパーコンソール公開用ツールを使ってリリースしていきます。
Androidアプリ開発で収益を得る方法
有料ダウンロード
有料ダウンロードは、アプリ自体に料金をつけて販売することです。無料アプリに比べてダウンロードされるためのハードルは高いです。ダウンロードされた時点で報酬が発生しますが、買い切りであるため、継続的な収入は得られないでしょう。ただ、アプリを長期的に使ってもらえるというメリットがあります。
アプリ内広告
アプリ内広告はアプリ内に広告を表示することで手数料を受け取る方法で、クリック型や成果報酬型などが知られています。アプリ自体は無料で使ってもらい、広告を出すことで収益を上げられるので収益を上げるには一番手軽な方法です。代表的な広告配信事業者にはGoogleのAdMob があります。
アプリ内課金
アプリ内課金は、アプリ内のサービス・コンテンツを有料にする方法で、ゲームで使われことが多いです。基本的な機能は無料にし、アプリ内で課金することによってアイテムや機能を追加するといった、付加要素のサービスを有料で提供します。無料でダウンロードできるため、アプリの認知度向上に効果的です。需要の高いコンテンツであれば、継続的な収入が得られるでしょう。
プログラミング不要でAndroidアプリの開発ができるツール
ここまで、Androidアプリの開発に必要となる言語や環境を紹介してきましたが、ツールを使えば、プログラミング不要で、Androidアプリ開発ができます。
yappli
yappliはお手軽に本格的なアプリを開発・運用できるツールです。月額費用はかかりますが、34種類ものデザインが用意され、カスタマイズも豊富です。コーディングせずに、本格的なアプリを開発したいという方には非常におすすめのツールです。
JointApps
ブロックをつなげるだけでアプリ開発が体験できます。ブロックにはプログラムが組み込まれているため、ご自身でプログラミングをする必要はありません。
初期費用、月額費用ともに無料で使えるうえに、iPhone、Android両方のアプリが作成できます。このツールでアプリ開発をした場合、オリジナルアプリとして配信することはできませんが、専用アプリを使って実機で作ったアプリを試すことが可能です。
Monaca
Monacaは、iPhone/Androidどちらにも対応しており、クラウド上で開発ができるため、開発環境のセットアップが不要です。アプリのテンプレートも用意されており、アレンジを加えながらオリジナルアプリを制作することができます。
終わりに
Androidのシェアは日本でもiOSのシェアを上回っており、世界的に見ても圧倒的なので、グローバル展開したいと考えるのであれば、Androidアプリの開発は欠かせないでしょう。
自分で一からAndroidアプリを開発したいならば、JavaやKotlinといった、開発に適したプログラミング言語を習得するのがおすすめです。
また、プログラミングスキルに自信のない人は、アプリ開発のツールを活用するのも一つの方法です。